ダブルケアの実践に学ぶ、介護を一人で抱え込まないコツ

「子育ての話はしても、介護の話は誰にも相談できない…」

「遠距離の親が心配だけど、子育てや仕事があって手がまわらない…」

と、離れて暮らす親の介護への難しさや子育てと介護の両立に、苦労をされている方も多いのではないでしょうか?そこで、ダブルケアをテーマに、遠くの親戚より近くの他人に上手に頼る、任せる。介護の方法を一緒に考えるオンラインセミナーを開催しました。

ゲストには、自身も両親の介護と3歳の長女の子育てのダブルケアを経験し、子育てと介護と仕事を両立するための社会支援整備を目指し活動するNPO法人こだまの集い代表の室津 瞳さんをお迎えしました。

3人に1人がダブルケアを迎える時代に、いかに自分自身や親の介護と向き合うか?そのヒントが詰まったセミナーの様子をレポートします。

ダブルケアに遠距離介護…変わりゆく家族構成

神戸:私は元々看護師で、起業するにあたってケアマネージャーの資格を取りました。今は、介護サービス事業所の経営者をやっています。

それから、二児の母でもあり、妻でもあり、実はダブルケアをしていました。18年前に、主人の叔父・叔母の介護をしていたんですね。その時は、「介護ってめっちゃ楽でしょ」っていう思いがあったんですよ。看護師だから簡単にやれると思っていたんです。だけど、実は奥が深い。

介護保険ってお得に使えますけど、「何ができる・できない」がややこしくて、かなり泣かされました。

今は、叔父と叔母の介護は終了したんですが、父親が69歳で突然倒れたんです。それで介護が始まり、遠距離介護で弟とか妹に助けてもらいながら、あと介護保険にお世話になりながらという生活をしております。

介護保険は、20年前にできた仕組みなんですね。ただ、今は子どもの数が減って、子どもと親が一緒に住んでいない状況が増えてくると、ちょっと使いづらさも見えてきたかなと思っています。今の介護制度が、介護を担う子どもたちのニーズに合っていないんですね。

例えば突発的に起こる体調不良の看病、これには介護保険は使えません。それから、診察室に入って医師の話を聞くことや入退院・入院中のお世話。これには介護保険のヘルパーにお願いできるかなと私も思ったんですが、実は医療保険と介護保険は同時に使うことができないんです。診察室内の付き添いは今でも、家族がやるべきと言われている場所です。

特にコロナ禍では、離れて暮らしている親御さんの付き添いができないという不安やストレスを感じられる方が多くいらっしゃいます。30~40年前は、同居してる家族が多かったですよね。その時代は、誰が介護を頑張っていたかというと、長男や次男のお嫁さんでした。その次が、いわゆるおじいちゃんの介護をしているお母さん、そして結婚していないお嬢さんです。だけど今はどうかというと、子どもの配偶者、いわゆるお嫁さんたちっていうのは、一番最下位にきています。

それぐらい女性の社会進出が進んでいますし、もちろん、お嫁さんたちも自分の親御さんの介護もしなくてはならない状況もありまして、介護を担う人たちの顔ぶれがかわってまいりました。

私たちはダブルケアにお困りのお子さんたちとか、あと遠距離介護ですね、一緒に住んでないとか、あとは近くに住んでるんだけども仕事が忙しい現役世代のお子様たちのサポートという事業をやっています。

仕事、育児、犬のお世話、自分のケア、それから介護のファイブケア⁉の実践

室津:私はこだまの集いの代表理事であり、ダブルケアの当事者でもあります。10年ほど介護職をしまして、そのなかで高齢者の急変に立ち会う場面が多かったということから、医療的知識を身に着けたいという理由で看護師の資格を取りました。そこから、地域の連携といった部分に興味があって、デイサービスに勤務をしています。

実はですね、6歳の娘がお腹の中にいるときに父親が急に倒れてしまい、一時期命が危ないことがありました。医師に2~3日しか命が保障できないということを言われていたのですが、「お腹に赤ちゃんいるから顔見れるといいね、頑張って」ってお父さんを励ましたら奇跡の復活をとげて、寝たきりの状態から身の回りのことを自分でできるぐらいまで回復しました。

一安心と思っていたのですが、娘が3歳のときに、父親が末期癌であるということが分かりました。もともと、母親が父親のサポートをしていたのですが、なんと母親も癌になってしまったんです。そのとき私は、たまたま第二子の長男を妊娠していました。妊娠しながらフルタイムで勤務をしていたことも大変でしたが、父親が突然病気になって、父親を看取るであろう母親も入院して手術が必要になって、もうダブルケアどころじゃなくなりましたね。

