ケアマネージャーとは？選び方と相談できること – 介護保険外自費サービス【わたしの看護師さん】

「いつか訪れるもの」と、頭では分かっていたはずの親や家族の介護。しかし実際に介護に直面すると、分からないことや困りごとが次々と出てきますよね。
「誰に相談したらいいのか？」「介護をする上での手続きが不安……」など、初めてのことなので悩んでしまうのは当然のことです。

そんなときケアマネージャーという、利用者さんに合った介護プランを共に考えてくれる頼もしい存在がいることをご存知ですか？

今回は、ケアマネージャーの選び方と、相談できること、できないことを相談事例もふまえて解説します。

ケアマネージャーとは

正式名称は「介護支援専門員」ですが、一般的にはケアマネージャーやケアマネと呼ばれています。
要介護者や要支援者が自立した日常生活を送るために必要な専門的知識・技術を持つ者として、介護支援専門員証の交付を受けた人のことをいいます。

介護支援専門員実務研修受講試験に合格するとケアマネージャーになれますが、受験資格として「介護・医療・福祉分野の資格を持ち、5年以上の実務経験」が必要です。つまり、ケアマネージャーは5年以上の介護現場を経験してきた人であるということが分かります。

主な仕事内容は、要介護者や要支援者、その家族から現状をヒアリングし、訪問介護やデイサービスなどを受けられるようにケアプランの作成をします。介護サービス事業者と家族とを繋ぐ調整役といえるでしょう。必要に応じて介護保険申請の代行申請などの各種手続きを行うなど、利用者の方に合わせた介護サービスをしてくれる心強い存在です。

まさに、介護生活の「案内役」のような重要なポジションとして、介護にまつわる様々な困りごとに寄り添ってくれます。

「主任ケアマネジャー（主任介護支援専門員）」という、ケアマネジャーとしての経験が5年以上あり、研修を受けているケアマネージャーのエキスパートもいます。

ケアマネージャーの依頼方法・見つけ方

ケアマネージャーは、居宅介護支援事業所、介護施設、自治体の介護相談窓口、地域包括センターに所属しています。
困ったときにすぐに対応できる自宅付近で依頼できると安心なので、市町村の役場か地域包括センターに行き、自宅近辺の居宅介護支援事業所の住所と連絡先の書いたリストを貰い問い合わせるとスムーズです。

その他、介護経験のある知人に信頼できるケアマネージャーを紹介してもらう方法や、担当の主治医に尋ね紹介してもらう方法も良いでしょう。病院の医師も多くのケアマネージャーと接する機会が多いので、よく話を聞いてくれるケアマネージャーを紹介してくれるかもしれません。

また、最近では口コミなどを見ることができるため、インターネットを利用する方も増えてきました。

基本的に見つけ方や選び方に決まりはないので、相性の良いケアマネージャーを見つけられるようしっかり調べると安心でしょう。

ケアマネージャーを選ぶときのポイント

では、実際に依頼することになったとき、何を基準にケアマネージャーを決めたらいいでしょうか。

ケアマネージャーを選ぶときのポイントをご紹介します。

・経験豊富かどうか
・家族にとって適切なケアプランを提案するためにヒアリングが重要となるため、話を親身になって聞いてくれるか
・利用者の要介護レベルに対応できるか
・話してみたときの相性
・公正中立でサービスを押しつけない

ケアマネージャーになる人は「保健」「福祉」「医療」の分野で経験を積んできています。実務経験によって得意分野がそれぞれ異なるため、どこの分野のサポートを重要視するかで選び方も変わるでしょう。

例えば、利用者さんに持病があり、医療面でのサポートを手厚くしたい場合は看護師経験のあるケアマネージャー、利用者さんの要介護度が高く、身の回りのお世話を手厚くしたい場合は、介護福祉士やヘルパー経験のあるケアマネージャーを選ぶと安心かもしれません。

また、このようなケアマネージャーになる前の現場経験ももちろん重要ですが、ケアマネージャーも利用者さんも人です。人と人との関わりとなるので、話した時に感じる相性もとても大切。
ただでさえ介護は大変で、どうしてもストレスを感じてしまいます。心の健康を保つためにもケアマネージャーとの関係性でストレスや不満を抱えないようにしたいですよね。

