要介護認定とは?介護保険サービスを利用するためにまずは申請を〜申請方法をご紹介〜

親が高齢になると、介護の問題は避けて通れません。特に親と離れて暮らしている方は、遠距離介護への不安が大きいと思います。

介護が必要になったときに頼れる公的なサポートとして「介護保険サービス」があります。このサービスを受けるために必要なのが「要介護認定」です。

「要介護認定という言葉を聞いたことはあるけど、申請の仕方が分からない」、「漠然とした知識しかない」という方も多いのではないでしょうか。

要介護認定を受けて介護保険サービスを上手く利用すると、遠距離介護の親は安心して生活ができ、介護者の精神的、経済的負担も減らすことができます。今回の記事では、要介護認定の基礎知識と認定のしくみ、申請方法を詳しくご紹介します。

要介護認定の基礎知識

・要介護認定とはどんなもの?

要介護認定とは、要介護状態や要支援状態にあるかどうか、必要な介護や支援がどの程度かの判定を行うことです。要介護度は、要支援1〜2、要介護1〜5の数字で表されます。

・どのタイミングで申請したらいいの?

要介護認定を申請するにあたって、決まったタイミングはないため、本人または家族が必要と感じたときに申請するようにしましょう。

・申請する際の費用は必要?

申請の費用は無料です。かかりつけ医に、主治医意見書を記入してもらう必要がありますが、診断書とは異なり作成の費用は各自治体が負担します。

・認定されるまでにどのくらいかかる?

申請から認定の通知までは原則30日以内に行なわれます。

認定のしくみと、要介護度別の身体の状態とは

要介護認定の段階を判断するうえでの基準として、厚生労働省は「要介護認定等基準時間」を定めています。5つの分野の介護にかかる時間と認知症加算の合計を基準にあてはめて評価を行います。

要介護認定等基準時間の5つの分類

  1. 直接生活介助(入浴、排泄、食事など)
  2. 間接生活介助(洗濯、掃除など)
  3. 問題行動関連行為(徘徊した場合の対応など)
  4. 機能訓練関連行為(立ち上がり訓練など)
  5. 医療関連行為

上記5分類の要介護認定等基準時間

要支援は、25分以上 32分未満またはこれに相当する状態です。
要介護1は、
32分以上 50分未満またはこれに相当する状態です。
要介護2は、
50分以上 70分未満またはこれに相当する状態です。
要介護3は、
70分以上 90分未満またはこれに相当する状態です。
要介護4は、
90分以上 110分未満またはこれに相当する状態です。
要介護5は、
110分以上またはこれに相当する状態です。

要支援1〜2、要介護1〜5はそれぞれどのような身体の状態?

各段階の平均的な身体や認知機能の状態は、以下のとおりです。

要支援1は、
日常生活の基本的な動作は、ほとんど自分で行うことができる。
掃除など、一部の家事でサポートを必要とする。

要支援2は、
日常生活の基本的な動作は、ほとんど自分で行うことができる。
歩くときに、杖や手すりなどの支えを必要とすることがある。
部分的な支援が要支援1よりも多くなる。

要介護1は、
食事、排泄など身の回りのことはほとんど自力でできる。
入浴、着替えなど部分的に介護が必要。認知症の症状が見られる。

要介護2は、
排泄、入浴など、日常生活全般の一部もしくは全部において、介護が必要。

要介護3は、
日常生活全般において、ほぼ全ての介護が必要。
自力での起立や歩行が困難。

要介護4は、
日常生活全般において、常に介護が必要な状態。
自力での起立や歩行がほとんどできない。
理解力の低下が見られ、意思疎通もやや難しい。

要介護5は、
ほぼ寝たきりで、介護なしでは生活ができない状態。
理解力の低下が進み、意思疎通は困難。

介護認定の申請方法

申請する前の準備

1.必要な書類を準備する
主に次の4つの書類を準備します。自治体によって異なる場合があるため、事前に確認しましょう。

①要介護・要支援認定申請書
各自治体の窓口、またはホームページからダウンロードができます。
②介護保険被保険者証
65歳の誕生日までに、自宅に郵送されます。紛失した場合は、再発行ができます。
③本人確認書類
④認印

2.主治医を決める
申請書には、主治医を書く欄があります。自治体から依頼し、その主治医が「主治医の意見書」を作成します。認定の判断資料になるため、普段、通院しているかかりつけ医を記入することがベストです。特に主治医がいない人は、自治体の窓口か地域包括支援センターに相談しましょう。

申請から認定までの流れ

1.申請者本人が住んでいる自治体の窓口に提出する
本人の申請が難しい場合は、家族などの代理人でも手続きができます。近くに家族がいない場合は、地域包括支援センターに代行をお願いすることも可能です。

2.認定調査が行われる
各自治体の認定調査員が自宅を訪問し、本人と直接会って現在の状態について聞き取りを行います。適切な判断を行うためにも、家族も同席することがベストです。基本は本人に答えさせて、普段と違う点があれば後から調査員に伝えましょう。

3.一次判定、二次判定
本人から聞き取った内容、主治医意見書の一部をコンピュータに入力して一次判定が行われます。その後、一次判定、主治医意見書などをもとに、専門家で構成された介護認定審査会が二次判定を行います。

4.認定
一次、二次判定を経て、要介護認定の結果が通知されます。申請から認定の通知までは原則30日以内に行なわれ、介護認定通知書と、介護区分が記載された介護保険被保険者証が郵送されます。

5.サービスの利用を開始する
認定を受けた後は、サービスの利用を開始します。

・要支援1〜2に認定された方
地域包括支援センターに相談し、センターのケアマネジャーに介護予防ケアプランを作成してもらいます。
・要介護1〜5に認定された方
自宅でサービスを受ける場合は、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらいます。その後、事業者と契約を結び、ケアプランに沿ってサービスが提供されます。

認定後に利用できる介護保険サービス

要支援・要介護と認定されると、ケアマネージャが作成したケアプランに従って介護保険サービスの利用を開始します。介護保険で利用できる代表的なサービスをご紹介します。

・自宅で受けられるサービス

訪問介護では、ホームヘルパーが食事や入浴、食事の準備、掃除、洗濯などの支援を行います。また、看護師などが在宅療養をサポートする訪問看護もあります。

・施設に通所して利用するサービス

通所介護(デイサービス)では、日帰りで施設に通所し、食事や入浴の支援を受けます。高齢者同士で交流することができるメリットもあります。また、通所リハビリテーション(デイケア)では、日常生活のサポートのほかリハビリテーションも行います。

・福祉用具のレンタル

ベッド、手すり、車いす、スロープ、歩行器などの福祉用具をレンタルすることができます。

・高齢者施設への入所

介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院などに入所しサポートを利用することができます。

認定された介護度によって利用できる介護サービスや高齢者施設、利用限度額が異なります。担当のケアマネジャーに相談して、ご本人や家族の希望に合わせたケアプランを作成してもらうことが重要です。


要支援、要介護と判断された際に受けられる介護保険サービスは、高齢の親や介護する家族がより良い生活を送るための心強い支援になります。利用することで、金銭的な負担をおさえつつ、手厚いサポートを受けることができます。

しかし要介護認定の手続きには時間がかかります。親の様子を確認して、介護が必要と感じた場合は早めに申請することが大切です。

ぜひ今回の記事を参考に、申請を検討してみてはいかがでしょうか。親の介護が必要になる前に要介護認定についての知識を増やして、いざという時のために備えておきましょう。

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