遠距離介護を始める前に知っておきたいメリット・デメリットや決断をするポイント

「親の介護が必要になったけど今の暮らしを変えたくない」

「遠距離介護に興味はあるけど何から始めればいいのかわからない」

など、遠距離介護に関するお悩みはありませんか?

何の準備もなく遠距離介護を始めようとしてしまうと、いざ介護が始まってから慌ててしまう、だれにも相談できずに悩んでしまう……なんてケースも少なくありません。

ここでは、遠距離介護の決断ポイントや事前準備まで、遠距離介護を始める前に知っておきたいことをご紹介します。

遠距離介護のメリット・デメリット

遠距離介護を始める前に、「遠距離介護」とはそもそもどういった特徴があるのか知っておきたいですよね。そこで、遠距離介護のメリットとデメリットをご紹介します。

【メリット】

・転居・同居の必要がない

通常の介護を始めるとなると、親の近くにいる必要があるため、介護者が引っ越しや退職、離職をしなければいけないケースもあり、大きな負担になってしまいます。遠距離介護では、呼び寄せ、同居、近居の必要がないので、介護者の環境の変化がありません。

・介護者や親のストレスが軽減される

在宅介護の場合、常に近くで介護をしている状態が続き、どうしても介護中心の生活となります。そのため、負担が身体的にも精神的にもいつの間にかどんどん積み重なってしまいます。遠距離介護では、双方にとって適切な距離感を保つことができるので、身体的・精神的に追いつめられるといった状況を防ぐことができます。

・介護保険サービスを利用しやすい

特別養護老人ホームの入所待ちの方は全国に約29万人いると言われており、なかなか空きが出ず待機時間が長いのが現状ですが、遠距離介護をしていると、特別養護老人ホーム入所の優先順位が高くなることがあります。また、訪問介護の「生活援助」(調理、掃除、洗濯、生活必需品の買い物等)を受けることができます。

【デメリット】

・緊急事態の対応が難しい

やはり離れて暮らしていると、常に親に目が行き届いているわけではないので、何かあったときに気づきにくくなってしまいます。また、緊急時に駆けつけるにも、移動時間がかかってしまうので、すぐに対応することが難しくなってしまいます。

・費用負担が大きい

遠距離介護をすると、遠距離介護ならではの費用負担が増えてしまいます。帰省する際の交通費、親やケアマネージャーさんへ連絡する際の通信費、手すり・スロープの設置といった住宅改修費、介護サービス費等が挙げられます。

遠距離介護を決断するポイントとは?

遠距離介護を決断することはとても難しく、勇気のいることですよね。

ここでは決断するポイントを4つご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

①金銭面

遠距離介護をするにあたって、費用負担は大きな問題となり得ます。しかし、転居することにしたとしても、職場が遠くなってしまい、退職・介護離職をすることになってしまえば、収入が途絶えてしまいます。なので、自分の中で金銭面のバランスを取れる方法を考えることが大切です。

②お互いの距離感

シニア世代の中には「一人で気ままに過ごす方がストレスが少ない」と感じる方もいらっしゃいます。また、介護する側も自分の時間が取れず、ストレスとなって介護うつになってしまうといったケースもあります。親、自分のどちらか一方でも、一緒に暮らすことで身体的・精神的にストレスとなってしまうのであれば、お互いの距離感を保てる遠距離介護を考えても良いかもしれません。

③環境の変化

転居や呼び寄せで住み慣れた土地から離れ、新たな環境で暮らすことをきっかけに、老人うつを発症してしまうといったケースもあります。老人うつは、若い人のうつ病とは異なり、体の不調などの特有の症状があるので注意しなければなりません。

④親の希望と介護者の希望

当たり前のことですが、親が嫌がっているのに無理やり遠距離介護を選択しようとすると、無用な争いが起きかねません。一方で、自分の希望をおざなりにしてはストレスになります。ですので、親の希望と自分の希望の着地点を探すことが大事です。

利用できるサービスって何があるの?

