遠距離介護にかかる費用は?節約法も解説!

実際に介護をされている方で、両親が遠方に住んでいるというケースは多くあります。このように、離れて暮らす親族のために遠方から通いながらする介護のことを「遠距離介護」といいます。遠距離介護の場合は、普通の介護と比べてなにかと抱える問題が多く、その中でも大きな悩みは「介護費用」ではないでしょうか。

そこでこの記事では、遠距離介護は普通の介護と比べて金銭面でどのような違いがあるのか、また、負担の軽減方法やお得なサービスを紹介していきます。

もうすでに遠距離介護をしていて「費用」に悩みを抱えている方や、これから遠距離介護を始めることを検討していて「費用」に不安を抱えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

遠距離介護にかかる費用の種類、内訳

まずはじめに、遠距離介護にかかる主な費用の種類をご紹介します。中でも遠距離介護特有の費用は、「交通費」と「通信費」です。

①交通費

定期的に親族がいる住居に通うことになると多くの費用がかかりますし、介護者と被介護者の住居の距離が遠い場合には、1回の交通費が高額になってしまうでしょう。

主な移動手段としては、車、バス、電車、新幹線、飛行機などが挙げられます。

②通信費

離れて暮らす親族の体の状態をこまめに確認したり、定期的にコミュニケーションを取ったりするためには、電話やチャットが欠かせません。また、お世話になるケアマネージャーや施設職員の方、医療の専門家との連絡も増えるため、その度に通信費がかかります。

③介護サービス費

介護を受ける段階になると、様々な介護サービスを受ける必要がでてきます。具体的には、自宅で受けられる訪問型サービス、デイサービスなどの通所型サービス、老人ホームなどの施設入所型サービスなどが挙げられます。

④医療関係費

何か病気にかかったり、転んで怪我をした場合などには病院に行くため、医療費が必要です。具体的には医療機関の診療費、薬代、医療器具、通院のための交通費などが挙げられます。

⑤介護用品費

介護には被介護者をサポートするための介護用品が必要です。具体的には車椅子、ポータブルトイレ、おむつ、入浴補助用具、居室用の手すり、歩行補助杖などが挙げられます。

⑥その他

その他の費用として、在宅介護をする場合には住宅改修費などがあります。家での怪我を防止するために住居のバリアフリー化をするための住宅改修も検討しておきましょう。

以上が遠距離介護にかかる主な費用です。特に①、②の交通費と通信費は、大きな負担が予想されます。これらの費用をあらかじめ考慮せず、いざ介護が始まってから「思っていたよりも負担が大きかった」ということにならないように、対策しておくことが重要です。

費用負担の軽減方法は?

移動が重なると費用負担が大きくなってしまう遠距離介護。ここでは、費用を抑えるポイントや、その他の節約方法をご紹介します。

【交通費】

遠距離介護で費用負担が大きくなりがちなのが交通費です。ここを抑えるかどうかで後々大きな差が生まれるので、しっかりと費用を抑えるポイントを把握しておきましょう。

①バスを利用

往復割引、回数券を利用しましょう。時間はかかりますが、鉄道や飛行機と比べると費用を抑えられます。夜行バスを利用するなどして時間と金銭の節約のバランスを取ると良いでしょう。

②電車、新幹線を利用

JR各社では特に介護割引のような制度はありませんが、往復割引や回数券を利用すると安くなります。会員制度を利用したり、ネットから早めに予約したりすると費用を抑えられます。

③飛行機を利用

各航空会社では往復割引、バースデー割引、株主優待割引など様々な割引がありますが、介護割引を実施している会社も多いです。飛行機はその他の交通手段と比べて割高なのでこのようなサービスは積極的に利用しましょう。介護割引では、介護保険証や身分証などの特定の書類が必要になることがあるので、事前に用意しておきましょう。

【通信費】

通信費を抑えるためには、割引や無料のアプリを利用することが重要です。

①プランを見直す

携帯電話の場合、利用頻度によっては「かけ放題プラン」を選ぶと安くなることがあります。一度、今のプランを見直しておきましょう。

②無料通話アプリを活用する

電話を利用せずとも、今では「LINE」や「Zoom」などの無料で電話やビデオチャットができるアプリケーションがあります。通信費を実質無料にすることができるので使わない手はありません。ここでは、主なサービスをご紹介します。

<通話ができる無料アプリ>

LINE

<テキストのみで話せる無料アプリ>

LINE、Facebook、Instagram

<ビデオ通話ができる無料アプリ>

LINE、Zoom、Skype

ただし、介護する親族が高齢の場合、使い方がわからない可能性があるので事前に使い方を教えておきましょう。

【医療・介護用品費】

①医療関係費は国の保険を利用しましょう。

②介護用品費

介護用品は、積極的にクーポンや割引などを利用して購入しましょう。

【介護サービス費】

要支援1〜2、または要介護1〜5の認定がおりると、介護保険サービスが受けられるようになります。サービスを受けるためには要介護認定がおりる必要があるので、まずは自治体の介護保険窓口や地域包括支援センターに相談をして、申請手続きを進めましょう。

①介護保険サービス

介護保険サービスでは、自己負担が1〜3割で訪問介護サービスや通所型サービスが受けられます。また、その他にも歩行補助杖や車椅子などの福祉用具のレンタルや購入などができます。

