夫婦の会話が少なくなった、どんな会話をしていいか分からない。そんな夫婦の問題を解決してくれる「よりそる」というサービスがあります。今回は、よりそるを作った代表の高本さんと夫婦のあり方について対談しました。
「家事と介護を両立することの大変さを、夫になかなか理解してもらえない」、「妻がなんで怒っているのか分からない」そんなお悩みをお持ちの方の参考になれば嬉しいです。
この記事の内容は、Youtube配信をもとに記事化しています。
音声でお聞きになりたい方は、こちらのYoutubeをご覧ください。
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夫婦をお助けする新サービス「よりそる」
神戸:私たちの主なサービスは、病院受診の付き添いの報告だったりするんですよね。それだけではなく契約者さんの悩みを聞いたり、不安を取り除いたりすることも、メンタルヘルスケアの重要な側面だと感じています。
ここで、核家族家庭にお住いのお母さんの介護を例にしてお話しします。実は、お嫁さんは、育児や仕事でいっぱいいっぱいで、お姑さんの介護まで手が回せないという思いがあったりするんですよね。でも男性陣は意外に楽観的で、感覚のずれが生じてしまいがちです。こうなると、最終的に夫婦の仲が悪くなるなんてことがよくあります。
高本:私は今、更年期を夫婦で乗り越えることをサポートする「よりそる」というサービスを展開しています。更年期って45歳から55歳の間が一般的で、男女関わらず一番辛くなる時期なんですよ。なぜかっていうと、家庭的な責任があって、仕事でも社会的な責任を持って、特に女性は女性ホルモンが大幅に減ったりと、体調や心身が不調になることがあるからです。
そうすると、女性は「こんだけ大変なんだから言わなくったって分かるでしょ」、「なんで分かってくれないの」みたいに怒りがわいてくるんです。逆に男性から見たら、何も言われないってことは問題がないっていう風に思ってしまいがちなんですよね。それに対して女性からしたら、「どうせ言っても分からないでしょ」みたいに諦めが出てくるんですけど、意外と男性はこちらが今どういう状態で何をどうして欲しいっていうことを具体的に伝えると、対応してくれたりするんですよね。
そこで、「よりそる」では夫婦の悩みを解消するため、スマホを取り入れたコミュニケーション型のサービスを提供しています。スキマ時間を有効に使って、夫婦間の大事な決め事を共有していくことが目的です。
男女の価値観の違いーお互いを理解することの大切さとは?
神戸:仕事や介護、さらには育児に追われていると、旦那さんと話すときにいちいち説明するのもめんどくさくなってきますよね。「なんで分かってくれないの」って思う女性と、「言ってくれれば分かるのに」と思っている男性で、気持ちにズレができて、喧嘩につながってしまうこともあるかもしれません。
高本:たしかに男性の言ってくれれば分かるっていうのは、嘘ではないと思うんですよね。でも更年期や子育てで、自分に余裕がないときにそんな細かいことまで随時話してられないってところが女性の本音だと思います。
例えば、男性に「ちゃんとパートナーの話を聞いてあげていますか」っていうアンケートを取ると、「ちゃんと聞いてます」ってだいたいの方がおっしゃるんですよね。逆に女性に「パートナーはあなたの話ちゃんと聞いてくれますか」って質問をすると「ちゃんと聞いてくれない」という回答が9割なんです。
同じことを投げかけてるのになぜこんなに回答の差があるのかというと、話を聞くっていう定義が男性と女性とでは違うからだと思います。男性の話を聞くっていうのは、相手の話をまず正しく理解して、解決のために動くことなんですよね。一方で、女性の話を聞く=ちゃんと私の話を最後まで聞いて共感してねっていうことなんですよ。男性がやらなきゃって思ってることと、女性がやって欲しいことにこれほどのギャップがあるということが分かります。
そこのズレを調整していくのが、私のサービスでやっているところです。女性が話を聞いてほしいっていうのは、最後まで聞いてほしいっていうことなんですよとか、男性が途中で口をはさむのは悪気があって言ってるわけではなくて、男性からしたらそれは相手のことを思ってやっている最大限の愛情表現なんですよとか。まずはお互いのコミュニケーションにずれがあることを知ってもらいます。
そのうえで、女性に言ってるのは「私ね、とりあえずこの話最後まで聞いてほしいから最後まで聞いてくれる?」と最初に言うことです。「今は何をしたらいいんだな」っていうのが分かると男性もやりやすくなるので、やってほしいことをいかにわかりやすく伝えるかみたいなことがポイントになりますね。
変化する夫婦のスタイルと、それを理解してもらうためのサービス
神戸:30年~40年前の介護をする人は、同居してる長男の嫁、次におばあちゃん、そして結婚していない娘というように、上位を女性が占めていました。この時代の教育は、「長男と次男はしっかり勉強して一流大学にいって企業に入りなさい」「介護や家事はやらなくていい」っていう感じで子育ての中に刷り込んでたんだと思うんですよ。いわゆる、ザ・昭和みたいな。そういう時代に生まれ育った人たちに、高本さんのやり方っていうのはスーッと入ってくるもんなんでしょうか?
