「施設や病院から自宅の生活に戻りたいという親の願いを叶えてあげたいけれど、その準備はどのようにしたら良いでしょうか?」
という相談がありました。
みなさんも自宅に帰ってきたとき、ホッと心や体が落ち着くと感じることはありませんか?
介護をしていると「自宅で生活をしたい」と希望する方は多くいらっしゃいます。
相談者のお父さんは入院されていて、退院後には「施設に移動する」か「自宅に戻る」かで迷っておられるとのことでした。お父さんは自宅に戻ることを希望されています。
入院生活が長引いたり施設で生活をしていると、「自宅に帰りたい」と思われる方が多くいらっしゃいます。
親が自宅での生活を希望している場合、「できるだけ叶えてあげたい」と思うのが子の気持ちですよね。
ですが安易に「自宅での生活」を考えてしまうと、「思い描いていた介護生活と違った」と自分が苦しむことになってしまうことも。そうならないためにも、しっかりとした準備が必要になっていきます。
介護で「される側」と「する側」に生じる気持ちの差
平成30年度版の「高齢社会白書」によると、「自宅で介護を受けたい」と思われる方は全体の7割以上を占めるといわれています。
そして、もう1つ、シンクタンクの調査結果「介護をする現役の子ども世代のアンケート」によると、「親の介護ができますか?」の問いに対して3分の1の子どもたちが「まずは親の介護に関わらなければならない」と思っているそうです。
ですが、これを言い換えるとすれば、残りの3分の2の子どもたちは「誰かにお願いしたい、自分は考えたこともない」という結果になります。
このデータからも、親子間の介護に対するギャップが多く生まれていることがわかります。
ですので、この相談者が「お父さんを自宅に連れて帰りたい」と思ったとしても、相談者に兄弟などがいる場合には、話し合いや協力をしあう事が必要です。必ずしも兄弟全員が同じ意見とは限りませんので、十分な話し合いがないまま自宅に連れて帰ることは、後に家族間のトラブルになりかねません。
親子や兄弟だからといって必ず介護が任せれる環境が整っているわけではないことを、まずは理解していきましょう。
自宅で介護をするために必要な準備
住み慣れた自宅で過ごすことは気分転換にもなるため、心のメリットはとても大きいと思います。ですが、在宅介護にはリスクもあるということを覚悟しなければなりません。
例えば、急に体調を崩してしまった場合に家族がすぐに駆けつけることが出来るのか、自分で受診が出来るのかなど、いざというときの体制を考える必要があります。
通院ができない状況になった時のために、自宅に往診してくれる「ホームドクター」を決めておくことも大切です。
ホームドクターは急に依頼を出来るわけではなく、予め契約が必要なことが多いです。
こういった退院後の準備や気になる事を相談できる窓口として、病院の中に「地域連携支援室」などの相談機関が併設されている場合があります。
地域連携支援室のソーシャルワーカーや担当の看護師さんに「ホームドクターと契約したい」「家族だけでは介護が難しいのでヘルパーにお願いしたい」などを伝えることで、自宅で過ごすことに向けた準備を一緒に勧めていくことができます。
また、介護サービスを受けるためには「要介護認定」が必要です。
例えば、入院する前から要介護認定を受けておられる場合は、退院後に比較的はやめに介護サービスを使い始める事ができます。
要介護認定の手続きも、申請の結果が出るまでに1ヶ月から1ヶ月半ほどかかってしまいます。ですので、退院の目途がたつようであればソーシャルワーカーにも相談しつつ、要介護認定の手続きも進めておきましょう。
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