大人用オムツの選び方のポイントとは?〜漏れないオムツで快適な介護を〜

お店にはたくさんの介護用オムツが並んでいます。でも、「種類が多すぎて、どれを選んだらいいか分からない…」、「親のために大人用オムツを選びたいが、親の希望と合うものがみつからない…」という方も多いのではないでしょうか。
そして、実際に使ってみると「ムレや漏れが気になる」という悩みも。

種類や機能を比較して、ぴったりのオムツを探してみませんか。介護する人・される人の両方が快適な生活を送れるように、オムツの選び方のポイントや漏れやムレを防ぐ方法をケースを含めご紹介します。

大人用オムツとは

種類や機能が豊富で、軽い尿漏れにも役立つ大人用オムツ。はじめは、使うことにためらいを感じる方も多くいらっしゃいます。しかし適切な製品を選ぶことで、安心して外出できる、ぐっすり眠れるなど、行動の自由が広がり、自信を持って生活することにつながります。

大人用紙オムツの種類 

身体の状態、生活の場面に合わせて選びましょう。アウター(外側にはくオムツ)とインナー(内側のパッド)を組み合わせて使う場合は、毎回アウターを交換しなくてもよいので手間がかからず、経済的負担も減ります。

軽い尿漏れには
〜いつもの下着と「尿ケアパッド」を組み合わせて〜
「尿ケアパッド」の吸収量は、5ccから300ccほど。同じ製品でも、吸収量によって10以上のタイプに別れていることも。吸収量に注目すると、選びやすくなります。
手軽に使えるのは「吸水ライナー」です。せきやくしゃみをした時に不安という方におすすめです。吸収量は3ccから15cc程度です。厚さも約2mmからと薄手で違和感なく使えます。

主にトイレを使用するが、軽い運動、長時間の外出や着席に不安を感じる方には
「パンツ式オムツ」を単体で〜
長時間トイレに行けないときに役立ちます。パッドは併用せず、薄手の紙オムツを下着のように使用します。体にフィットし、目立たず、普段の下着のように動きやすくなっています。

外出できる方、立てる方、座れる方、トイレに間に合わないことがある方には
〜アウターに「パンツ式オムツ(リハビリパンツ)」、インナーに「紙パンツ用尿取りパッド」を〜
はくタイプのパンツ式紙オムツを自分で身につけたり、介護者の手助けにより着用します。紙パンツ用の尿取りパッドには、ズレを防ぐテープがついていて、動いてもズレにくくなっています。

寝て過ごすことが多い方には
〜アウターに「テープ式オムツ」、インナーに「テープ式オムツ用尿取りパッド」を〜
テープ式オムツは、介護者により装着・交換します。テープ式オムツ専用のパッドは、吸収量や大きさを見て、尿量や交換頻度に見合うものを使います。

漏れない、蒸れないためのオムツ選びのポイント

〜漏れを防ぐために〜

ポイント1 体に合ったものを
パンツ式オムツはウエストに合わせて、テープタイプはヒップのサイズに合わせて選びます。サイズが合わないと隙間ができて漏れやすくなります。

パンツ式オムツは、お腹まわりと足まわりがフィットしているかどうかも確認しましょう。ウエストが太く、足まわりが細い場合、パッドを使うことで隙間からの漏れに対処できることがあります。

ポイント2 適切な吸収量や大きさ・長さのものを
使う人の身体の状態、使う時間(昼間・夜間)によって、交換頻度や必要な吸収量は変わります。適切な吸収量、大きさの製品を使い分けることで漏れにくくなります。

ポイント3 尿とりパッドをきちんと装着する
パンツ式オムツには、パンツ式オムツ用パッドを、テープ式オムツにはテープ式オムツ用のパッドを使うのが基本です。テープタイプのオムツは、体に沿ってパッドを当てることで漏れにくくなります。

どちらのタイプのオムツも、尿をせき止める役割をするギャザーの内側にパッドが収まるように装着しましょう。パッドは、大きすぎるものを使ったり、2枚重ねて使ったりすると股の部分に隙間ができ、漏れの原因になります。

<おすすめの尿とりパッド>
股の部分がくびれた形のパッドが、おすすめです。砂時計のような形をしており、前と後ろについたテープで、パンツに貼り付けます。パンツにもしっかり装着でき、隙間ができにくいため漏れにくくなります。股の部分がくびれており足が閉じやすく、姿勢も良くなるという利点も。男性に特におすすめできるパッドです。

また中央にスリットのあるパッドは、尿を効率よく吸収し漏れを防ぎます。

ポイント4 着用する際のポイント
前側も後ろ側もウエストの位置まで引き上げます。肌着の裾が挟み込まれてしまうと、漏れの原因になるので注意しましょう。

ポイント5 汚れがなくてもアウターのオムツの交換を
オムツを長時間使用していると吸収体がヨレて切れてしまい、効果的に吸収できなくなります。アウターのオムツも1日に1度は必ず交換しましょう。

〜蒸れないために〜

ポイント1 通気性・透湿性が良い製品を
アウター、インナー両方の通気性が良いことが大切です。通気性素材、シートが使われているか確認しましょう。通気性・透湿性シートを備えた製品は湿気を逃し、お肌のトラブルを防ぎます。

ポイント2 適切なタイミングで交換する
長時間オムツを身につけていると、湿気が溜まりやすくなります。また、尿は時間の経過とともに肌に刺激を与えます。いつ交換するのか、生活に合わせて頻度を工夫してみましょう。

着用したアウターのオムツ本体は、汚れがなくても蒸気で菌が繁殖しています。1日に1度は交換しましょう。

※オムツ事情に詳しいオムツフィッター りえさんとの対談記事はこちらをご覧ください。
 https://my-nurse.jp/blogs/column/kaigo/202205-2755/

オムツ選びのケース 〜リハビリがしやすいオムツを見つけたい〜

突然のケガによりオムツを使用することになったAさんのケースをご紹介します。
Aさんは、地域の活動にも参加するなど意欲的な方でしたが、ある時、骨折してしまいます。当初は、寝たきりの状態が続きました。リハビリに励むことで、立ち上がれるまでに回復。しかし、オムツを着用した際の動きにくさやケガをする前の下着との違いに、とまどいを感じていました。

Aさんには以前と同じ下着を身につけたいという思いがありました。実際には、介助が必要な場面も多く、布の下着で過ごすことは難しい状態です。そこで、Aさん本人の希望や身体の状態を考慮しながら、訪問看護師さんや通所施設の介護士さんの意見、家族の考えをケアマネージャーが聞き取り、オムツを検討しました。

検討した項目:「素材」「吸収力」「厚さ」「サイズ」「インナー(尿とりパッド)のずれにくさ」「通気性」

いくつかの製品を試し、Aさんが最終的に選んだのは、動きやすく、着用感が布の下着に近い薄型・パンツタイプのオムツと薄型のパッドでした。吸収力が高く漏れにも対応できます。
Aさんのご家族は、「専門家のみなさんの温かい声かけや、助言が得られたことが一番ありがたかった」と言います。周りの人に相談することで、Aさんも介護をする人も納得できるオムツにたどり着くことができました。

オムツ選びは、本人の自尊感情を守り、ご本人・介護する人の両方が充実した生活を過ごすための重要なポイントです。身体の状態に合わせて、いろいろな情報を検討したり、周りの人に相談しながら、ぴったりのオムツを見つけていきましょう。

介護にまつわる悩みやお願いごとは、「わたしの看護師さん」にご相談ください。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

「介護に関するお役立ち情報」を随時更新しています。ぜひ介護のお困りごとの参考にご覧ください。

Facebook Twitter Instagram