遠距離介護をしている方や、仕事をしながら介護をしているビジネスケアラーにとって、「親のそばにいてあげられない」という不安は常につきまといます。年齢とともに心身の機能が低下してくると、日常生活のさまざまな場面で、サポートが必要になることもあります。そんなとき、有効に活用したいのがホームヘルパーによる訪問介護です。
一方で、訪問介護だけでは対応しきれないケースもあり、生活の意外な場面で困りごとが発生し迷うこともあるかもしれません。
この記事では、ホームヘルパーにお願いできること・できないことをそれぞれ解説し、ホームヘルパーにお願いできない場合の対策として、介護保険外サービスを含めた、さまざまな代替案をご紹介します。
ホームヘルパーにお願いできることは?
1. ホームヘルパーの訪問介護は介護保険サービス
まず押さえておきたいのは、ホームヘルパーが行う訪問介護が、介護保険制度に基づくサービスであるという点です。訪問介護を利用するには、自治体に申請して、要介護の認定を受ける必要があります。
流れとしては、まず自治体の調査員が高齢者本人の自宅へ訪問し、具体的な生活の様子を聞き取り調査します。次に主治医の意見書を提出します。それらをもとに自治体による審査会が行われ、「要介護(1~5)」または「要支援(1、2)」と認定されてはじめて、訪問介護を受けることができます。
2. 訪問介護で受けられるサービス
訪問介護の目的は、生活のさまざまな側面で必要な介助を行うことにより、高齢者本人ができる限り自立した生活を営むことです。訪問介護でお願いできるサービスは大きく分けて以下の3つあります。
・身体介護(食事・排泄・入浴介助など、直接身体に触れる介助)
・生活援助(掃除・洗濯・調理・買い物など)
・通院時の乗車・降車等介助
ここではより具体的に「衣・食・住・医」の視点から、お願いできる内容を整理してみましょう。
訪問介護サービスで受けられるサービスの例
衣:着替えの介助、洗濯や衣類の整理
食:食材の買い物、調理、食事の介助、食後の片付け
住:生活必需品の買い物、掃除、入浴介助、排泄介助、清拭
医:薬の受け取り、通院時の乗車・降車等の介助
実際に利用できるサービスは、ケアマネジャーが作成するケアプランによって異なります。利用を希望する場合は、ケアマネジャーに相談してみましょう。
このように、さまざまな場面で訪問介護サービスは高齢者の生活を支えています。一方で、介護保険が提供する訪問介護サービスが、高齢者のニーズをカバーしきれない場面も出てきます。ちょうど医療保険で、適用外の施術があるのとよく似ています。それでは、具体的にどのようなサービスが「適用外」になるのでしょうか。次章で詳しく解説していきます。
ホームヘルパーにお願いできない意外なこと
訪問介護のサービス内容は、介護保険制度によって法的に決められています。したがって、対象となるサービスは、日常生活を送る上で必要なこと、サービス利用者に直接関係することに限られています。けれど、その人にとって必要なことや重要なことは、本人の置かれた立場や状況によって違うはずです。介護保険という制度だけではカバーしきれないさまざまな場面がどうしても生まれてしまいます。
1. 嗜好品の買い物代行やペットの世話、散歩などの付き添い
例えば買い物代行では、ホームヘルパーにお願いできる買い物は日用品に限られており、お酒などは嗜好品とされ、買うことができません。
買い物以外では、訪問介護が支援できるのは、日常生活を送るために必要な食事、洗濯、入浴、排泄などの介助に限られています。ペットの世話や散歩、娯楽のための外出などは、本人にとってどれほど重要であっても、介護保険サービスでは付き添ってもらうことができません。また、結婚式や葬儀、旅行など文字どおり非日常的なイベントの付き添いについても、サービスの対象外とされています。
2. 生活空間の外の手入れ(庭の手入れ・雪かき)
訪問介護では整理や片付けを依頼することができますが、その範囲は高齢者の日常的な生活空間、具体的には居室やキッチンなどに限られます。庭などの手入れは対象外となります。
雪のふらない地域では想像しにくいことかも知れませんが、雪が積もることも高齢者にとっては生活上の大きな問題になりかねません。一人で雪かきをするのは重労働ですし、積もった雪の上を歩こうとすればケガや事故にもつながりかねません。雪かきをホームヘルパーにお願いできればいいのですが、雪かきはヘルパーの出入りに必要な部分など訪問介護に必要な部分のみに限定されています。それ以外の場所の雪かきをお願いすることはできないのです。
3. 日々のゴミ出し
意外に思われるかも知れませんが、足腰に不安を抱える高齢者が困ることにゴミ出しがあります。多くの地域で、ゴミを出す曜日は決まっていて、当日の朝、例えば8時前後にゴミ出しをするなどのルールがあります。
