お正月は家族会議をするチャンス!~高齢の親と介護について話し合ってみませんか~

高齢の親が今後についてどう考えているのか、本当の気持ちを知っていますか?

介護のこと、これからの生活のこと、お墓のことなど、いつかは話し合っておかなければいけない問題はたくさんあります。でも家族だからこそ、話しにくいという気持ちもありますよね。

年末年始が近づき、久しぶりに帰省をしようと考えている方にとって、親きょうだいが集まりやすいお正月は、家族会議をするチャンスです。高齢の親と離れて暮らしている方は、遠距離介護について考える良い機会でもありますね。

今回の記事では、家族会議とはどんなものか、話し合いの進め方、実際の事例をご紹介します。

家族会議とは〜どんなことを話すの?〜

高齢の親のこれからの生活について事前に話し合うのが家族会議です。介護は、親が突然倒れる、寝たきりになるなど、いつ始まるのか分からないもの。いつか話そうと後回しにしていると、親と意思疎通が難しくなった場合、本当の気持ちを知ることができなくなり、後悔してしまうかもしれません。

そのため、家族会議は親ができるだけ元気なうちにすることをおすすめします。いつやっても早すぎるということはありません。ここでは、家族会議のメリットや、どのようなことを話し合えばいいのかをご紹介します。

家族会議をするメリット

・高齢の親の意思を尊重できる
病状の急激な悪化などにより、意思表示や会話が難しくなることもあります。親は本当はどうしたいのだろうと、介護をする子どもも不安に苦しむことになりかねません。親の意思を尊重するために、事前に話を聞いておくことが大切です。

・遺産相続などの起こりうるトラブルを回避できる
遺産の相続などのデリケートな問題は、家族間でもトラブルになることが少なくありません。事前に親の意思や資産の情報を把握し、家族で共有することで、いざという時に落ち着いて対応できます。

家族会議で話し合う内容とは?

家族会議では、高齢の親が病気になった時、いつか介護が必要になった時などに、私たちが知っていないと困ることを事前に聞いておきます。

お金や相続など、なかなか聞きづらいデリケートな問題についても、いつかは話しておかなければならない大切なことです。タイミングを見定めて、思い切って話し合いましょう。できるだけ詳細に話し合えたら良いですね。

<家族会議のテーマ例>
・受けたい医療や介護       
・資産や収支の状況
・将来やってみたいこと      
・遺産相続について
・終末期に大切にしたいこと    
・お墓について

スムーズに家族会議を進めるには

家族会議の第一歩は、親との話し合いの場を作ることです。中には将来についての話し合いを嫌がる場合や、話し合いを始めても、家族だからこそお互いにイライラして喧嘩になってしまうことも。スムーズに話し合いを進めるためにまず何から始めたらいいかのポイントをお伝えします。

事前の準備

・家族会議をどう切り出すか、タイミングを図る
家族会議をすることを、親にどう切り出すか考えておきましょう。急に切り出しても、「まだ先の話だから」「自分の老後について考えたくない」と、話題を逸らされることもあります。「次に帰省するとき、将来について話さない?」と事前に伝えておくことも効果的です。

年末年始などで家族が集まるとき、芸能人の訃報に触れたとき、法事のあとなどが、話を切り出すタイミングとしておすすめです。親が身構えすぎてしまわないように、できるだけ気軽に持ちかけてみましょう。

・聞きたいことをリストアップしておく
聞きたい内容を事前にリストアップしておくことも重要です。話し合いがヒートアップして、「終わったあとに聞きそびれた!」などと後悔することがないようにしましょう。あとでご紹介する、国や自治体が用意しているチェックシートも、家族会議に役立ちます。

当日の進め方

最初に、高齢の親が今どんな生活をしているのか、心配なことや悩んでいることはないかなど、身近なところから話を始めましょう。親と離れて暮らしている方は、親の交友関係や、日頃の行動範囲など知らないことも多くあるでしょう。しっかり把握して、寄り添ってあげられたら良いですね。

