チームで介護を乗り越える|役割分担の方法

介護をする上で、一人で抱えきれずに困った経験はありませんか?

親の介護を自分一人だけで抱え込んでしまうと、身近な存在であるだけに、愛情がある一方で、介護の疲れや苛立ち、ストレスから、思うように向き合えなくなってしまうことも少なくありません。

親の介護について考える上で、誰が、何を、どれだけ担うのかを話し合うことは、親、そして自分自身が前向きに介護と向き合うために、欠かせないことです。

頭を悩ませるポイントですが、今回は介護の役割分担について考えていきます。

介護における役割分担とは?

介護の役割分担は、見守りや移動介助などの身体的なサポートだけではありません。例えば、介護者を支えるために家事や育児を率先して行う。遠方のため気軽に会いに行けないのであれば、金銭面で支えるなど、育児、家事、経済面も含めた「役割分担」が必要です。

全国的な傾向をみても、主な介護者は配偶者が担う場合が多く、高齢化の進展に伴い65歳以上の高齢者が高齢者の介護をする老老介護が問題となっています。この問題点は体力的精神的・負担が大きいことや、介護者、要介護者どちらも認知症である認認介護のリスクが高まる恐れがあるということです。
(参考:
公益財団法人 生命保険文化センター 要介護者との続柄および同別居の状況)

役割分担の事例とポイント

介護の役割分担について、ある大学生に話を聞いた事例を紹介します。


母は、認知症である祖母の介護のほとんどを担っています。

子ども3人は学生であり、パートナーである父は朝から夜まで仕事をしています。そのため、祖母の介護は母が9割、父と少し離れた距離に暮らす母の兄が残りの1割を担っています。

母は仕事と介護で日々多忙な生活を送っているため、家の家事などは子どもや父が率先して行うことを心がけています。

また、離れた場所で暮らしている母の兄弟は実家に帰ってきたとき、率先して祖母と会うようにしたり、実家の掃除などを行っています。祖母の病院に付き添わなければならないときは母が行い、時間が取れないときは父や母の兄弟が行うようにしています。

その他、トイレのお世話などは異性にはしてもらいにくいという問題があるため、母が率先して行うようにしています。

また私の家族は、月に一度か二度、みんなで夜ご飯を食べる機会に祖母の様子について話し合っています。

その際に、これまでの反省点や新たな気付き、改善、お互いにもっとこうしてほしいと思うところなどについて意見を出し合っています。

親の介護に必要な知識を広げるという点で、真剣に介護のことだけについて話す機会があってもよいと思います。もちろん、真剣な話し合いも必要ですが、その空気感に身構えてしまい本音を話せなかったり、疲れてしまうこと考えられます。

私たちの場合、介護は重いものであるという意識を子どもたちに持ってもらいたくないという母の思いから、比較的気楽に話せる食事のときに、話し合いの機会を作りました。

そこで話し合われた内容は、別の場所で暮らしている母の兄に母が伝えるようにしています。

親の介護に関わる家族全員で情報を共有することで、みんなで介護をするという意識やチームワークを高めることが出来ます。



自分一人で抱え込まずに、チームワークを大切にする

いかがでしたか?

『自分一人で抱え込まずに、チームワークを大切にする』ことが、介護と向き合う上で大切にして欲しい考え方です。

介護を一人で抱え込んでしまっては、自分の体をいたわる時間が無く、余裕が無くなり、ストレスが蓄積してしまうこともあります。

介護が必要な親など、要介護者もそれを敏感に感じ取り、気を遣わせてしまったり、ストレスにより感情をぶちまけてしまうなど、負の連鎖が起きてしまう可能性も少なくありません。

他人を頼ることで、疲労で倒れて介護者が減ってしまうなどという事態も減らすことができます。介護は一人で行うものではありません。

また、後悔しない介護をするために、『親の要求を無視しない』ことも大切です。親を抜いた家族だけで話しを進めてしまいがちですが、決まったことを伝えると大きな反発にあったり、そもそも「誰の何のための介護」かわからない状態になってしまいます。

仕事や子育てなど、介護をする方々もそれぞれの事情を抱えながら。とても難しく、悩むところではありますが、第一優先として、介護者のことを思いやった行動を心がけましょう。

このように、「自分一人で介護を抱え込まない」ために、役割分担を円滑に進めるための方法を紹介します。

①介護をする人同士でおおよそ同じ認識を持つこと
介護は、家族などの要介護者のまわりにいる人たちが協力し合って成り立つもの。家族間で「介護の考え方」や「親の情報」に齟齬があると、要介護者の体調などに大きく関わったり、主に介護を担う人がストレスなどでダウンしてしまったとき、どうしたらいいんだとパニックになってしまう可能性もあります。

要介護者と一緒にいる時間が多い人、仕事の都合などであまり一緒にいることが出来ない人、要介護者と離れた場所に住んでいる人では、介護や心身の状態についての認識が異なってきます。日頃から情報共有を行い、介護について他人事ではないという意識を持てるような働きかけが大切です。

②費用について話し合う
介護において避けて通れないのが、介護の費用についてです。金銭面でトラブルになり、家族同士でうまく連携が取れないということも。

「だれがどのくらい負担するのか」、「主体となっている介護者はほかの家族よりも支払う金額を減らすべきか」などについてしっかりと話し合いましょう。

住宅ローン、子供の教育費用など、それぞれ抱える問題はあっても、将来自分が介護される側になったとき、主な介護者になったときの知識を持つという意味でも、費用に関する問題は早い段階から話し合う機会を持ってみましょう。

③介護サービス事業者を頼る
今の日本では、三世代同居、二世代同居など、近くに親が住んでいるという状態が減少していることもあり、親の介護を毎日できないという状況にある方は多いのではないでしょうか。

そこで、介護保険を活用して介護ヘルパーにお願いする。介護のプロを頼ることも、前向きに親の介護と向き合う上で大切なチームワークです。

また、介護保険内でカバーされない範囲についても、買い物代行や病院付き添いなど、介護サービスを提供する事業者を頼ることで、安心して仕事や育児に取り組むことが出来ます。

まとめ

「介護が必要な親の近くに自分しかいないため、全てを自分で担っている」

「親の介護に関わりたいけど、遠方のため物理的なサポートができない」

など、各家庭によって様々な事情があるはずです。

まずは気軽な食事の場所などで、家族と話し合ってみてはいかがでしょうか?自分の思いをはっきりと伝え、まわりを巻き込んだ介護を行ってくこと。どうか一人で抱え込まずに、前向きに親の介護と向き合える状態をつくっていきましょう。

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