高齢の親にストーマが必要になったら~在宅介護で気をつけるポイントをご紹介~

ストーマをつくる理由は、病気や手術の影響などさまざまです。高齢の親にストーマが必要になったとき、介護をする私たち家族にできることはあるのでしょうか。

ストーマのケアは基本的に自分ですることになるため、ご自身でケアが難しい高齢者の場合は、家族のサポートが必要です。毎日の排泄に関わることですから、これからの生活が大きく変わってしまうのではないかと、親本人はもちろん、介護をする家族もとまどいや不安が大きいと思います。

けれど、ストーマのケア方法や、日常生活で気を付けるポイントをしっかり押さえておけば、今までと変わらない生活を送ることができます。

今回の記事では、ストーマの基礎知識、在宅介護で必要なストーマのケア、日常生活で気を付けるポイントをご紹介します。

ストーマとはどんなもの?

ストーマとは

ストーマとは、手術によってお腹の外につくられた、便や尿を排泄する出口のことです。特別な装置を付けるのではなく、自分の腸や尿管の一部を体外に出すことでつくられます。ストーマには痛みを感じる神経がないため、触っても痛くありませんので安心してくださいね。

ストーマの種類としては、便が出るものを「人工肛門」、尿が出るものを「人工膀胱」といい、ストーマをつくると肛門や膀胱ではなく、ストーマから排泄されます。また便やガス、尿を我慢するなどのコントロールが自分の意志ではできなくなり、自然にストーマから排泄されるようになります。

ストーマ装具とは

ストーマをつくると排泄物が自然に排泄されるため、ストーマ装具という専用の袋をお腹に装着し、受け止めます。ストーマ装具は、直接皮膚に貼り付ける板(面板)と、排泄物を受け止める袋で作られており、これには、面板と袋が一体化しているワンピース装具と、面板と袋が分かれているツーピース装具があります。さまざまな種類があるため、それぞれに合った装具を看護師と相談しながら選びましょう。

またストーマ装具には防臭・防水効果があるため、においはほとんどなく、適切に装着することで排泄物の漏れを防ぐことができます。

在宅介護で必要なストーマのケア

在宅介護をしていたら

ストーマをつくったあとは、溜まった便や尿の排出など、日常的なケアを本人が行っていくことになります。しかし、在宅介護をしている高齢の親がストーマをつくった場合、ご自身でケアができない場合も考えられますよね。その際は、介護をしている家族のサポートが必要です。

ストーマをつくったあとの日常的なケアは、「ストーマ装具に溜まった便や尿の排出」と「ストーマ装具の交換」の2点です。具体的にどのようなことをするのかご紹介します。

1. ストーマ装具に溜まった便や尿をトイレに排出する
ストーマをつくると、自分の意志とは関係なく便や尿がストーマ装具に排泄されます。そのため、溜まった排泄物をトイレに排出する作業が必要です。溜まった排泄物は、袋の3分の1を目安に捨てることが一般的ですが、使用するストーマ装具や個人差で変わることがあるため、看護師などの専門家に確認しながら進めましょう。

2. ストーマ装具の交換
ストーマ装具は使い続けていると劣化するため、定期的な交換が必要です。ストーマ装具の交換も基本的には本人が行っていくことになるため、在宅介護をしている家族のサポートが重要になります。

交換の周期は1-2日、3-4日で交換など、使用する装具によって異なるため、しっかり確認しておきましょう。

在宅介護におけるストーマのケアの注意点

ストーマ装具の交換は、2011年に厚生労働省より「肌への接着面に皮膚保護機能を有するストーマ装具については、原則として医療行為に当たらない」と示されています。そのため家族や介護士も装具の交換を行えます。

ただし、病状が不安定で専門的な管理が必要な場合は医療行為とみなされることもあるため、注意が必要です。介護保険制度で要介護と認定されている方は、医療行為にあたる場合、看護師による訪問看護サービスを利用することもできます。

訪問介護サービス以外にも、ご本人の状態に合わせた介護サービスを利用することが可能です。また、要介護認定に関わらず利用できる介護保険外サービスもあります。在宅介護でのストーマケアが負担になっている場合は、ご家族だけで抱え込まずに、まずはケアマネジャーに相談しましょう。

参照:厚生労働省「ストーマ装具の交換について」

ストーマをつくった高齢の親との生活で気をつける4つのポイント

1. 食事

ストーマをつくっても、基本的に食事を制限する必要はなく、食べてはいけないものも特にありません。バランスの良い食事を規則正しく、ゆっくりよく噛んで食べることが大切です。

また、体調に合わせて食事を工夫することもポイントです。便秘の時は食物繊維や水分を多く摂る、下痢の時は消化の良いものを摂り乳製品を控えるなど、体調に合わせて食材や調理方法を工夫しましょう。高齢の親が便秘や下痢になりやすい食材も、次第に把握していけたら良いですね。

便や尿のにおいやガスが気になる時も、食材を工夫することで改善することがあります。ニンニクやネギ、さつまいもなど、においやガスを発生させやすい食材は摂りすぎに注意し、ヨーグルトや納豆など、においを抑える食材を取り入れると良いでしょう。

2. 入浴

今まで通り入浴をすることができます。ストーマから体内にお湯が入ることはないため、ストーマ装具をつけたままでも外しても、どちらでも入浴が可能です。

注意点として、食後は排泄することがあるため、食前の入浴をおすすめします。食後の場合は、入浴までに十分な時間を置きましょう。食後から2時間以上経過してからが良いとされています。

お湯の温度はストーマに刺激を与えないため、40度前後のぬるめにします。高齢の親が気持ちよく入浴できるように、ポイントを押さえておいてくださいね。

3. 服装

ストーマやストーマ装具を圧迫しなければ何を着ても問題なく、今までの服装を変える必要はありません。ストーマ装具の膨らみや透けることが気になる方は、大きめのサイズを選ぶ、透けにくい色や素材を選ぶなど工夫しましょう。柄物やマタニティー用のジーンズで工夫されている方もいらっしゃいます。

また、ストーマ装具を装着していても不便がないように作られた専用の下着もあります。服や下着など、親の状態に合わせて選んであげてください。

4. 皮膚トラブル

ストーマの皮膚トラブルは、便や尿の付着や、ストーマ装具を貼っている粘着部分の刺激、汗など、さまざまな原因が考えられます。高齢の親に皮膚トラブルがないか、ストーマのケアをする際は気にして見てあげるようにしましょう。

皮膚トラブルが生じると、ストーマ装具が貼りつきにくくなるなど、日常のケアに影響が出てしまいます。もしかぶれていたり湿疹が出ていたりした時は、早めに原因を知り対処をすることが大切です。少しの変化でも、気になることがあれば病院で診てもらいましょう。

ストーマのある生活に慣れるまでは時間がかかるかもしれません。今回ご紹介した、日常生活でのポイントや注意点に気を付けていても不安は尽きませんし、実際にストーマのある生活を送ってみて実感するお困りごともあるでしょう。

私の身近な知り合いにも、介護が必要な状態で、ストーマをつくった方がいます。その方の介護者は、最初の頃は何度もストーマケアを練習し、少しでも不安なことや気になったことがあれば専門家に相談していたそうです。

どんな小さなことでも決して抱え込まずに、ストーマ外来の医師や看護師などの、介護に関わる専門家を頼ってみてください。専門家や介護サービスを頼りながら、高齢の親、介護をする家族が、お互いに気持ちよくストーマのある生活を送れることを願っています。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

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