高本:たしかに、50歳以上の方は「言っても無駄なんじゃないかな」って思っている割合が多いみたいで、実際に私のサービスを使ってる方の多くが40代前半なんですよね。年齢が上がったり都市部から地方にいくほど、男は男らしくみたいなところがあったりもします。また、自分の親はそうだったよねって、分業制を当たり前に思ってる方が多いので、なかなかその辺は難しいかなっていう気はしています。
私たちの世代とかそのちょっと上の世代って、親のスタイルを自分たちの夫婦にあてはめることができない時代で、さらに自分の子どもたちはもっと違う価値観でっていう変化の激しい流れにいるんですよね。だから、今までのカチコチの頭でいると自分自身も幸せになれないし、パートナーや子どものことも幸せにできないんだって考えてもらうことがこれから特に大事になってくると思います。
そのためにも、分かりやすい数字や図式で知識をきちっと提供をして、客観的な情報を与えつつそこで考えてもらうことがとても大事になってきます。特に男性は、数字を見たりデータを見たりすると納得しやすい方が多いんですよね。なので、なんとなく今こうなってるんですよっていうことを見てもらって、「自分のパートナーや子どもの幸せを考えたときに僕もこういうことを考えなきゃいけないな」って気付いてもらえれば嬉しいです。
周りにパートナーの話ができない⁉ 男女の会話の違い
高本:よりそるでは夫婦間の会話でスマホを介在させることを重視しています。例えば、『1週間のうち奥さんの体調が悪い日はこれぐらいありましたよ』っていうデータが旦那さんに送られてきます。そうすると、今まで気付かなかった奥さんの本当の状態が数字として見ることができます。その結果、お互いをより深く理解することに繋がっていくわけで、みなさん『パートナーが優しくなった』って言うんですよね。
神戸:その着眼点がおもしろいなと思います。私も40ー50代の方がどういう感情で生活してるのかを知りたくて、女性向けの雑誌と男性向けの雑誌を買ったんですよ。そしたら、たいていの女性雑誌には愚痴の欄があるんですよね。それも旦那が、姑が、介護がとか結構“負”のことばっかりなんですよ。一方で、男性向けの雑誌は全部趣味なんですよね。釣りだのキャンプだのなんでこんな前向きなんだみたいな。そのとき、男女でこんなにも違うんだって改めて感じました。
高本:それはパートナーのことを外部に話すということに対して男女で見られる違いが大きく関係していると思います。まず女性の方は、周りの人にパートナーの愚痴を話すことがよくあります。でも男性の方は、不満があってもそれをカバーできていない自分の責任だと感じがちです。そう考えると、誰かに話すことで発散できる女性よりも男性の方が抱え込んじゃっている場合が多いですね。
神戸:いいことだけじゃなくても適度にパートナーの話を聞いてもらうことは、大切なことかもしれませんね。男性は、自分の趣味に没頭する時間を設けて、女性とは別の方法でセルフコントロールしているなんて教えてもらわないと分からないですよね。
高本:私のサービスを利用している方でも「結構面白かったからどう?」って話すことで女性には口コミから広がりやすいんですね。一方で男性は家庭内のコミュニケーションがうまくいってないってことを周りの人にばれたくないと感じます。なので、いいと思っても周りに勧めることはできないみたいです。
神戸:確かに、うちの会社でもメールや電話で問い合わせを頂くときは、男性の方が多いですね。おそらく職場の同僚やお友達とかには相談できないんだけど、どうしていいかわからない。だから電話やメールだったらできるっていうのがあるんでしょうね。
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前編では夫婦の価値観の違いから始まり、それをサポートする「よりそる」についてお話を進めてきました。相手のことをより理解するために自分は何をするべきなのかを考えさせられたかと思います。後編では、「夫婦円満の秘訣」などパートナーともっと仲良くなるためのコツをお伝えします。
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