また、利用者の家族が遠方に住んでいる場合、ケアマネージャーとのやりとりにLINEやメールなどの利用ができるかどうか確認するのもおすすめです。
現在の介護事業では、個人情報の管理や利用者が高齢ということからも、紙ベースでの管理や報告が主流で、ネット上でのやり取りはまだまだ少ないのが現状です。そのため、家族が遠方に住んでいる場合は、報告にタイムラグができてしまいます。リアルタイムでの報告を希望される場合は、介護保険外のサービス業者を活用するのも良いでしょう。

「わたしの看護師さん」では、スマートフォンから確認できる弊社独自の介護支援アプリ「ケアブライト」を導入しているため、スタッフからの詳細な報告をいつでもどこでも確認できます。仕事や家事でなかなか時間が取りづらい場合でも、都合の良いタイミングで利用者さんの様子を把握できます。

このように、保険外サービスの会社によっても内容が様々なので、契約するのであれば報告形態がどうなっているのかしっかりと確認して、要望とマッチしそうなサービスを見極めることが重要です。

ケアマネージャーに相談できること

ケアマネージャーは公的民間問わず、様々なサービスや制度を把握しています。ケアマネージャーの業務のひとつである「ケアプランの作成」を行う場合にも、利用者さんと家族の状況を把握しておく必要があります。生活上の困りごとや、介護に関する分からないことがあれば、気軽に相談しましょう。

ここで難しいのが、相談できることとできないことの境界線です。
ケアマネージャーは頼りになる「介護の専門家」です。介護に関する不安や困りごとを相談しているうちに、病院や薬に関することや、治療費などの経済面での相談、日常生活での愚痴など「なんでも相談できる人」として接してしまうことも珍しくありません。

ケアマネージャーのスキルや経験によっては、相談に答えられる人もいるかもしれませんが「介護以外の質問は専門領域ではない」ということを忘れないようにしましょう。

ケアマネージャーが答えられない内容の場合は、相談できる専門家や相談窓口を紹介してくれるので、安心してくださいね。

ケアマネージャーへの相談事例

介護に関する手続きが分からない場合

介護制度に関する申請手続きが複雑でわかりにくかったため、しばらく放置していたAさん。このままではいつまで経っても制度を利用できないと悩んでいたとき、知人から紹介されたケアマネージャーに相談しました。ケアマネージャーが申請書類を用意してくれ、記入の仕方まで丁寧に教えてくれたそうです。書類を提出するときも、ケアマネージャーがAさんに付き添い、複雑な手続きもスムーズにできて、無事介護制度をスタートできました。

家事の手が回らず困っている場合

親の介護と仕事の両立で、家事まで手が回らず困っていたBさん。ケアマネージャーに相談したところ「介護保険サービスで生活援助が受けられる」ということを教えてもらいました。ただし、介護保険サービスで受けられる生活援助には制限があるということも合わせて説明してもらったBさん。介護保険サービスで利用者さんの自立を支援する掃除や洗濯、料理や買い物の生活援助を受け、介護保険内で補えない部分の家事は介護保険外サービスを紹介してもらい家事代行をお願いするようになり、安心して日々の生活を送れるようになりました。

高齢利用者の様子がおかしい場合

高齢の母が、なんだかいつもと様子が違う……と不安に感じていたCさん。ケアマネージャーにそのことを相談したところ、「認知症の可能性もある」とのことで医療機関の受診を勧めてくれました。受診したところ認知症の傾向があることが分かり、早期発見で治療を開始することができました。必要に応じて、ケアプランの変更も提案してくれたことも心強く、安心して母のサポートをすることができました。

このように「どうしたらいいだろう？」と不安や疑問に感じることがあれば、気軽にケアマネジャーに相談をしましょう。利用者さんとその家族からの相談に乗ることもケアマネージャーの大切な業務のひとつです。
しかし、相談業務とはいえ「なんでも相談できるわけではない」ということは理解しておきましょう。介護以外の相談は専門外となり、ケアマネージャーの業務外となります。
相談する前に一度、介護にまつわる内容かどうか考えてから相談すると、ケアマネージャーとの関係性も良いものとなるでしょう。

介護をするうえで強い味方であるケアマネージャー。
ケアマネージャーの役割と、相談できること、できないことを把握しておくと、長い介護生活を支えてくれる重要な存在となります。
逆を言えば、ケアマネージャー無しで介護生活を送るとなると、家族の負担がとても大きなものに。信頼できる存在としてケアマネージャーとの関係を築いていきましょう。