自分自身のケア、母親のケア、父親のケアと娘の子育てもして、実家には犬もいて、犬の面倒までみないといけなくて。車で1時間程度の距離に暮らしていたので、職場と自宅と両親の実家と病院とでめまぐるしい日々が1ヶ月ぐらい続きました。

父親を在宅で看取って、その後、無事長男が生まれました。

私は、これからダブルケアになっていく人って本当に増えていくと思うんですが、ダブルケアでも大丈夫だよってことを伝えたいです。

(室津 瞳 NPO法人こだまの集い 代表理事/2017年に両親の介護と3歳の長女の子育て、自身も長男を妊娠中であるダブルケアを経験。当事者になり、子育てと介護が重なることでの就労継続の困難さや、日本はダブルケア支援制度が未整備である現状を知る。これらの社会課題の改善に向けて、当法人の設立を決意した)

こだまの集いは、主に介護職や保育園の専門職、経営者、管理者層で構成しています。現在は、30人くらいの当事者の声を集めて、武蔵野大学社会福祉学科の渡邉浩文教授と一般社団法人ダブルケアサポートと一緒にダブルケアの研究をしています。

みんながどんなことに苦労したのか、そしてどんな助けがあって救われたのかということを明らかにしています。今後は、この研究の結果をみなさんに還元していきたいと思っています。

子育てについては、ママ友さんと情報交換等が気軽にできるのですが、介護について語ることってほとんどないと思うんですね。なので、ダブルケアの当事者の方が話せるような居場所作りをしています。

子育て、仕事、介護、優先順位を判断するのが本当に難しいんです。昨年度は自分自身のケアも含めて起こりそうなイベントをあげ、優先順位の判断を遊びながらトレーニングするワークショップを作りました。今年度もやるので、みなさん興味があったら遊びに来てくださいね。

ダブルケアとは?3人に1人がダブルケア

室津:ダブルケアとは、育児と介護を同時に担っている状態であるということです。では、期間はいつまでなのか?私は、自分自身のケアも含めてお腹の中に子どもがいるときから子育てって始まってるのかなと思っています。なので、こだまの集いでは妊娠中から学費がかかるまで、自立するまでは子育てと認識しています。

介護に関しては、親が転び始めたとか、うちの親がなんだか小さくなったかも、久しぶりに会ったら声が小さくなったみたいとか、ちょっと気になり始めたときから看取りまでを介護と認識しています。

具体的なケアについて、子育ては想像がつきやすいと思います。日々の寝かしつけや習い事、保育園の送迎、お金のかかる教育費のサポート等、日常のことですね。介護に関しては、身体的な介護のみがイメージとしてあると思うのですが、実は安否確認とか、買い物の代行とか病院まで付き添ってとか、そういったこともケアの1つかなと思っています。それと、介護保険の申請や介護環境を整えるっていうマネジメントの部分が必要なケアとして増えています。

ダブルケアはマイノリティではなくて、36.6%の方が子育てと介護が重なるダブルケアに直面すると言われています。ダブルケア当事者の平均年齢は39.6歳なんですね。

介護と育児の違い

室津私は、ダブルケアでも大丈夫って言いたいんです。今、研究をしていると、マネジメント力があって、うまくできて調整してる人は、積極的に介護保険サービスを使うとかベビーシッターさんを頼むとか、宅配のサービスを頼むなど、うまくいろんなサービスをフル活用して乗り切っている方が多いような傾向があります。

「育児と介護は似てるからできるよね」と思われやすいのですが、育児と介護って全く似てないです。むしろ真逆なケアが必要だよっていうお話をさせてください。

例えばですね、企業さん側は、従業員の方が子育てしてることは比較的把握していることが多いと思うんですね。ですが、仕事に影響を与えるとか、職場で介護について語れる機会が少ないことから、従業員が介護をしている実態を企業側が把握していないっていう場合があります。

子育てに関しては、育休・復職といったものに一定の準備期間があるんですが、介護は突然始まる場合が大半なので、準備期間がほとんどないという点が特徴的です。

負担に対する重さは、子育てはだんだん子どもが成長すれば手が離れていくので子育ての負担が軽くなっていきます。介護は時間がたてばたつほど重くなって行く傾向があります。さらに、期間も子育てはある程度想像できますが、介護はいつ終わるか分からない部分があります。