しかし、ゴミ出しの時間に合わせてホームヘルパーが必ず来られるとは限りません。高齢者本人が地域のゴミ捨て場まで歩けない場合、ホームヘルパーにサポートしてもらいたくても、訪問時間と合わないことが多く依頼できるタイミングがなかなかないのです。
このように高齢者の生活環境をあらためて見回してみると、訪問介護だけでは足りない場面があることがお分かりいただけると思います。介護保険で対応できる部分は介護保険サービスでサポートしてもらい、そのほかの部分を介護保険外サービスで補うことはできないかという視点で考えてみることも大切です。それでは、介護保険サービスを補うものとして、実際にどんなサービスが考えられるのか、先ほどの具体例をもとにご紹介していきます。
ホームヘルパーにお願いできないとき、どうしたらいい?
1. 好きなものを買いたい、好きな場所へ出かけたいとき
自治体や地域のボランティア団体が買い物代行やペットのお世話、外出時の移動支援を行っているケースがあります。こうした情報は、自治体の地域包括支援センターが集めていますので、まずは相談してみるのも一つの方法です。ただし、地域によっては該当のサービスがなかったり、提供されていても予約がたくさん入っていたりしてすぐに利用できないケースもあるようです。
介護保険外サービスの買い物代行サービスや家事代行サービス、付き添いサービスを利用する方法もあります。介護保険サービスと比べ、費用がかかりますが、依頼できる内容の自由度が高いのが特徴です。利用する際には、口コミや実績などをもとに、信頼できるサービスを利用しましょう。
弊社「わたしの看護師さん」でも、買い物代行や家事代行、冠婚葬祭や旅行への付き添いなど、訪問介護でカバーしきれないサービスを提供しています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
付き添いサービスという新しい選択肢〜高齢者が安心して冠婚葬祭へ出席するために〜
2. 家の周りや玄関の手入れができないとき
家の外周りの整理などが急に必要になることもあります。例えば、台風などの天候の変化があると、屋外にあるものを移動しておくなどの対策を取らなければなりません。雪や台風に伴う作業の場合、地域のボランティア団体が対応してくれることがありますので、最寄りの地域包括支援センターに相談してみましょう。
また、雪かきや台風前後の作業を請け負ってくれる介護保険外サービスもあります。こうした作業は、短期間に依頼が集中することが予想されます。地域の支援団体だけではなく、シルバー人材センターや、民間の事業所が行っているサービスを知っておくといざというときに安心です。
3. ゴミ出しができず困っているとき
ゴミ出しで困っている場合にも、地域のボランティア団体や自治体から支援を受けることができます。地域でそうしたサービスが提供されているかどうか、地域包括支援センターなどに問い合わせてみるのもおすすめです。
介護保険外サービスとして、ゴミ出し代行を行っている事業所もあります。依頼する場合は、買い物代行、家事代行、ゴミ出し代行などのサポートを一括して行ってくれる事業所がおすすめです。困りごとが発生するたびにサービスを探していると、手間もかかりますし、信頼できる事業者かどうかなどの判断に悩むことになります。普段から継続的に付き合いをもっている介護スタッフになら、安心して任せることができます。
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介護保険の訪問介護サービスは、高齢者の自立した生活を支える重要な役割を担っています。けれど、介護保険の範囲では対応できないこともあるので、自治体の支援や地域のボランティア、介護保険外サービスなどを上手に活用することが大切です。
介護保険外サービスを利用して親が暮らしやすい環境をつくることができれば、親子双方にとって安心できる介護のかたちが見えてくるかも知れません。ホームヘルパーにお願いできること・できないことをしっかり把握した上で、親の日常生活、趣味、大切にしていることを思い返して、必要な介護サービスを選択しましょう。
介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。
家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。
「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。
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