遠距離介護を行うにあたって、利用できるサービスはたくさんあります。

ここでは、遠距離介護の負担が少しでも軽くなるサービスをご紹介します。

・介護休暇、介護休業制度

仕事と介護の両立が難しくなった際、「介護休暇」や「介護休業」を利用することができます。介護休暇は、介護が必要な家族一人につき1年に5日まで取得可能で、時間単位でも使用することができます。

介護休業は、介護が必要な家族一人につき、通算93日休暇が取得でき、最大3回の分割が可能な制度です。勤務先により取得方法や取得できる条件が異なる場合があるため、あらかじめ勤務先に制度について確認したり、介護の状況を報告しておくことをおすすめします。

・住宅リフォームの補助金

実家に手すりやスロープを設置するといった介護リフォームをする場合、支給条件を満たしていれば介護保険制度を利用し補助金を申請することが可能です。要介護者一人につき、上限20万円までのリフォームに対して補助金が支給されます。

・介護保険サービス

要介護認定を受けると、介護保険制度を利用した様々なサービスを受けることができます。訪問型サービス、通所型サービス、介護用品・福祉用品レンタルなどがあります。ケアマネージャーさんに希望を伝えるなどしてプランを作成してもらいましょう。

・自治体のサービス

自治体によっては、安否確認サービスや配食サービスなどを受けることができます。お住まいの自治体にどのようなサービスがあるのか、確認してみましょう。

・地域のボランティア団体のサービス

地域によっては、loT見守りサービスや家事代行サービスなどを行ってくれる団体があります。

・航空会社の介護割引

一部の航空会社では遠距離介護を行う介護者に対して介護割引を提供しています。会社によっては要介護者にも割引が適用されますが、事前に手続きが必要で日数もかかるので、利用される場合は早めに準備しましょう。

・介護保険外サービス

「わたしの看護師さん」では、介護保険ではカバーしきれない病院付き添いや買い物代行などを、「医療資格」を保持したメンバーが行います。介護保険のサービスだけでは、病院付き添いをすることができない、買い物代行は最低限の生活必需品のみなど制約が多く、思うようにサポートしてもらえないことがあります。「わたしの看護師さん」は、介護保険外だからこそ融通が利き、その人のニーズに合った細やかなサービスを行うことができます。また、病院付き添い後、医師からの説明をわかりやすく解説したり、訪問の際などに些細な体調の変化に気づきやすかったりするので、安心して遠距離介護を行うことができます。

「遠距離介護」を始める前に準備すること

遠距離介護を始めるとなると、準備することが多く慌ててしまうこともあるかもしれません。

そんなときは、下記のポイントを参考にしながら、一つ一つ準備してみてください。

・情報収集しておく

利用できる介護サービスや、勤務先の制度などを事前に情報収集しておき、円滑に遠距離介護が進むように準備しましょう。

・親とコミュニケーションを密にとる

会話をする中で、親の生活リズムや人間関係、近所のかかりつけ医などを把握しておき、遠距離介護に役立てましょう。普段からコミュニケーションをとっておくと、親の介護の希望や介護費用についての相談がしやすくなります。

・ご近所の方や専門職の方へ協力を仰ぐ

遠距離介護では、緊急時にすぐに駆け付けることが難しくなってしまいます。そのため、あらかじめご近所の方や現地の専門職の方に遠距離介護を行うと報告しておき、日頃から様子を見てもらい、何かあった際に協力してもらえるように依頼しておきましょう。

近所のかかりつけ医は、普段から健康状態を把握している存在なので、協力を依頼しておくと強い味方となってくれるかもしれません。

・役割分担を決める

兄弟姉妹など、ほかに介護の協力者がいる場合、誰が何をするのか役割分担を決めておくことをおすすめします。その人の生活パターンや暮らしによってできることは変わってくるので、お互いに無理のない範囲で協力していきましょう。

遠距離介護を始める前のポイントについて紹介してきましたが、遠距離介護を決断したり、始めることは難しいですよね。

今回ご紹介した決断ポイントや事前準備を参考に、みなさんにとって最適な介護の形が実現できるよう応援しています。

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介護にまつわる悩みやお願いごとは、「わたしの看護師さん」にご相談ください。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

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