高齢の親の食事について悩んでいませんか?年齢を重ねるにつれ、料理することが億劫になるなど、食事に関する悩みは増えていきますよね。
「毎日しっかり栄養のある食事ができているだろうか」「料理や買い出しが負担になっていないだろうか……」と親のことが気になっている方も多いと思います。
親にもっと食事を楽しんでほしい、離れて暮らす高齢の親の食事をサポートしたいと思ったとき、私たちにできることはたくさんあります。今回の記事では、高齢者の食事の悩み、高齢者が料理をしやすい環境づくり、料理ができない時の選択肢をご紹介します。
高齢者の食事の悩みとは
毎日の食事には調理が欠かせませんよね。けれど、手先や体が思うように動かなくなってきたと悩んでいる高齢の親にとって、料理は大きな負担になっているかもしれません。
高齢の親がレトルト食品ばかり食べていることを気にしている方も多いのではないでしょうか。朝と昼の食事が一緒になり、食事の回数が減ってしまう方もいます。レトルト食品中心の食生活や、食事の回数が減少すると心配なのが、栄養不足です。
栄養が不足したらどうなる?
・筋力や骨量の低下
栄養が不足することで、筋力や骨量は低下してしまいます。その結果、転倒や骨折のリスクが高まります。高齢者の骨折は寝たきりになる可能性があり、できるだけ防ぎたいですよね。また、筋力や骨量の低下により一日に動く量が減ると、食欲も少なくなり、さらに栄養不足となる悪循環に陥ります。
・免疫機能の低下
免疫力が低下すると、風邪などの感染症を引き起こしやすくなります。高齢者は風邪を引くと重症化してしまうこともあり、注意が必要です。
・フレイルの進行
筋力や骨量、免疫機能の低下が進むと、フレイルが進行する可能性も高まります。フレイルとは、すぐに息切れする、疲れやすいなど介護が必要になる前の状態のことをいいます。介護を必要とせず、長く健康に過ごすには、フレイルの進行をできるだけ遅らせることが大切です。
栄養不足の対策とは~高齢者が料理をしやすい環境づくり~
栄養不足は、高齢者の体の状態に密接に関わってきます。栄養不足はフレイルの進行につながってしまうのです。栄養不足対策のひとつとして、高齢の親が料理をしやすい環境を整えることをおすすめします。
遠距離介護の場合、直接料理を手伝うことは難しいですよね。親が料理をしやすい環境を整えることは、遠距離介護をしている方にもおすすめできる対策です。
高齢の親が料理をしやすい環境をつくるには?
・食材を十分にストックする
食材が十分にあれば、料理をするきっかけになります。「調理しないと食材を腐らせてしまう」「食べ物を無駄にしたくない」と考えると、私たちも少しやる気が出ませんか?親が料理をしたいと感じる環境をつくりましょう。
しかし食材を十分にストックしたくても、高齢者にとって買い出しが大きな負担になることもあります。免許返納などで車が使えない場合、徒歩でスーパーまで行き、重い荷物を持ってまた家まで歩くことになります。料理をするまでに大きな壁があるのです。
そのため親と一緒に食材の買い出しに行くことも、食事のサポートになります。遠距離介護をしている方は、食材の宅配サービスを利用してみてはいかがでしょうか。現在はさまざまな宅配サービスが展開されているため、近所のスーパーやコンビニの宅配サービスを利用できるかもしれません。私たちが注文し、親の自宅に食材を配送してもらうことも可能です。親や親を支える家族の生活に合った宅配サービスを探してみてください。
<スタッフ体験メモ>
高齢者の買い出しの負担を解消するため、私の場合は週に一度、高齢の親と一緒に買い出しに行き、1週間分の食材をまとめて買っています。高齢の親の食生活も把握でき、おすすめです。また週に一度は必ず会うことになるため、高齢の親の様子も見られて安心できます。
・調理器具を見直す
高齢の親が普段使っている調理器具を改めてよく見てみましょう。
例えば包丁は、手先が不自由な方が使用すると簡単に怪我をしてしまう恐れがあり、注意が必要です。現在では、高齢者や子ども用に安全に設計されたさまざまな商品が展開されています。軽量、グリップの持ちやすさ、軽い力で切れるなど、高齢の親に合った包丁を探してみてはいかがでしょうか。
また、ガスから電化に調理器具を変更する検討をしてみることもおすすめです。ガスコンロは火を使うため、一番怖いのが火災のリスクです。火災の心配が減れば、遠距離介護をしていても安心できますね。
・レトルト食品、お惣菜などを活用する