施設でいうと、子育てに関して保育園とか学童って親の就労時間に合わせて配慮されてる場合があるのですが、介護に関してデイサービス等はだいたい最終の送り届けが17時で、ビジネスパーソンに配慮されてないことが傾向としてあります。

誰に相談すればいいのか?となったとき、まずは地域包括支援センターです。地域包括支援センターは介護のことを主に相談しに行く場所ですが、厚生労働省が地域に関する全体の困りごとも地域包括支援センターが相談の担当であると明記していますので、ダブルケアについても地域包括支援センターにご相談されてください。

その際に1つ重要なポイントがあります。それは、親の住んでいる地域の地域包括支援センターに行くということです。

けれど、まだダブルケアの実態が明らかになっていないので、支援する側も支援の具体的な方法が分からないという現状があるかと思います。子育てや介護に関する状況、どんなことに具体的に困ってるのかということが分かれば、スムーズに進めることができると思います。こだまの集いでは、そういったものを視覚化できるようなシートを作りました。これから相談に行かれる方いらっしゃいましたら、こだまの集いのホームページからシートフォーマットがダウンロードできるようになっているので、覗いて見てください。
(参考URL
https://www.kodamanotsudoi.com/sheet/)

ダブルケアに関して何か具体的にお困りのことがあれば、こだまの集いのホームページからお問い合わせいただければと思います。各地域にもダブルケアの支援団体がありますので、お近くのところで繋がっていただくといいのかなとは思っています。

ダブルケアを乗り越える3つのポイント

室津:私は1980年生まれなんですが、生まれた時は現役世代が約7人で1人の高齢者を支えていたんですよね。でも、私の子どもが現役世代になる頃、20年後は1対1になります。ということは、私たちの子ども世代が子どもを生んで活躍して現役世代になる頃は、もうダブルケアが当たり前の時代になります。だから、今頑張って研究してね、ダブルケアでも大丈夫っていう仕組みを作ろうと思ってるところです。

ダブルケアって確かに大変なんだけども、3つのポイントで乗り切れる可能性があると思ってます。

1つ目は人脈です。これはぜひ、優秀な介護職の方とつながっていただきたいです。ケアマネージャーさんは、なる前のスキル・背景がいろいろあって、神戸さんや私たちみたいにもともと看護師や介護職の人だったり、認知症の方の対応が得意なケアマネージャーさんもいます。いろんなケアマネージャーさんがいるので、介護のプロにつながっていくと親御さんに合ったケアマネージャーさんに出会えたり、介護の環境を整えられる可能性があります。

2つ目は知識を身に着けること、3つ目はマネジメントしていくことっていう流れで「どう調整して何を優先していけばいいのか」っていうのを考えることができれば乗り切れます。

そして、自分の人生を一番大事にしてくださいということです。これも3つのポイントがあって、まず抱え込まないこと。次に家事・育児、何をするにしてもやるべきことを洗い出して優先順位をつけていくこと。そして、自分に優しくです。

100%を目指さない。ゴミ出しだって無理に今日出せなくてもいいじゃんと、自分をどんどん許していくことです。

あとは、自分自身でやらないで神戸さんのサービスに病院受診を付き添ってもらうとか、誰かに頼ることでどんどんタスクを減らしていくっていうのが大事だと思っています。私がダブルケアをしてる時に考えていたのは、自分自身にしかできないことは何だろうということです。

例えば、子どもの送迎は私がやらなくてもいいよねとか、介護の環境を整えるとか子どもにとって母親である自分自身にしかできないこと以外は誰かに託すって割り切ってました。「だってそうしないとつぶれちゃうもん」という感じで、ほんとにやることが多くてやりきれないので、自分自身にしかできないことは何ですかっていうのをみんなには考えてほしいですね。

ダブルケアに直面しても気づかない人って本当に多いんです。話をしていると「私はダブルケアをしていない」って言うんですけど、よくよく聞いてみるとダブルケアの場合があって。

体の介護をしてないから介護してるって思わないんですけど、「そうじゃないよ、親御さんの介護保険の調整とか始まってるよね」とか「施設探してるよね」ってそれも大変な介護なんです。自分でダブルケアってことに気づくと誰かに頼ろうとか助けを求めるっていう発想に変わってくので、なるべく早く気づいてほしいなって。今日もそのきっかけの1つになったら嬉しいなって思ってます。

ダブルケアや遠距離介護に向けて、介護を知る・備える機会

神戸:わたしの看護師さんももうすぐ7年目になりますが、教育が必要だと感じるんですね。「ダブルケアはいずれ当たり前になります」ってお話を室津さんが発信してくださってますが、学校教育では、高齢者はこういう人たちなんですってことを体験することができたとしても、介護っていうものに触れることは少ないですし、親の介護をイメージする機会はまだまだありません。介護は、早い子だと20代からスタートする人も多いですから、どうやったらライフデザインを考えて、若い人たちも理解できるような社会になるのかっていうところを室津さんはどういうふうにお考えですか?

