転居したら親の介護はどうする?呼び寄せ・介護施設・遠距離介護という選択肢

春は生活環境が変化しやすい季節です。年度替わりに転勤がある、心機一転仕事を変えて転居をするという方もいらっしゃるのではないでしょうか。新生活に胸を躍らせている方がいる一方で、親の介護をしている方にとっては、仕事によって転居せざるを得ない場合、介護と自身の生活との間で板挟みとなってしまうことも考えられます。

親の介護をしながら働いている人にとって、その両立は頭を悩ます問題の1つといえます。介護と仕事を両立している方は、近年300万人を超えているといわれ、介護と仕事を両立できず、離職してしまう方も少なくありません。

今回は親の介護をしながらでも、自分らしい生活を送り続けるために、選択できる介護の方法や選び方、利用できる介護サービスを紹介します。

親の介護を続けるための3つの介護方法

転居せざるを得ない状況で介護を続けていこうとすると、「転居先に親を呼び寄せる」「高齢者施設に親が入所する」という2つの案が浮かびやすいかもしれません。ですが家族だけで介護をする、介護のプロに全てを任せる以外にも「遠距離介護」という介護の選択肢もあります。ここでは親の介護を続けるための3つの介護方法について、メリットと注意点をご説明します。

1.呼び寄せ

介護が必要な親を転居先に呼び寄せると、家族がそばにいることで緊急事態が起こった際にも即座に対応しやすくなります。また、家族と共にいることで親が安心感を感じやすいといったメリットのある介護方法です。

ただし、介護される本人にとっては、住み慣れた場所を離れたり、知り合いとの関わりが薄れたりすることで、新しい環境に慣れるまでに体力面や精神面の負担が生じる可能性があります。

また転居先の家が介護に適しているのか、介護のためにリフォームが必要か、親が住んでいたもとの家はどうするのかといった問題を考慮する必要があります。

2.高齢者施設への入所

親が高齢者施設に入所し、介護を受ける場合の一番の強味は、介護・医療の専門家が近くにいてくれる安心感を得られることです。また多くの施設がバリアフリーであるため、寝たきりのきっかけになる転倒などによる怪我が起こりにくいこと、食事や日常生活のサポートを受けられることから健康維持が見込めることなども利点といえます。

しかし高齢者施設の入居には、金銭面の負担が気になるところではないでしょうか。入所する施設や要介護度などによって負担も変わってきますので、担当のケアマネージャーや、地域包括支援センターに相談してみてください。

また、施設ごとのルールを受け入れられるか、他入居者・スタッフ・施設の雰囲気との相性はどうかといった面も重要なポイントです。呼び寄せ同様に新しい環境になじめるかといった点は、入所を希望する施設を見学するなどしてよく確認しておきましょう。

3.遠距離介護

転居先から、離れて暮らす親の介護をするという方法です。親の暮らす自治体の福祉サービスを利用することで、親の生活環境をほとんど変える必要がないというのが一番の強みです。

住み慣れた場所の地域包括支援センターやケアマネージャーと相談しながら「ヘルパーを依頼する」「入浴介助サポートを受けることも兼ねてデイサービスに行く」など一人ひとりに合った介護方法を考えていけるのも心強い点です。

遠距離介護はどうしても親の状態が確認しづらかったり、コミュニケーションが希薄になりやすいのが難点といえます。時には近所の人や知り合いにお願いして、定期的に様子を確認してもらうなど、身近な人の協力を得ながら、離れて暮らす家族も定期的な連絡や訪問を意識することでコミュニケーションの不安を解消していきましょう。

親の介護方法を決めるポイント

介護の考え方として、子どもは介護に不安を持ちつつも、親の面倒は自分で見なければという思いの方も多いのではないでしょうか?また親側は子どもや家族に迷惑をかけたくないという考えの方も多くいらっしゃいます。

そういった介護に関する考え方のずれを防ぐために大切なのは、家族でよく話し合うことです。以下の3つポイントを参考に家族内で考えのすり合わせをしましょう。

・親がどのような介護を望んでいるのか

親のことが心配なあまり人の目が届きやすい「呼び寄せ」や、「施設入所」での介護をした方が良いのでは、と考えるご家庭も多いのではないでしょうか。しかし高齢者は急激な環境の変化に対応しづらく、心身に不調を起こしやすい面があるため、「転居後も同居して在宅介護を続ける、高齢者施設での介護に切り替える=環境を変化させた方が良い」とは一概に言えないこともあります。ご家庭によっては、親にとっての環境の変化が少ない遠距離介護が理想的な場合もあるため、しっかりと話し合いの時間を持ちましょう。

