高齢になると受診や通院、入院などで、どうしても病院との関わりが増えていきます。
「足が悪くて一人での外出が心配」
「最近物忘れが多くて、言われたこと、言いたかったことを忘れてしまう」
こういった病院への移動に身体的な不安がある方や、医師からの説明を理解することに不安がある方に対して、家族や身近にいる人が病院に付き添い、移動の介助や診察などに同席することで本人の負担を軽減することができます。
そこで今回は、病院付き添いが必要となるタイミングや事前に知っておきたいこと、付き添いをする上で大変なことなどをケースを踏まえて紹介します。
病院付き添いの現状
「家族や身近な人が病院へ付き添うことで本人の身体的・心理的な負担が軽減される」とは言っても、”月に数回、多い人では毎日”の通院に付き添うのはとても大変です。
移動や待ち時間のことも考えると通院は、1日がかりの大仕事となります。
それでは、付き添いを行っている人の現状はどういったものなのでしょうか。
病院付き添いの現状は次のケースに当てはまることが多くあります。
①仕事を休んで付き添いをしている
②育児中で家事と子育ての合間をぬって付き添いをしている
③遠距離に暮らしているので、都度帰省して付き添いをしている
病院付き添いには、少子高齢化、共働き、親との接点が乏しいなどの現代的な問題から、育児と介護の両立の問題など様々な問題があることが現状です。
また、コロナウイルスの流行後は遠方への帰省がしにくくなったという背景もあり、誰か一人に負担が集中してしまい、体調を崩したり、生活様式を大きく変化させなければならなくなるという現状も。
さらに、付き添いをする中で、自分も医師に何を聞けばいいのかわからなかったり、移動中のお手伝いや処置に不安があったりと(痰の吸引など適宜処置が必要な場合など)、付き添う側の精神的な負担などもあります。
どういったタイミングで付き添いが必要になる?
このような現状がある中、どのようなタイミングで病院の付き添いが必要となるのでしょうか?
[病院付き添いが必要になる例]
・親が免許返納したので足がない
・認知症がでてきて、親が先生の言っていることを理解できなくなってしまった
・痰の吸引をしながらの外出となるので移動するときの手伝いが必要
・そもそも病院に行きたがらない
・先生に思っていることや聞きたいことが伝えられない
・県外などの大きな病院に行かなければならなくなった
病院への付き添いが必要になるタイミングはさまざまであり、大半の方は複数の理由が重なっているケースが多くあります。
その他、施設入所中に健康状態が変化した場合、訪問診療が主となりますが、連携病院がなく病院受診が必要な施設もあります。
「受診の送迎ができない」「診察に付き添えない」「病院付き添いを利用するには追加費用が必要」となることもあるため、施設入所時には確認しておくと良いと思います。(緊急の場合を除く)
さまざまな現状やタイミングが重なり、必要になる病院付き添い。ここでは一つの事例として、免許返納と認知症の進展により病院付き添いが必要になったケースを紹介します。(弊社と関わりのある女性のケースです)
[病院付き添いにまつわる状況]
・介護が必要な人:祖父母
・介護を支える家族:父 ・・・祖父母の田畑の管理
叔母 ・・ 定期的な病院付き添い、見守り訪問
孫 ・・・ 叔母が付き添えない場合に病院受診に付き添う
祖父母は父の家から車で30分ほどのところに住んでいます。
公共交通機関が通っていないため、認知症が悪化する前までは祖父が車を運転して自分と祖母の通院をしていました。
しかし数年前、祖父は認知症が進行したため免許返納をすることに。それと同時に、祖父母は自分たちだけで病院へ通院することができず、家族が病院への送り迎えをすることが必要となりました。
また、祖父は認知症のため医師や看護師が説明することの理解が難しい状態になり、祖母は心配性で気弱な面があるため、病院に行くこと自体、祖父母の負担となっていました。祖父母は、医師に言いたいことも言えず、聞きたいことも聞けず家に帰ることが多くあり、病院への送り迎えだけでなく、家族が病室まで入り診察に付き添うようになりました。
祖父母は、2−3ヶ月に1回の頻度で病院受診をしており、大体は仕事が交代制勤務である叔母が付き添いを行い、どうしても無理な場合は孫が付き添いを行っています。
現在は、今の協力体制で上手く回っていますが、叔母や孫の仕事が変わるかもしれないため、付き添いが難しくなる可能性があり、そうなってしまった時にどうするか、今後話し合いが必要です。
付き添いが必要になる前に知っておきたいこと
①最近の出来事や体調面での変化などを定期的に確認するようにする
両親が遠方にいる場合や近くにいても会いに行けない場合は、電話やzoomなどを利用して定期的に家族の様子を確認しておくと良いです。家族も定期的に連絡があると安心できますし、会話から得られる情報も沢山あります。普段の状況を知っておくことで通院時にも役立ちます。
②家族間で情報を共有し、もしもの時にどうするかを話しておく
病院の受診や通院は、急に必要となることも多くあります。
「どうしても抜けれない用事がある」「遠方にいるためすぐには行けない」などの場合、どのように対応するか予め家族間で決めておくと、落ち着いて行動することができるでしょう。
③事前に介護保険サービスや訪問診療、オンライン診察などの情報を調べておく
介護保険を利用する場合、介護度によって得られるサービスは変わってきます。
一般的には、『決まった曜日、一時間以内に帰ってこれる通院』であれば、介護保険により、ヘルパーに通院介助(病院の外来受付まで)をお願いすることは可能です。
また、訪問診療を検討してみるのも一つの手でしょう。
介護保険を利用されている場合は、ケアマネジャーさん、まだ申請されていない方は、地域包括支援センターへ一度、相談をしてみてください。
現在はオンライン診察もできるのでそのようなサービスを利用してみてもいいかもしれません。
④事前に保険適応外のサービスの情報を調べておく
病院付き添いなど、介護保険の制度からこぼれ落ちる介護は「家族がすべき」と考えられていることも多く、一方で遠距離介護や仕事、家事・育児のために「やりたくてもできない」方が多くいることが現状です。
そこで家族に代わって介護を提供する「介護保険外サービス」があります。わたしたちが行う「わたしの看護師さん」のサービスもその一つ。
例えば、
・自宅から診察室まで同行し、医師からの説明を家族に伝える
・冠婚葬祭や入院中の外出まで同行
・医療内容の説明、家族への経過報告まで対象内
・健康や薬をしっかり服用しているかまで定期的にチェック
・終末期の付き添い
など、さまざまな事情で家族に寄り添うことが出来ない方のために「遠距離介護の家族を支える」サービスを提供しています。
事前に検索をしてみたり、ケアマネジャーさんに聞いてみて、みなさんに合うサービスを見つけてみてください。
少子高齢化に伴って、介護や付き添いなどの問題が増えてきています。
病院への付き添いは時間がかかるため、生活面での負担が大きく、サポートする側である家族が体調を崩してしまうケースも多くあります。
付き添いが必要となるタイミングや、使えるサービスを知ることで、ご自身への負担を軽減させながら、上手に家族の病院付き添いや介護と向き合っていけることを願っています。

介護にまつわる悩みやお願いごとは、「わたしの看護師さん」にご相談ください。
介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。
家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。
「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。
「介護に関するお役立ち情報」を随時更新しています。ぜひ介護のお困りごとの参考にご覧ください。