話し合いに慣れてきたら、受けたい医療や介護に対する考え、遺産についてなどの深い話に進めていきましょう。

家族会議をするうえでの注意点

話し合いが進むにつれて、意見の食い違いや、イライラする場面が出てきてしまうのは仕方のないことです。せっかく話し合いの場が作れたのに、後味の悪いものになってしまう場合もあります。お互いの意見を否定せずに、まずは冷静に話を聞くことを心がけてください。

活用できるもの

・厚生労働省が提示するチェックリスト
厚生労働省が提示するチェックリスト「親が元気なうちから把握しておくべきこと~突然、介護に直面しても困らないために~」は、親の現在の状況からこれからの生き方の意思についてまで、幅広く記入できます。このチェックリストを事前に印刷しておけば、あらかじめ質問項目が記載されているため、話し合いをスムーズに進められるためおすすめです。

参照:厚生労働省「親が元気なうちから把握しておくべきこと~突然、介護に直面しても困らないために~」

・鳥取県「住み継ぎ(すみつぎ)ノート」の取り組み
鳥取県は、住み継がれない空き家の発生を未然に防ぐため、「住み継ぎノート」の配布に取り組んでいます。今住んでいる家を、親が今後どうしたいかを記入できます。事前に整理しておくと、話し合いも進めやすいですよね。家族会議にぜひ活用してください。

参照:鳥取県「住み継ぎ(すみつぎ)ノート」

実際の事例をご紹介~「私の看護師さん」家族会議レポート~

こちらでは、弊社「私の看護師さん」代表の神戸が実際に体験した家族会議の様子をご紹介します。

何度もはぐらかされた念願の家族会議

実家に帰省するタイミングで、父親と家族会議をしようと決意した際のことです。親に話し合いの席に座ってもらう、そこにたどり着くまでがとても大変でした。

それまでも何度か今後の生活について話を持ちかけてきましたが、親が電話を切ってしまうなど、はぐらかされ続けて、納得のいく話し合いはできていませんでした。介護の専門家でも、自分の親のこととなると感情のコントロールが難しいもの。でも「今」しか出来ない家族の話があることも事実です。

実は帰省する1週間前、父親の身近な人が亡くなる出来事がありました。このことにも触れながら、「今日は逃げないでよね」と前置きをして話し合いを始めました。

話し合いの内容は、大きく分けて2つ。

1、受けたい医療と介護
2、資産をどうするか

父親は、介護が必要になっても家にいたい、でもヘルパーさんには頼りたくないとのことでした。専門家の立場から、介護の現実はそんなに甘くないことを伝えると、母親は分かってくれましたが、父親は理解していない様子でした。

私たちきょうだいは親と離れて暮らし、働いてもいるため、介護の戦力になることは難しい状況です。「私たちを当てにしないでね」とはっきり伝えました。

父は冷たく感じたかも知れませんが、元気なうちに話しておかないと、両親の望む生活や、家族が幸せでいるためにどうしたらいいかを共有できなくなってしまうと思ったんです。

その後も見守りカメラが役立つことや、遺産をどうするかなど、さまざまな話をしました。なかなか思い通りには進みませんでしたが、なんとか最後までしっかり話し合い、家族会議を大きく前進させることができました。

より詳しく内容を知りたい方は、こちらの記事を読んでみてください。
「年末年始こそ「家族会議」のチャンス。介護の専門家でも、親の介護は難しい#04」

家族会議において最初の難関は、話し合いの場をつくることではないでしょうか。デリケートな問題を考えたくない、子どもに話したくないと思っている親もいらっしゃるでしょう。

これからをどう過ごしていきたいかは、人それぞれの考えがあると思います。親子で同じ気持ちとは限りません。しっかりと向き合って、親が考えていることを聞いてみると意外な思いに気づくこともあります。

家族会議で今後について話し合い、いつかは訪れる遠距離介護や、仕事と介護の両立に計画的に備えること。それは将来、納得のいく介護や、親も子どもも自分らしい生活を送るために大切なことです。

家族会議のポイントは、一度だけで終わらせないことです。人の考えは変わっていくもので、親の考えも数年後には今と真逆の考えになっているかもしれません。年末年始などの節目をきっかけに家族会議を重ねていけたら良いですね。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

「介護に関するお役立ち情報」を随時更新しています。ぜひ介護のお困りごとの参考にご覧ください。

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