認知症の方と上手に関わるためのポイント

認知症とは一体どのようなものなのでしょうか。認知症の発症を予防するために必要なことや、認知症の方と上手に付き合う方法を紹介していきたいと思います。

以前、高齢者マンションで働く人に向けて実施したセミナーの内容を交えて、将来、親の介護に携わるかもしれない皆さま向けに発信していけたらと思います。

この記事の内容は、Youtube配信をもとに記事化しています。

音声でお聞きになりたい方は、こちらのYoutubeをご覧ください。

心当たりはありませんか?12の認知症の兆候。

そもそも認知症とは脳の病気や障害など様々な原因により発症します。認知症になると、脳の知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てきてしまいます。

振り返ってみてください。あなたがご家族を含め高齢者と話すとき、「この人、認知症かもしれないな」と思ったことはないでしょうか。

相手が認知症だと分かったとき、あなたが正しく関わることで症状の進行をゆるめることができます。そのためにも、まずは認知症がどのようなものなのか、もっと理解を深めておくことが望ましいです。

これから、12個の代表例を挙げていきたいと思います。ご両親のことでも良いですし、仕事上で関わる方でも結構です。あるいは自分のことでも良いでしょう。あなたが身近に想う人のことを想像しながら、いくつ当てはまるか考えてみてください。

  1. 些細なことで怒りやすくなった
  2. 探し物が多くなった
  3. 人の名前が出てこない
  4. 何をしようとしたか忘れる
  5. 部屋の片付けができなくなった
  6. 身だしなみに気を使わなくなった
  7. 外出するのが億劫になった
  8. 新しいことを覚えるのが難しくなった
  9. 好きだった趣味に興味がなくなった
  10. 気分にムラがある
  11. 味覚が鈍感になってきた
  12. 厚着をするようになった

いくつ当てはまりましたか?

実は、1つでも当てはまれば認知症予備軍とされています。だからといって今すぐ発症することはありません。認知症を防ぐためにも、早期に手を打つことでその発症を遅らせることが出来るのです。

具体的な対策方法として、適度な運動を週に2日以上行う。できるだけ外に出る。などが挙げられています。また、食生活も非常に重要であり、青魚、大豆、緑黄色野菜 アーモンドなどのナッツ類が認知症の予防に効果的であると言われています。

さらに、単調な毎日に刺激を与えるためには、いろんな人と関わることが大切です。趣味を楽しんだり、社会活動に参加すると良いかもしれません。

仕事を理由に趣味をやめてしまった方はいませんか?

こうした対策は、日々の生活に生きる意味や喜びを与えてくれます。充実したライフスタイルを実現して認知症を防ぎましょう。

お医者さんとの関わり方

認知症の予防方法について紹介しましたが、もし発症してしまったら完治させることはできないのです。薬等を使って進行を遅らせることはできると言われていますが、症状が深刻化する前に専門医につなぐことが大切です。

もし、あなたの親が認知症かな?と思ったときは、こっそりでもいいので一度、かかりつけ医に相談してみてください。この時、はじめての相談に認知症の疑いがある親が同行した場合、プライドや緊張によって病院で受診するときはしっかり受け答えができるケースがあります。

そうなると、その場で受け答えを正常に行えてしまうため、お医者さんは認知症を見抜くことが難しくなりかねません。日頃の生活の中で上記の特徴12項目に当てはまることがあれば、専門家の先生につなぐ前に主治医の先生に相談することをお勧めします。

そして内服治療が始まれば、薬をきちんと飲めているか、処方された薬の副作用の内容、服用してからの体の不調などを家族内で意識しつつ、問題があればそれを記録して、ドクターに報告してください。

認知症の方との関わり方

では、認知症の方とはどのように関わればいいのでしょうか。

まず第一に、認知症患者の方が一番不安だということを理解してください。認知症初期ですと、物忘れが多くなった自覚がみなさんあるのでとても不安になります。頭の中の記憶が消えていく事ははっきりいって怖いのです。しかし、この症状を周りに知ってほしいと思う前に恥ずかしさやプライドで口に出せないことがあります。

そのため、不安に寄り添うように、耳の近くで聞こえやすいように、目線を合して話してあげましょう。認知症の方の話す内容には被害妄想が入ったり、あり得ないようなことを話すときがありますが、それを否定してはいけません。認知症の方の承認欲求は繊細で、否定されることにより余計不安になってしまいます。

もし仮に、少し話がずれてるなと思っても、否定をせずに話を聞き、それから次にどうつなげていくかを考えることが大切です。

被害妄想は私たちには目に見えないことが見えるというもので、そういった症状が見られた場合、専門の医療関係者に相談することをお勧めします。病院受診に同行することを親が嫌がる場合は、別日を設けて当事者とは別に相談を行うという方法もあります。

認知症の人への寄り添い方・認知症のタイプ

これから書くのは介護をするみなさんに向けたお話です。

もしあなたが認知症の家族の方と話しをするときに、「疲れた」と感じたときには、一人で抱え込まないことをお勧めします。介護は終わりがいつなのかわからないものです。そして、認知症は完治されないといわれており、本人もご家族も最後まで付き合っていかなければならないものと覚悟しましょう。病院や介護施設に通っている場合、そちらの職員や担当のケアマネジャーさんに相談されるのも一つの手段として覚えておいてください。

認知症には、アルツハイマー型と脳卒中から始まる脳血管性のものがあるとされています。特に、脳血管性はA型とB型があるので、アルツハイマー型も合わせると3種類あるということです。

一番多いのはアルツハイマー型認知症。その特徴として、症状が顕在化する20年前から予兆が見られると言われています。これを防ぐためにも、日々の生活を見直し意識的な予防を心がけることが大切です。

※認知症なんらかの原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなってしまったりすることにより様々な障害が起こり、生活するうえで支障が出てくる状態のこと。病名ではない。
※アルツハイマー型認知症アルツハイマーと呼ばれるの認知症タイプの一つ主に見られる症状としては、記憶障害や迷子の原因となる見当識障害、料理の手順などがわからなくなる実行機能の障害、判断力が低下して同じものを買ってしまう障害がある。
※脳卒中脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、脳が障害を受ける病気である。 脳卒中を発症すると、障害を受けた脳が司っていた身体機能や言語機能が失われたり、認知症が発症する原因となったり、場合によっては死に至ることがある。

*

だれもが発症する可能性がある認知症。その認知症の予防には適度な運動、日々の刺激、食生活などが効果的です。もしも周りの方に認知症の症状が見られたら、当人の担当医などに相談することが大切です。早めに行動することで、認知症の方もあなたも安心できます。たとえ介護が長引いたとしても、気持ちよく生活できるでしょう。また、一人で抱え込むことはやめましょう。まずは一度お医者さんや専門家に相談する勇気を持つことが大切です。

介護にまつわる悩みやお願いごとは、「わたしの看護師さんに」ご相談ください。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

「介護に関するお役立ち情報」を随時更新しています。ぜひ介護のお困りごとの参考にご覧ください。

Facebook Twitter Instagram