毎日3食、料理をすることは、高齢者ではない私たちでも億劫に感じることがあります。手先や体が動きづらい方にとっては、より負担が大きいものです。そんな時は、レトルト食品や調理済みのお惣菜を活用し、負担を軽減しましょう。
ただ、すべての食事をレトルト食品にしてしまうと、栄養不足や栄養の偏りが心配です。例えば、「朝はパンにする」「おかずをレトルト食品にしてサラダを添える」など、どうしても料理をすることが億劫なときに「頼れる存在」をつくっておくことが大切です。
レトルト食品やできあがったお惣菜でも、栄養のバランスを意識して活用すれば、いつもの食事で採る栄養やエネルギーと変わりません。そう思うと、高齢の親も少し気が楽になるでしょう。最近は減塩、カロリーハーフのものも多くあります。
「毎食、少しの量でも必ず野菜やフルーツを食べる」など高齢の親と約束事を決めておくと良いかもしれませんね。
どうしても料理ができないときの選択肢
料理をすることが億劫だなと日常的に感じる以外にも、体調不良や怪我などでどうしても料理ができないこともあります。いつか介護が必要になったとき、親は料理ができるのだろうかと不安な気持ちを抱く方も多いと思います。そんな場合にも、高齢者の食事をサポートする便利なサービスがあることを知っておくと安心です。
食事をサポートする便利なサービスとは?
・弁当、宅配弁当
スーパーやコンビニには、さまざまな種類の弁当が販売されています。料理が億劫な時、どうしてもできない時などは弁当に頼ることも選択肢の一つです。
おいしい弁当もたくさんありますが、毎日食べると栄養やカロリーが気になりますよね。毎日食べる方には、宅配弁当がおすすめです。宅配弁当は、高齢者向け、栄養バランスを考えたものなど、栄養やカロリーに配慮された商品が幅広く展開されています。
<スタッフ体験メモ>
私も高齢の母親のために宅配弁当を利用していたことがあります。私の利用したサービスは、宅配の頻度や期間、弁当の数なども自分で決めることができ、高齢の親に合った利用ができました。また、宅配弁当を利用すれば買い出しの負担も解消できます。
・ヘルパーによる調理支援、買い物支援
調理支援、買い物支援は介護保険の訪問介護サービスにあたるため、要介護認定を受けている方は、介護保険を利用できる場合があります。まずはケアマネジャーに相談してみましょう。
また介護保険外サービスとして、ご家庭の状況に合った支援を利用することもできます。例えば、弊社「わたしの看護師さん」では、看護師などの有資格者が塩分・糖分・カロリー制限など、食事の管理を担当しています。このようなサービスを活用すると遠距離介護をしている方も、安心して親の食事や暮らしを見守ることができます。
・地域食堂
全国各地で、地元の人たちが運営している地域食堂(子ども食堂)を利用するという選択肢もあります。現在は子どもだけではなく、高齢者や生活困窮者などあらゆる人々を対象とする地域食堂が増えています。
地域食堂を利用すれば、料理をしなくても、無料や手ごろな価格で美味しい食事ができます。また、人との関わりが減少しがちな高齢者にとって、子どもなどたくさんの人と一緒に食事ができる地域食堂は、とても魅力的な環境ではないでしょうか。ぜひ高齢の親が住んでいる地域の地域食堂を探してみてください。
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食事が毎日の楽しみになっている高齢者は多いと思います。私たちの親もいつまでも楽しく規則正しい食事をして、健康に過ごしてほしいですよね。
年齢を重ねるにつれ食事の悩みは増えますが、サポートをすることでその負担を解消することができます。食事について悩みながらも、相談できずそのまま過ごしている場合もあるかもしれません。周りの家族が気づき、支えてあげましょう。
遠距離介護の方も、親の食事をサポートすることは可能です。調理器具を高齢者用に変えるだけでも、料理のしやすさは各段に良くなります。離れて暮らす親が料理をする環境、宅配や介護保険サービスの利用など、一度しっかり見直してみてはいかがでしょうか。
介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。
家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。
「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。
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