室津:まず、現状の制度において現役世代がサポートを受けられないというお話からしますね。東京都はダブルケアに対する管轄が福祉保健局に決まりました。それ自体もすごく大きな一歩なんです。具体的にどんな支援をしてもらえるかっていうと、東京都に住んでいる現役世代のサポートではなく、高齢者のサポートを東京都はやるんです。介護する人が誰なのかというと現役世代ですよね。そこに対する管轄は宙ぶらりんになっていて、結局自分自身で調整をしていく必要があるんです。ですので、現役世代へのサポートは特に重要だと思っています。

東京都と地方のダブルケアは特性が全然違うことが見え始めてきています。

例えば、東京都はダブルケアになる時点で遠距離率が非常に高いんですね。離れている親に対してどうサポートして、調整していくかが東京都中心部の課題だと思います。地方は、身近に親や親戚はいるものの、保育園や介護サービス、頼れるリソースが少ないですよね。

そことの関係が崩れると、いっきにダブルケアが辛くなってしまう状況があります。

介護に備えることは本当に大事です。例えば、「地域包括支援センターっていうところに相談しに行けばいいのか」とか「介護を先に調整すれば何とかなるのね」とか、そういったことが頭の片隅にでも入っているかどうかで、全然事前準備が違いますね。

現役世代の30代~40代の方は、介護はまだまだ先だと思っていて、自分事だと思えないんですね。研究をしていて驚いたことがあって、約30ケース中6割くらいが、妊娠中からのダブルケアだったんです。まずは、助産師さんや保健師さんと連携して、妊娠中の方々に伝えていきたいと思っています。

介護の話は大変そう、辛そうとネガティブなイメージがあるので基本聞きたくない話だと思うんです。そういった気持ちも私はすごく分かるので、ちょっと遊びの感覚を取り入れてゲームっぽいワークショップを作ったんです。こだまの集いとしては、なるべくダブルケアへのハードルを下げながら、楽しみながら一緒に考えていこうというスタンスで現役世代の方に伝えていきたいと思ってます。

「介護保険」を上手く使えなかったしくじり体験

室津:実は、私は地域包括には相談しなかったんです。相談してと言ってるのに相談してない…という。うちの父親の場合、医療保険が使えたんですね。なんですが、メインで介護をしていた母親が倒れるとは思っていなくて…。

私が看護師や介護職だったから知識が多少なりともあったので調整できたんですが、医療介護の知識がないと環境を調整するのって本当に難しいと思います。いろんな当事者の方の話を聞いていても、上手く調整できている人たちは、もともと介護職をしているとか、経営者とか、管理すること調整することに慣れている人なんですね。

私が失敗したのは、母親が倒れるとは思ってなかったため、介護保険の申請をしてなかったことです。これは、本当に大変な失敗で、父親が亡くなりそうなターミナル期と介護保険の申請を同時にしないといけなくて、これが自分を一番苦しめた要因だったんですね。

治る見込みがない病気ってありますよね。慢性的に進行し続けていく病気の診断がでたら、みなさんにはぜひ、仮に親が元気でも介護保険の申請をしておいた方がいいとオススメします。

神戸:介護保険のことも初めて聞いたって人もいると思います。介護保険の申請をしないと、例えば1割負担でヘルパーやデイサービスをお得に使えないんです。

市役所に申請し、明日から使えるかというと、おおよそ1ヵ月は待つ必要があるんですね。申請後に調査員さんがやってきて、チェックしてもらったあとに審査会があって。すごく時間がかかるんです。

室津さんが「早く出しておけばよかった」と仰っていますが、体調を崩したときや入院真っ最中であれば「介護保険をいずれ使いたいんです」と口に出して発信してください。病院には地域連携室や退院調整室というものがあります。発信することで段取りをしてくださったり、場合によっては市役所の〇〇課に行ってくださいと紹介くださいます。ですから、親御さんが体調を崩したり、入院されたらすぐに手続きすることは大事ですね。

それから、介護ではよくやりがちなのが、本人である高齢の親などをないがしろにして、置いてけぼりにして、話を進めていくということです。いざ、ヘルパーがお家にやってきたときにお父さん・お母さんが納得していないことがあるんです。