②介護保険外のサービス

介護保険制度からこぼれ落ちる介護を家族に代わって提供する「介護保険外サービス」があります。わたしたちが行う「わたしの看護師さん」もその一つ。看護師経験に基づいた見守りや介護、医師とのスピーディーな連携、医療的なお手伝いまで、幅広いサービスを提供しています。交通費をかけて、定期的に親族がいる住居に通うよりも、保険適用外サービスを利用する方が費用が抑えられる場合もありますので、ぜひ検討してみてください。

また、自治体でも高齢者向けのサービスを行っていることも多いです。積極的に利用しましょう。その他にも、ボランティアやNPOの力を借りることも手段の一つです。

無料で利用できるサービスについて

遠距離介護は普通の介護と比べて費用が高くなります。そこでこの章では、費用負担を極力軽減するために活用できる無料サービスをご紹介します。

【介護相談】

初めて介護をするとなると、わからないことが多すぎて不安ですよね。抱え込んでいる気持ちを誰かに相談するだけでも、気持ちが軽くなるかもしれません。無料で相談できるサービスがたくさんあるので、積極的に利用して介護の悩みを解消しましょう。

①地域包括支援センター

地域包括支援センターは、自治体または自治体から委託を受けた法人が設置している施設で、地域の高齢者やその家族のサポートをおこなっており、相談にお金はかかりません。

②市区町村の相談窓口

市区町村の役所には、高齢者向けの窓口があります。自治体によって「高齢者福祉課」や「健康相談窓口」など様々な窓口がありますが、役所の電話に連絡して内容を伝えれば、適切な窓口につないでくれます。また、電話以外のツールを活用すれば、家にいながらオンラインで相談することも可能です。

スマホやタブレットが普及した現代ですが、高齢の方はそのようなデバイスやインターネットに難色を示すこともしばしばあります。しかし、これらのテクノロジーを利用することで得られるメリットは膨大であり、使わない手はありません。使い方を教えていくためにも、まずはスマホやタブレットを渡して、実際に触ってもらいながら少しずつ慣れてもらいましょう。

介護破産しないための心得

なにかと費用がかかる遠距離介護ですが、あらかじめしっかりと計画を立てていないと、後から思っていたよりも出費があり支払いに苦しむことになりかねません。最悪の場合、費用がかさみ過ぎて、自分または被介護者の貯金が尽きてしまう、いわゆる「介護破産」になることもあります。そうならないためにも、事前準備をしておくことが重要です。ここでは「介護破産」しないための心得をご紹介します。

心得① 「在宅」か「施設」か

介護費用は、在宅介護または施設介護のどちらを選択するかで大きく変わってきます。在宅介護とは、被介護者が自宅にいながら訪問介護を受けたり、デイサービスに通ったりして行う介護です。一方、施設介護とは老人ホームなどの施設に入所して受ける介護のことを指します。

一般的に費用が多くかかるのは施設介護の方です。それぞれの月の平均費用の差は7万円ほどあると言われています。確かに施設介護の方が介護者の負担は減りますが、その分費用はかなりかかるため、在宅介護を選択することも検討しましょう。

親の介護の必要度に合わせて、最初のうちは在宅介護、将来的には施設介護を利用する選択肢もあります。被介護者の要介護度を目安にすると良いでしょう。

心得② 国や自治体の制度を使い倒すべし

介護をする上で、利用できる国や自治体のサービスはたくさんあります。これらを利用するかどうかで後々大きな差が生まれるため、よく調べて活用しましょう。

主な制度としては「介護保険サービス」が挙げられます。介護保険サービスは、要支援1〜2、または要介護1〜5と認定された方が受けられるサービスです。1〜3割の利用料を負担することで、現物給付によるサービスを受けることができます。

また必要に応じて、介護者が「介護休業制度」を利用するなどして被介護者の家に行き、介護体制を整えることも良いでしょう。

心得③ 貯蓄して備える

今後の厳しい財政状況を考慮すると、将来的に制度改正によって、現状、自己負担率1〜3割の介護保険サービスの自己負担額が多くなることも懸念されます。

心得④ 情報収集&人とのネットワークを築いておく

そのような未来に対応するためにも、日頃から老後を見据えて貯蓄しておきましょう。

情報収集不足で思わぬ出費が重なり、介護破産に陥ってしまうケースも多くあります。相談窓口を利用したり、ネットで調べたりして、予算に見合った介護プランを立てることが重要です。

また、ご家族の周囲に「ご近所関係」を築いておくことも大切です。ご家族のところへ頻繁に通うのが難しくとも、帰省の際には近所の方々と積極的に交流し、普段から見守ってもらえる状態にしておきましょう。

遠距離介護の費用とそれを抑える方法について解説してきました。ポイントをまとめると、以下の2点になります。

・遠距離介護では、普通の介護と比べてさらに「交通費」と「通信費」がかかる

・国や自治体の制度、割引や無料サービスを使って、負担を軽減させる

費用を最大限抑えるためには、日頃から介護に向けて準備しておくことがとても大切です。情報収集を怠らず、介護に関わる人とのネットワークを築いておいて、いつ介護が始まっても良いように備えておきましょう。また、もうすでに介護が始まっている方も、今からでも遅くはありません。

介護にまつわる悩みやお願いごとは、「わたしの看護師さん」にご相談ください。

まずは介護体制を整え、少しでも予算をカットできるところはないか探してみましょう。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

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