遠距離介護を上手く続けるためには〜仕事はどうする?~

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、要介護者と別居しながら介護している人は2013年に9.6%、2016年に12.2%、2019年に13.6%と増加傾向にあります。
特にコロナ禍の今は、県をまたいでの移動が出来ず、以前よりも遠距離介護に悩みを感じる方が増えたのではないでしょうか?

介護離職をして同居しようかと悩んでいる方も多いかもしれません。しかし、在宅介護という選択はあなたの仕事や生活スタイルに本当に合っているでしょうか?今回の記事では、同居、遠距離介護のメリット、デメリットや遠距離介護を続けるポイントなどを紹介します。

遠距離介護のメリットとデメリット

介護を理由に同居を考える前に、遠距離介護のメリットとデメリットについてみていきましょう。
まず遠距離介護のメリットについてです。遠距離介護は介護するあなたと親のどちらもが、お互いの住まいを離れることなく、慣れ親しんだ土地で過ごせることがメリットの一つです。移住などのストレスがなく、介護者は介護うつなどを引き起こしにくくなります。また介護離職する必要がないので、収入が減ることがなく金銭面でも安定します。
次に遠距離介護のデメリットについてです。親と離れて暮らすことで状態の悪化や、本人のSOSに気づけない可能性があります。また、いざというときにすぐに駆けつけることができないこともあるでしょう。さらに先ほど、介護離職がないので収入は安定していると説明しましたが、帰省するたびに交通費がかかったり、必要に応じて住宅に手すりやスロープをつけたりする改修の出費がかさみます。

同居のメリットとデメリット

先ほど述べたように、遠距離介護では親の急変に気づきにくく、対応が遅れがちになるというデメリットがあります。また、親とのコミュニケーションの時間も多くはとれないでしょう。しかし同居をすれば、これらのデメリットは全て解決することが出来ます。

一方で介護離職をして同居をしても、思ったより難しくて同居を解消してしまったという方もいます。
理由として、「身体的な負担」と「精神的な負担」が挙げられます。

① 身体的な負担

介助の多くは「持ち上げる」「支える」といった身体的な負担が大きくなります。膝や腰、腕などに負担がかかり、ぎっくり腰や関節症などを引き起こすこともあります。また、同居して介護する場合は、介護サービスが受けられないケースもあるので注意が必要です。

② 精神的な負担

同居をしていると朝から晩まで介護をしなければならず、認知症の場合には眼を離せないという介護生活の拘束感があり、いつの間にか過度のストレスを抱えている場合も少なくありません。周りに相談できず、近所や地域との交流が薄くなっている現代では、一人で悩みを抱えやすくなっているのも原因として挙げられるでしょう。

仕事と遠距離介護、両立するためのコツ

では遠距離介護を続けていくと決めたとき、介護離職をしないために何をしたら良いのでしょうか?
仕事と介護を両立させるためのコツを紹介します。

まず「介護保険サービス」の利用を検討してみましょう。介護保険適用のサービスとは、要介護・支援状態にある65歳以上の高齢者と40歳から64歳までの特定疾患の方が、1割の自己負担で受けられる介護サービスのことです。大きく分けると介護相談、自宅訪問、施設への通所、短期間の宿泊、施設等で生活、訪問・通い・宿泊を組み合わせる、福祉用具を使うなどがあります。

その他にも、介護保険制度に含まれるサービスで地域密着型サービスがあります。地域密着型サービスとは、認知症の方や高齢者が住み慣れた地域で生活できるようにサポートする仕組みのことです。いろいろな種類のサービスがあるので、必要に応じて利用するサービスを決めましょう。

また介護のための帰省では、JALやANAなどの航空会社で介護帰省割引を利用することができます。

「わたしの看護師さん」が行っているサービス(一部)

次に、介護保険ではカバーしきれない介護を、家族に代わって提供する「介護保険外サービス」があります。わたしたちが行う「わたしの看護師さん」もその一つ。ここでは、実際に「わたしの看護師さん」が行っているサービスの一部を紹介します。

①病院・外出付き添いサービス

スタッフ全員が「看護師資格」を持っており、医療知識を持ったスタッフが診察まで同行することで、診察の内容を正確に把握し、家族に伝えることができます。遠距離介護で病院への付き添いができない方だけでなく、医師からの指示を正確に理解したい方にもおすすめです。

②健康生活サポート

介護予防や体調維持を希望している方の相談を受け、見守りや生活支援を行います。老後に対する備えの時期に入られた、介護認定を受ける前の方に気軽にお使いいただけるサービスです。

③看取りサービス

「人生最期は自宅で迎えたい」という希望に応えて在宅介護を選びたいですが、遠距離介護だと難しいですよね。そんなときにスタッフが寄り添って介護し、容態の変化をかかりつけ医や家族に都度報告します。

ここで紹介した介護に関するサービスはほんの一部です。皆さんも、調べてみて介護状況にあったサービスの利用を検討してみてください。

遠距離介護の下準備

それでは遠距離介護をうまく続けていくためには、どのようなことをしたら良いのでしょうか?
実は“下準備”が大事なのです。

今は、介護の心配がなくても、その時は突然訪れるものです。急なことで焦らないように準備はしっかりと行っておきたいですね。遠距離介護中の方も、意外と見落としていることがあるかもしれませんので、もう一度確認しておきましょう。

・親のことを把握しておく

まずは親のことを把握しておきましょう。親の生活や、経済状況など普段だったら聞かないようなことを改めて聞いておくことで、介護が始まった時の行動がスムーズに行えます。このようなことを聞くには、親とのコミュニケーションを日頃から密にとっておくことが大事です。親と離れている場合は、電話をこまめにするなどして話をしておきましょう。

・介護サービスの情報を集める

様々な介護サービスについて紹介しましたが、これらの情報を事前に知っておくことがとても大切です。介護に関するサービスは保険外も含めると本当に色々なものがあります。事前にサービスの内容を知っておくことで介護への不安が薄まるのではないでしょうか。既に介護中の方は改めて、今の悩みに合うようなサービスを探してみてください。

・職場で取得できる介護制度を確認しておく

遠距離介護を続けていくためには仕事と介護の両立は必須になります。そこで会社で取得できる介護に関する制度を確認しておきましょう。

・親の安全を守る機器の確認

サービスだけでなく、機器に頼ることも遠距離介護を上手に行うために大切なことです。ペンダントタイプの救急ボタン、危険を察知したら消防車を手配してくれる火災センサーなど様々なものがあります。どのような機能が必要かを親と話し合っておくことも良いでしょう。

これらは事前準備ですが、既に介護が始まっている人でも間に合うものはあります。抜かりなく行っておきましょう。

遠距離介護を続けていくためには、何より悩みを一人で抱え込まないことがポイントになります。家族や近所の人、「わたしの看護師さん」のような専門の機関などに相談してみましょう。

親のもとにいてあげたいけど仕事が……。
同居すると自分の生活がなくなるんじゃないか……。

様々な不安や葛藤があるかと思いますが、介護保険サービスなどのように必ずあなたの助けになってくれるものはあります。親はもちろん大事にすべきですが、あなたの生活も大事にするべきです。この記事がみなさんにとって良い選択が出来るきっかけになれば幸いです。

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介護にまつわる悩みやお願いごとは、「わたしの看護師さん」にご相談ください。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

「介護に関するお役立ち情報」を随時更新しています。ぜひ介護のお困りごとの参考にご覧ください。

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