「年をとったらどんな暮らしがしたい?」「介護を受けたい?」とか、「どこに住んでいたい?」「急な入院が始まったらどんな治療を受けたい?」と、親御さんとたくさん話し合ってください。いっぱい選択肢が出てくるんです。

例えばニュースで、有名な芸能人の方が癌になって治療が始まったよというときに、「あの人はこんな病気になったみたいだけどお父さんどんな気持ち?」と聞いてみたり、そうやって話し合いをスタートするのがやりやすいと思います。

ダブルケアの優先順位の付け方、方針の決め方

室津:私がオススメするのは、子育てと介護が重なったら、まずは介護の方を先に調整することです。そうすると、ダブルケアを乗り切れる可能性が極めて高いです。私が一番気を付けていたのは、役割分担、誰が助けてくれるのかということです。私は夫と実の兄と3人で介護のチームを組んでいましたが、それぞれに得意なことがありました。私は医療と介護、兄は実務的なお金の管理を担っていたのですが、移動や金銭面での負担が最小限になるように、関わる人全員の負担が最小限になるように気を付けていました。

タスクを一個一個スケジュールに書いてみたんですよ。そうすると、意外と自分にしかできないことってないんですよね。結構、子育ての部分で託すことができると、その間に介護の調整をする時間が生まれるので、小さい未就学児の場合は預かり先が見つかることで負担がだいぶ減るそうです。

ダブルケアで注目していく必要があるのは、子どもに対する影響なんです。私のケースでいうと中距離でしたが、最後に父親を看取る最後の1ヵ月は結構頻繫に泊まったり移動したりして通っていたんです。例えば、保育園を休ませると、その間に子ども自身が友達と遊べないとか、外に遊びに行かせること自体が難しくなってしまい、ジレンマが生じるんですね。

遠距離介護の場合、まずは介護環境を整えると同時に、その現地で預かってくれる託児先を見つけていくと負担が少なくなるかもしれないなと思います。

100人100通りの介護

室津:遠距離介護の場合に、ケアマネさんみつけたり、介護保険の申請をする際のポイントはありますか?

神戸:大きなポイントは保証人の問題ですね。親が倒れたら、とりあえず救急車で運んではもらえるんです。ただ、このときに求められるのが入院の保証人で、ケアマネさんも業者さんにも書いてもらえないんです。だからお子さんだったり、ご親戚やご兄弟、そういう方々に直接書いていただく必要があるのがコロナ前の話でした。

今は融通のきく病院ですと、郵送やファックスで対応してもらえることが増えましたね。東京から地方に移動してデイサービスの方やヘルパーに直接会うことをお断りされることが多いので、リモートや郵送でカバーできるようになってきています。

ですから、以前に比べると飛んでいかなくちゃいけない状況は減ってきている気がします。

ただ、行政に関しての申請、介護保険の申請は、まだ難しいこともありますね。コロナの良い面を見ると、現役世代の子どもたちの移動の負担が減ったということがありますね。

室津さんは、大事なお父さんのために親孝行としての介護をされていますが、介護を心からやりたいと思って無い人も世の中にいるんです。そもそも親子関係が悪い方もいますし、血は繋がってる、親戚関係だからという理由で必ず介護をしなさいという状況は現実的なのかとも思います。

介護って、100人100通りあるんだと思います。子育てを優先したい、仕事を優先したいっていう方は、そちらに力を注いで、介護保険を使える環境であればケアマネジャーさんにお願いしたり、体調が少し安定しているけど家ではどうも生活できないのであれば施設を探したり、できることからすればいいと思います。

施設はお金がかかりそうとなれば、ショートステイと言われる数日間泊まれるような仕組みもあるんですよ。

ですから、ケアマネージャーさんを有効利用・有効活用していくことが大事だと思います。ケアマネージャーさんも人間ですし、価値観もありますから、「これは家族でやるべきですよ」って強く言われたり、自分が考えているサービスの内容と若干違うとか、価値観が違う場合、話をしても上手く交わらなかったら、担当を変えることもできます。

家族にあったいろんな介護のやり方がありますので、地域包括支援センターへ電話をしたり、室津さんのこだまの集いや弊社でも相談を受付けていますので、気軽に相談できるいい人をぜひ見つけてください。

介護にまつわる悩みやお願いごとは、わたしの看護師さんにご相談ください。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・伊豆・愛知・岐阜・大阪・鳥取・島根・広島など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

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