遠方に入院している患者さんの家族が抱える問題とは?

遠距離介護の場合は、まとまったお休みが取れなかったり、交通費・滞在費の負担がかかるために、頻繁に帰ることができないという状況があります。

そんな時、介護の必要なご家族が入院してしまったら、どんな困りごとがあるのでしょう。

今日は「わたしの看護師さん」の名古屋拠点にて現役の看護師をされている浅野さんより、いまどきの病院事情も踏まえた病棟内での事例についてお話を伺いたいと思います。

「遠距離介護」の現状と負担

神戸:まずは、最近一番印象に残っていることを教えてください。

浅野:そうですね。印象に残っているのは、やっぱり「遠距離介護」の事例でしょうか。

神戸:遠距離介護。名古屋は都会なので、お子さんたちともそんなに離れてないというイメージがあるんですが実際はどうですか?

浅野:そうですね。ちょこちょこ遠方の家族の息子さんたちがみえるという話は聞きます。

神戸:一番遠かった事例はどのあたりでしょうか?

浅野:九州とか……あとは東京ですね。

神戸:名古屋だと交通の便があるので移動しやすいと思うんですが、お子さんたちが仕事やプライベートで忙しいと対応も難しいのでしょうか。

浅野:そうですね。現役でお仕事をされていて、ご家族もあってとなると、時間をとるのが難しくなるんだと思います。入院の書類を記入するために来院して、先生の説明を聞くためにまた来院、退院の時にはお迎えに行って…と、ご家族の負担も大きくなりますので。

神戸:そうですよね。浅野さんがおっしゃった通り、病院で書く書類、保証人などの欄は他人が書けないところなんですが、本当に細やかな記載が必要になりますよね。入院時や入院途中のカンファレンス、お医者さんの話を聞いたり検査の同意書などに署名をくださいとか。退院する時もそうですが、入院中に介護保険の申請を行うこともありますよね。あとは、どういった時にご家族の署名が必要になりますか?

浅野:はい。やっぱり処置が必要ってなったらその都度……。

神戸:その都度、ご本人さんが署名できなかったら、ご家族に一筆求められる。本当に大変ですよね。

浅野:はい。

家族が近くに住んでいても、うまく調整できないことがある

神戸:「遠方」と言っても、国内にとどまらず海外にいらっしゃるケースもあると思うんですが、そういった場合でも署名をいただくためだけに病院からご連絡をされたりしていたんですか?

浅野:はい、お呼びしています。とにかく基本は「来てもらう」。それがどうしても無理だということであれば、最終手段として郵送でのやりとりになります。

神戸:郵送となると当日午後からの診察だとか、明日朝一番という時に間に合わないですよね。

浅野: そうですね。なので「家族の了解を得ました」とカルテに書いて対応していました。

神戸:それはイレギュラー対応……、「特例」ですよね。

浅野:あまりないです。

神戸:今、遠距離介護ってすごく問題になっていますよね。家族が近くに住んでいても、とっさの時に駆けつけられないこともありますし。親子間で摩擦があったり「そもそも仲が良くない」などの事情があると病院側も大変ですね。

浅野:そうなんです。近くにいるけど「もう縁を切っているから」みたいな感じで、関係ないよって突き放される方もおられます。でも、患者さん自身も判断する能力がなかったりして、そういう時はご家族に頼るしかないんです。なので、お互いの意思がすれ違ってしまうことで「調整が取れずに困る」っていうケースは結構あります。

神戸:なるほど。私も含めてそうなんですけど、病院やいわゆる介護施設から、平日の日中に「サインしてください」とか、「おむつが一枚足りません」というふうに連絡がくると、仕事を一時中断することになるんですよね。働く側からすると、パフォーマンスが落ちることになるのでイライラしてしまう方も多いと思います。でも、病院側も一生懸命対応していらっしゃるんですよね。

浅野:はい。ご家族の都合もよくわかっているので、病院側としても「それでも伝えなければならない」という葛藤はあります。そういったところで、やっぱり代わりにやってくれるサービスがあれば、家族側の負担も減るしご本人も嫌な思いをしないで済むと思います。

神戸:長時間待たされることも無いし、舌打ちされることもないですもんね。

浅野:そうなんですよ。嫌な顔をして来られてもお互いに辛いと思います。

病院と家族、双方の意志を伝える「パイプ役」として

神戸:「わたしの看護婦さん」がどこまで対応できるかという話で言えば、「保証人」っていうところはなれないんですよね。入院するとなると、大体書類が8、9枚必要になって……まず問診表。過去の既往歴から始まって、アレルギー体質の有無や、お薬の処方があるかの確認が必要になります。あとは、病衣をレンタルするかとか、些細なことでもきちんと知っておかないといけない。病院によっては「医学部の学生が同席してもいいですか?」という確認もあったりします。

