大切な家族を介護するとき、ひとりで抱え込まないためにも「ケアマネージャー」の存在は欠かせません。
「ケアマネージャー」の正式名称は「介護支援専門員」。
介護のプロであり、介護の専門家です。
すでにケアマネージャーを活用している方も多いかと思いますが、どのような関係性を築いていますか。
ケアプランを作成するにあたって、利用者は他人には伝えづらい家庭の経済状況などをケアマネージャーに開示することもあります。信頼していないと言えない話もあり、相性もありますが、ケアマネージャーとより良い関係を築くことも重要になってきます。
すでに関係が築けている場合は、代わりがきかない大切な存在となり、家族でも友人でもない特別な関係といえるでしょう。
担当のケアマネージャーとの信頼関係を築くためには、ケアマネージャーの役割や介護保険の知識を最低限知ることが重要です。ケアマネージャーとの関係がより良いものになるよう、信頼関係の築き方をご紹介します。
ケアマネージャーと自分の役割の違いを知る
ケアマネージャーは、利用者やその家族の希望をヒアリングし「ケアプラン」という適切な介護計画を立てたり、デイサービスやヘルパーの利用などを提案したりし、住み慣れた自宅での生活を支援します。
利用者の在宅生活の計画を提案する「案内役」のような重要なポジションといえるでしょう。
ただし、ケアマネージャーの支援にも限りがあります。そのため、さまざまな機関と連携して支援を行います。
・医療機関
入退院時に情報交換を行い、スムーズに自宅での生活をスタートできるよう調整
・介護サービス事業所
利用者の日々の状態変化の情報交換
・社会福祉協議会や行政
福祉・行政サービスの連絡調整
利用者の生活をサポートするには、様々な機関との連携が必須となり、ケアマネージャーがそれらを繋ぐ役割を担います。
ケアマネージャーは利用者の自宅への訪問が多いため、深い関係性が築かれていく半面、依頼する内容の境目が曖昧になり、だんだんとお願いごとが増えてしまうケースも。
ケアマネージャーができる介護保険内でのサポートは、利用者本人の健康に直接関わることの生活支援です。
そのため、通院の付き添いや買い物、家の掃除、介護保険に関係のない行政手続きなどはケアマネージャーの生活支援業務ではありません。
業務外の仕事が増えるとケアマネージャーがパンクしてしまう可能性もあり、介護保険以外の書類代行も後にトラブルへ発展する可能性があるので、自由介護といわれる保険外サービスの検討や、無理のない範囲で家族や親族で行いましょう。
ケアマネージャーとの関わり方
初めてケアマネージャーに依頼する場合はこちらの記事をご覧ください。
ケアマネージャーに相談できること(https://my-nurse.jp/blogs/column/kaigo/202303-3713/)
担当のケアマネージャーが決まったあとは、利用者さんの現在の状況を伝え、できる限り自立した生活を送れるようケアプランを作成してもらいます。
その後、ケアマネージャーは「サービス担当者会議」を実施します。
「サービス担当者会議」とは、利用者によりよい介護サービスを提供するために、各サービス担当者と意見交換を行う場です。
【サービス担当者会議が開催されるタイミング】
・ケアプランの作成・変更時
・介護者が要介護新認定を受けた場合
・要介護者が要介護状態区分の変更認定を受けた場合
・何らかのトラブル発生時
ケアプランの作成・変更時には必ず開催を必要とします。ただし、サービス内容の変更が軽微の場合は必ずしも実施しなければならないものではないとされています。
【サービス担当者会議に参加する主なサービス担当者】
・介護支援専門員
・かかりつけ医師
・介護関連スタッフ(介護職員・介護福祉士・訪問介護員など)
・リハビリ職員
・福祉用具専門相談員
・栄養指導員
・サービス提供責任者
・利用者、そのご家族
利用者さんとその家族も参加して意見を出し合います。ケアプランを作成したケアマネージャーが中心となり会議の進行をしてくれるので、慣れない環境に緊張してなかなか意見が言い出せない場合も安心できるでしょう。利用者さんとその家族が主体なので、不明点や希望をしっかり伝えることが大切です。
開催場所は、利用者さんの自宅で行うことが原則とされています。自宅で開催されると、利用者さんが移動しなくても良く、必要な資料などがすぐに取り出せるというメリットがあります。各担当者も利用者さんの生活環境を把握しておくと、適切な支援をイメージしやすいでしょう。
しかし、2021年4月の介護報酬改定により運営基準が見直され、zoomなどのオンラインツールを活用したWEB開催も認められるようになりました。複数の人が自宅に集まることに不安を感じる方はケアマネージャーや地域包括センターへ相談してみましょう。
その他、月に一度、利用者さんの自宅を訪問する「モニタリング」を行います。ケアプランの内容が、現在の生活に合っているのか、改善点があれば新しい介護サービスや、プランの内容を変更するなど、継続的に見ていくので利用者の方も安心です。
定期的な訪問をして、介護に関する困りごとを共に解決していくので、ケアマネージャーの訪問を心待ちにする利用者さんも少なくありません。
介護保険について最低限の知識を知る
介護保険とは、介護や援助が必要な人を公的に保障するための社会保険のひとつです。介護保険の中で、介護費用や介護サービスの給付を行います。ケアマネージャーの仕事も、介護保険の領域となるため、利用者さんとその家族も介護保険について最低限の知識を知っておくと安心です。
ケアマネージャーと関係性を築くうえでも任せっきりにせず、介護保険の正しい知識を身に付け、介護保険で補えることと補えないことを理解しておくとケアマネージャーの負担も減り、より良い関係性を築きやすいでしょう。
とはいえ、介護生活はどうしてもストレスを感じやすく、ケアマネージャーとの相性が悪いと介護生活に影響することも。ケアマネージャーはいつでも変更可能なので「どうしても合わない」と感じる場合は、無理して関係を続けず、変更の手続きを行いましょう。
ケアマネージャーの変更を決意した場合は、ケアマネージャーを紹介してもらった相談先や、新しく利用したい事業所へ問い合わせます。新しいケアマネージャーを紹介してもらい、顔合わせを行って問題がなければ契約を交わして利用開始となります。その際、市区町村役場への変更手続きは、新しいケアマネージャーが行うので安心です。
また、ケアマネージャーを変更する場合には、同じ悩みが繰り返されると利用者さんにもストレスがかかってしまいます。変更理由や希望する介護サービスを新しいケアマネージャーにきちんと伝えましょう。
長く付き合うからこそ、信頼関係が築けると代わりが効かない存在となるケアマネージャー。人と人との関わりとなるため、その間にはお互いの思いやりが大切になります。
「利用者さんがより快適に生活を送れるように……」という思いは、家族もケアマネージャーも共通です。介護の案内役でもあるケアマネージャーと良好な関係を築くことが、介護生活を楽にする一歩に繋がるかもしれません。
ケアマネージャーとの関係に悩んだときには、本記事を参考にしてみてくださいね。
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