糖尿病とは誰もが一度は聞いたことのある病ですが、なにが原因でどんな症状がでるのかを知っていますか?
・健康診断の結果で血糖値が高かった
・自分の親が糖尿病だ
・孫の成長を見るために健康で長生きしたい
そんな方へ、糖尿病との正しい向き合い方、正しい怖がり方について紹介していきます。
糖尿病ってどんな病気?
日本には、糖尿病ないしその予備軍がいずれも約1000万人いると言われています。およそ成人の4人に1人です。
糖尿病にはⅠ型とⅡ型がありますが、約9割が生活習慣や遺伝子要因でインスリンがでにくくなったり、効きにくくなったりするⅡ型糖尿病です。
インスリンとは血液中に流れている糖を細胞に取り入れる役割があり、その取り込まれた糖はエネルギーになります。インスリンが十分に働かないために糖分をエネルギーに変えられず、血液中を流れる糖が増えてしまう(高血糖)これが糖尿病です。

糖尿病は今の医療では完治させることはできませんが、コントロールすることはできます。自覚症状は少ないのですが、そのまま放置すると実に恐ろしい病気なのです。
糖尿病の症状と合併症の恐ろしさ
糖尿病は自覚症状が全くしないことが多く、症状がでるとしてもごく軽いものになります。しかし、随時血糖値(食事時間とは無関係に測定した血糖値。)が160mg/dL~180mg/dLを超えると、
・足や手に痛みや痺れ
・皮膚の乾燥やかゆみ
・頻尿、多尿、多汗、喉が渇く
・疲労感
のような症状が少しずつあらわれます。
さらに怖いのが合併症です。
糖尿病の三大合併症と言われているのが、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害です。
糖尿病腎症
「沈黙の臓器」である腎臓は、末期状態になるまで訴えてきません。高血糖状態が続くと、腎臓のフィルターがつまって血液のろ過がうまくできなくなり、悪化すると人工透析が必要になります。一般的な透析は1回につき4時間を週3回おこないます。
人工透析は「中止=死」を意味します。腎臓移植をしない限り一生涯続ける必要があります。
また、人工透析の代替治療として腎臓移植があります。しかし、腎臓を提供するドナーは少ないため、移植を受けるまでに平均14年以上待機しなければならないというデータもあります。
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、高血糖のため目の血管がつまったり、変形したり、出血をおこす合併症。失明原因の第2位で、年間約3000人の方が糖尿病が原因で失明しています。
初期症状がほとんどなく、自覚症状を感じたときにはかなり進行していることもあり、ある日突然目の前が真っ暗になることがあります。
糖尿病神経障害
糖尿病神経障害は、神経細胞に血液が届かなくなり神経障害が起こります。
症状は手足の痺れや痛み、感覚の鈍り、たちくらみ、発汗異常、便通異常など様々。
感覚が鈍るため足の小さな怪我に気づかず、傷口が細菌などに感染します。糖尿病は傷口の治りも悪いことから、組織や筋肉が侵され壊死し、足を切断することも珍しくありません。

さらに糖尿病は動脈硬化の原因になり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが非糖尿病の人に比べて2~4倍高くなります。
一口に糖尿病といっても多様な病態があり、初期のうちには自覚症状がほとんどありません。そのまま放置していると気づいたときには、取り返しのつかないことになっていた。という恐ろしい病気なのです。
糖尿病の予防と改善
糖尿病の鍵となるインスリンはホルモンの一種。体内で分泌するものの中で、唯一血糖値を下げる役割をもっています。
アジア人はもともと欧米人よりインスリンの分泌が少ないため、欧米化した食事をとりすぎれば糖分の処理が追いつかなくなり、どんどん膵臓が衰えていきます。
そこで糖尿病の予防・改善として、
1.血液中の糖を減らす
2.インスリンの効果を高める
のふたつが大切です。
具体的な予防・改善策は食事療法、運動療法、ストレス解消があります。
食事療法
食事療法では、糖質制限をして体内にはいってくる糖の量を調整します。またカロリーを必要以上にとらないことで、膵臓の負担は軽くなり、機能は回復します。
内臓脂肪からインスリンを効きづらくする物質が分泌されているため、脂質が多い食事も避けましょう。糖質の多い米、パン、麺類は少なめに、野菜や魚、海藻類、きのこをバランスよくとるようにしましょう。
運動療法
運動療法では、運動をすることで糖分の代謝がよくなり、血糖値の安定に繋がります。すなわちインスリンの効き目が良くなります。またストレス解消にもなります。
ストレス時に分泌されるアドレナリンは血糖値をあげるホルモンのひとつです。リラックスする時間を増やすことも糖尿病予防にはとても大切です。
またタバコやアルコールもアドレナリンの分泌を引き起こし血糖値をあげる原因になるので控えましょう。

糖尿病の親を介護する時に気をつけること
高齢者は高血糖になっても症状がでにくく、のどが渇いたり疲れの症状がでたとしても「歳のせい」と思い見逃すことがあります。また低血糖にも注意が必要です。内服薬やインスリン注射の働きがいつもより過剰になる場合や、食事量が少なかったり運動量が多い場合によって低血糖は起こります。
ふらつきや動悸、手足が震えるなどの症状の他、ひどい場合には痙攣や意識を失う場合もあります。本人が気づかないこともあるので家族や周りの方も一緒に注意してくださいね。
低血糖の症状を感じたらすぐにブドウ糖、砂糖をとりましょう。消化吸収に時間のかかる飴やチョコレートは緊急に適さない為、スティックシュガーを持ち歩きいつでも糖がとれるようにしてください。※α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している場合には砂糖では効果がない ので、必ずブドウ糖をとってください。携帯用ブドウ糖は薬局で購入できます。
意識障害などの強い低血糖が起きた場合(口から糖分がとれない)、ブドウ糖や砂糖を口唇と歯肉の間に塗りつけます。また、グルカゴン(血糖をあげるホルモン)を常備して緊急時に家族が注射できるようにしておくと安心です。
血糖値が高いから、症状がでないからといって勝手に量を増やしたり、中止したりするのはやめましょう。薬は決まった時間、決まった量を飲むことが大事です。
長年の食生活を急に変えることは安易にできるものではなく、親御さんもストレスが溜まるでしょう。どうしても甘いものをやめれない場合は、空腹時に食べるのではなく、食事に続けて食べるなどの工夫をしましょう。本人が食べたくならないよう、本人の目の前でお菓子を食べないなど家族の協力も必要です。
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日常に支障をきたさない、症状がでないからといって糖尿病を甘くみてはいけません。
うまく糖尿病をコントロールできれば、糖尿病の症状もでず、合併症も予防することができます。
頑張りすぎず、あきらめず、長くお付き合いすることが大切です。また家族の協力も必要です。
できることからコツコツ継続していきましょう。
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