・家族はどれくらい介護に関われるのか

どの介護方法を選ぶかは、介護をされる子どもだけでなく、そのパートナーといった家族全体に関わってくる問題であり、それぞれの立場で考えは変わるでしょう。意見のすれ違いなどで家族の不和につながるのは望ましくありません。

・介護に使える金額はどれくらいなのか

高齢者施設への入所にかかる費用など、今後の介護に必要な費用を考慮する必要があります。子どもの転居先から離れた高齢者施設へ入所する場合や、遠距離介護の場合は、介護保険内サービスに加え、介護保険外サービスの利用が必要な場面が増えることも考えられます。

大切なのは、介護される親も、介護する子どもや家族も納得して介護に向き合えることです。呼び寄せでの在宅介護、高齢者施設の入所、遠距離介護、どの方法でも親も子どももいきいきと過ごしていけるよう、選択した介護方法に必要な準備をしていきましょう。

介護の強い味方、介護サービスの活用

どのような介護の形を選択したとしても、自分たちだけで介護を完結させるのはとても難しいことです。特に遠距離介護を選択した場合には、より第三者の力が必要になります。その際に大きな助けの1つになるのが介護サービスです。介護サービスは大きく分けて「介護保険サービス」と「介護保険外サービス」の2つがあります。

・「介護保険サービス」

「介護保険サービス」は、条件を満たしている方であれば国や自治体から一部料金を助成してもらい、利用できるサービスになります。受けられるサービスは幅広くあります。

(例)
・住居に訪問し、食事や掃除といった生活の補助
・デイサービスなどの通所介護
・介護施設への入居
・福祉用具の貸し出し
・手すりや、段差解消といった住居の小規模な改修

サービスを受ける際の金銭負担を減らし、介護を行うことが可能です。

また、介護保険サービスにはケアマネージャーを始めとした、福祉サービスのスタッフが関わっています。そのため介護や福祉の専門知識を元にした、適切な「介護プラン」の提案をしてもらうことができます。同時に、サービス提供に関わるスタッフが介護される親の情報を共有し、介護にあたってくれるので、親のささいな変化に気付いてくれやすいのも心強い点の一つです。

・「介護保険外サービス」

介護保険サービスは、明確に利用できる範囲が決められており、介護生活の不安の全てをカバーしてくれるわけではありません。介護保険サービスで対応しきれない場合に利用したいのが「介護保険外サービス」です。利用料金の助成はないため、費用がかかってしまうという面はありますが、その分ニーズに柔軟に対応してくれるサービスが多くあります。

親の状態を確認してくれる「見守りサービス」や、「突発的に医療機関の受診しなくてはいけない」「家族が誰も病院に付き添えなくて困っている」という事態が起きたときは「病院付き添いサービス」をお願いすることも可能です。中には「訪問理美容」、「旅行の付き添い」を行ってくれる会社もあります。こういった、かゆいところに手が届くようなサービスの豊富さが介護保険外サービスの魅力といえそうです。

たくさんある介護保険外サービスの1つとして弊社の行っている「わたしの看護師さん」があります。「わたしの看護師さん」はスタッフ全員が医療介護資格を持っており、専門知識や経験に基づいた介護を行います。サービスへの不安、親との相性が気になる場合はお試しサービスもありますので、お気軽にお問い合わせください。

いろいろな介護サービスを上手く組み合わせて使うことで、介護の不安を少しでも減らしていきましょう。

転勤や転職で転居することになったときには、さまざまな選択肢があります。冷静に最適な介護方法を見つけていきましょう。「呼び寄せ」「施設入所」「遠距離介護」のメリットやデメリットを知ることで、もしもこの先、再び介護方法を変えなければならない時が来ても、柔軟に対応できるのではないでしょうか。

以前は「子どもならば、親のそばで老後の面倒を見るもの」といった考え方が主流だったかもしれません。しかし、現代では家族の数だけさまざまな考え方があり、暮らし方があります。従来の介護方法に囚われ、家族の生活を変えてでも「こうした方が良いはず」という考えに縛られることは、必ずしも親の望んでいることではないかもしれません。

誰にとっても100点の介護はありません。介護をする家族と、介護をされる親の双方が気持ちよくいるためにも、介護の形にさまざまな選択肢があることを知っておくことが大切です。自分たちにとってどんな介護の形が1番なのか、家族の中だけで抱え込まず、ぜひ介護のプロに相談してみてくださいね。


介護にまつわる悩みやお願いごとは、「わたしの看護師さん」にご相談ください。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

「介護に関するお役立ち情報」を随時更新しています。ぜひ介護のお困りごとの参考にご覧ください。

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