ゴミ屋敷と聞いて何を連想しますか?
世捨て人?
精神的に変わった人?
お金がない人?
ゴミ屋敷の住人のケアに入るというご依頼がありました。
家中に新聞やペットボトル、書類の山ができており、
その住人は食べることを忘れ、餓死寸前の状態でゴミに埋もれていました。
かつては上場企業に勤務し、悠々自適な生活を送ってきた様子がごみの内容から連想できました。
いつからこの住人はゴミ屋敷の主になって、命を落としかねない状況になってしまわれたのか・・・・。
ゴミ屋敷にしてしまう原因はいくつかあります。
ためこみ症
精神病
認知症
多動性障害
自閉症
アルコール中毒 などなど
今回の住人は明らかに認知症という診断が下されました。
荷物の整理をしながら分かったことは、
3年ほど前までは郵便物の整理や読書、外出もできていたようで、
百貨店のレシートが家計簿の中に整理をされていました。
ところが、それ以降、色んな紙の切れ端に記憶の断片を残したようなメモが溜まってきました。
『5月12日 晴 ごみを捨てに行くと曜日が違うと近所の人に言われる。帰りに隣の犬の名前を訊ねるが、何度も聞いているはずなのに覚えられない。』
『6月5日 曇 安倍政権のニュースでもちきり。朝ご飯を食べたか分からない。午後から百貨店に行く。名前を思い出せない店員さんが声を掛けてくる。少し面倒。』
『6月18日 雨 何度も新聞の日にちを確認する。物忘れが酷くなった。13時半にトイレに行く。18時にトイレに行く。お腹を下してしまった。』
『7月2日 雨 9時新聞を読む。朝ご飯がない。14時半スーパーでお弁当とジュースを8本買う。16時郵便物を読む。送り主が誰だか分からない。18時電話ある。誰から?』
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健常者が記入しない排泄のこと、新聞を読むことなど、ご自分の行動を細かく記載されたメモが何枚も見つかりました。
今ではペンを持つような仕草はなく、「私はすくにバーッと忘れてしまうから・・・・。」と笑顔でお話をされます。
ご自分の記憶が曖昧になっていくことの恐怖から、行動のメモを残し、
孤独に対する不安から耐え続けた結末が、ゴミ屋敷の主として生活をされているのでした。
市役所や地域包括支援センター、自治会長さんと協力し、
デイサービスや往診医ともタッグを組むことになりました。
この方の健康を維持しつつ、住みたい場所に居続けられる状況にするというミッションのもとで関わることにしました。
朝食を運び、衣類や下着の交換、部屋の片づけ・・・・。
みるみるうちに顔に血色が出始め、
一人で歩くことができるようになりました。
認知症は治すことができないと言われる病気ですが、
早期発見で認知症の進行を遅らすこともできますし、
住環境を整えつつ、安全に生活し続けることができます。
これから益々少子高齢化のあおりを受けて、
お一人暮らしの高齢者が増え、自宅がゴミ屋敷化する可能性は高まってきます。
もし、お隣に住んでいる高齢者がゴミを溜め始めたら、
行政に相談してください。
もし、実家の親が自分の生活行動を事細かに記録に残し、または整理整頓もできず、家の中が片付かなくなったり、着衣の乱れが目につきだしたら、
専門医の受診をすすめてください。
私たちは認知症が進行していく高齢者に関わっております。
多くの高齢者が記録を残し、ため息をつきながら読み返しています。
高齢者の認知症およびゴミ問題はデリケートです。
相談窓口を設けています。
また、親御さんのお宅に訪問してほしい、病院受診に付添って欲しいなどのサービスご利用のご希望でしたら、
「わたしの看護師さん」までお気軽にお問い合わせください。
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