「病室の入口に名前を出すか、出さないか」というようなことは、ご本人と相談しながら対応できますが、治療をする際に「この方法で行ってください」などの判断は、私たちにはできません。これは法律の上でも、非常に難しいところであって。本当はご家族の方にお願いしたいところではあるけども、ある程度のことは私たちにもお手伝いができます。病院側から求められる形というところで、ギリギリの難しいところを私たちがより早く、ご家族の方にとって都合のいいように間に入りながら調整させていただければと思います。

浅野:そうですね。入院中は看護師が同席していますので、記録に残しながら付き添われているご家族の方が理解できないところはフォローしています。また補足で説明したりということができるのですが、外来診療に付き添いで来られたご家族の方が思っていることを、きちんと先生に伝えられるかというのは非常に重要なところです。有識者が間に入るかどうかによって治療が変わってくるし、「わたしの看護師さん」のような存在はすごく大事じゃないかなって思います。

神戸:もちろん、ひとり暮らしのご高齢者様も、どうやって伝えようか悩ましい時があると思います。まず「ドクターに嫌われたくない」という思いが強いですし、すごく緊張して言いたいことを忘れてしまったり、「そもそも覚えられない」というケースもありますから。そこを私たちがお迎えに行って、「薬飲めてませんよね。どうして?」だとか、「ご飯が食べれていないけど、どうやって先生にお伝えしようか」というところを、相談しながらお伝えもしていきます。あとは、付き添いで来られるご家族の方も「どういうことを質問すればいいのかわからない」ということがあるので、そこを私たちが聞き出してドクターに伝言できれば良いなと。

慌ただしい診察室の中で「いかに効率的に伝えられるか」というのは、ドクターにとってもありがたいことだし、ご本人だけじゃなくご家族の方にとっても、適切なタイミングで適切な医療を受けられるというのは最大のメリットですね。

浅野:それは本当にそう思います。外来で聞いたことをご自宅に持ち帰って、ご家族の方にお話しされた時に、「治療の趣旨がわからない」ということで、病院に折り返しお電話をされるのも負担になりますし。

神戸:そうですよね。折り返しの電話をかけても、必ずドクターに繋がるわけじゃないですし。ここが私たち看護師の「強み」でもあるというか、いわゆる「医療業界」っていうところに身を置きながら得た経験だとか、私たち自身の介護の経験だとか、子育て経験もあればより「利用者側の立場」というのもわかりますので。しっかり甘えていただきたいなと思いますね。

浅野:はい、本当にそう思います。

ひとりで抱え込まないよう、お気軽にご相談ください

神戸:このように、何かお困りのことがあれば弊社までお気軽にご相談していただければと思います。

浅野:はい。私もずっと病院にいたので視野が狭くなっていたんですが、院外へ出てみると、患者様ご自身が抱えておられる問題だとか、ご家族の問題だとか、サービスの重要性を強く感じます。「遠距離介護になるかもしれない」というところで、まずは広く周知されることを願って誰でも気軽に使えるような身近なサービスにしていきたいなと思っています。

神戸:私たちの世代でも「何人の高齢者を抱えながら仕事をするのか」というような将来に対する不安もありますし。決して「介護したくない」というわけではないですが、安心して実家に帰れないですもんね。

浅野:そうなんです。本当に。

神戸:ましてや、自分たちの子供たちがさらに介護する時代になると、私たちの存在ってどうなるんだろう?って。そう思ったら、介護を得意としている人たちに「バーチャル家族」じゃないけれど、「介護のシェアリング」というようなかたちで、お互いに得意とする人が身近な人を支えていきましょうって。これは気楽でいいですよね。

浅野:そうですね。それが普通になったらいいな、と思います。

神戸:はい。熱い思いを持ったこの二人が、名古屋エリア、鳥取エリア、あと広島あたりでもやっていますので皆さんどうぞ頼ってください。本日はありがとうございました。

浅野:ありがとうございました。

患者さんが適切な医療を受けるためにも知識のある人間を介することはとても重要になってきます。現在の症状を的確に知ることで、そこから生まれる改善策もあるのではないでしょうか。

まずは一人で抱え込まず気持ちを吐き出すところから始めてみるのも良いかもしれません。

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介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

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