みなさんは、高齢の親の目の衰えに不安を感じていませんか。一般的に人の知覚する情報の8割以上を視覚が占めるといわれています。目の健康は、親が安心、安全に暮らしていくためだけではなく、旅行が好き、読書が趣味など、生きがいを持ち続けるためにも欠かせません。
近年、「アイフレイル」という言葉が広まり、高齢者の目の健康寿命を伸ばす取り組みが推進されるようになりました。加齢による目の衰えを防ぐことは難しいとされていますが、アイフレイルに気づき、早めに治療を行うことで、症状の進行を遅らせることは可能です。
今回は、アイフレイルの確認方法、アイフレイルを予防するために見直したい5つの生活習慣、親の目が見えづらくなってきた際の対策についてご紹介します。
アイフレイルとは
アイフレイルは、2021年に日本眼科啓発会議が提唱した概念です。「加齢に伴って眼が衰えてきたうえに、さまざまな外的ストレスが加わることによって目の機能が低下した状態、また、そのリスクが高い状態」を指します。健康な目と高度な視機能障害の中間に位置し、アイフレイルの段階での適切な治療によって、症状の進行を遅らせたり、緩和させたりすることが期待できます。
注意したい目の疾患
目の衰えを加齢のせいと思って放置してしまうと、重大な病気の発見が遅れる危険があります。ここでは、高齢者によくみられる目の疾患を3つご紹介します。
1.白内障
加齢などが原因で目の水晶体が濁り、視界がかすむ病気です。ピントの調整機能が悪化するため、目がかすんだり、いつもよりもまぶしく感じたりします。
2.緑内障
網膜から脳につながっている視神経がダメージを受け、徐々に視界が欠けてくる病気です。症状に気づきにくく、一旦欠けてしまった視野は元に戻ることはありません。できるだけ早期の発見・治療が大切です。
3.糖尿病網膜症
糖尿病の合併症の一つです。高血糖の状態が長く続くと網膜の血管に負担がかかり、出血などの症状が現れます。初期の段階では自覚症状がなく、進行した結果、失明のリスクも。定期的に受診し、眼底検査を受けておきましょう。
チェックリストを活用して、アイフレイルを確認
年齢を重ねていくと見え方にも変化が起こります。けれど、その目の違和感は病気のサインかもしれません。
〈アイフレイルの例〉
目が疲れやすい・以前と比べ見えにくい・スマホの文字を小さく感じる・読書がおっくうになった・光をまぶしく感じる・段差を見落としてしまう など
Web上にはアイフレイルのチェックリストや、チェックツールもあります。参考にしながら、親の目の状態を一緒に確認しましょう。ただしセルフチェックになりますので、不安なことは眼科医に相談するよう心がけてください。
アイフレイルがきっかけで起こるリスクとは
フレイルには、身体的フレイル、社会的フレイル、精神・心理的フレイルがあり、アイフレイルは、身体的フレイルの一つに含まれます。この3つのフレイルはお互いに影響を与え、悪循環に陥ることで要介護のリスクを高めます。
1. 身体的フレイル
視力の衰えにより、転倒しやすくなります。外出や買い物の頻度が減り、筋力の低下、低栄養を引き起こします。
2. 社会的フレイル
外出を控えはじめると、他者との交流が減少します。やがて家に閉じこもるようになり、地域から孤立していきます。
3. 精神・心理的フレイル
他者との交流が減ることで、脳への刺激が不足し認知機能の低下が起こります。また見えづらさは、やる気や興味を失わせ、生活の質に影響を及ぼします。
5つの生活習慣を見直して、アイフレイルを予防
近年はデジタルデバイスが普及し、知らず知らずのうちに目に負担をかけています。目の健康を維持するためにも、日ごろの生活習慣の見直しを行いましょう。ここではデジタルデバイスとの付き合い方をはじめ、5つのポイントをご紹介します。
1. デジタルデバイスとの付き合い方
画面から30〜40センチは離れ、1時間以内に10〜15分程度の休憩をとるようにしましょう。ブルーライトの光は網膜に影響を与えるため、画面を暖色やブルーライトカットの設定に変更します。
2. 食事
まずは規則正しい食生活を心がけ、必要な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
また加齢とともに涙の分泌量が減少し、ドライアイになりやすくなります。こまめな水分補給を心がけましょう。
・ルテイン、ゼアキサンチン
目の黄斑部の中心や周辺に存在する成分。年齢とともに減少しますが、体内で作りだすことができません。ケール、モロヘイヤ、小松菜、パプリカ、かぼちゃなど、緑黄色野菜に含まれます。
・オメガ3脂肪酸
主に青魚(サバ、イワシ、サンマなど)に含まれています。特にDHA(ドコサヘキサエン酸)は、目の網膜の健康維持に欠かせない成分として知られています。
3.紫外線対策
目は紫外線の影響を受けやすく、白内障などの疾患の原因になります。紫外線が強い時間帯の外出はなるべく避けましょう。出かける際は、紫外線防止効果のあるサングラスや眼鏡、つばの広い帽子や日傘を使用するよう心がけてください。
4. 目のストレッチ
顔から30センチほど離した人差し指にピントを合わせて10秒見て、それから2メートル以上先の目標物にピントを合わせて10秒見ます。これを1セットにして、1日10セット行います。また目の乾燥予防に、まばたきを意識的に行いましょう。
5. 定期的に眼科を受診する
初期では自覚症状がない疾患が多く、気がついたときには進行しているケースが多くみられます。目の健康を守るために、定期的に眼科を受診することが重要です。特に眼底検査は、緑内障などの早期発見につながります。
親の目の衰えを感じたら~便利なツールやサービスを活用しよう~
家の中での転倒を予防するための工夫や、読書をサポートするツール、病院付き添いなどで利用できる外部のサービスをご紹介します。
1. 家の中での転倒を防ぐ
住み慣れた家であっても、視力の低下により転倒の危険が高まります。親が安心して生活を送るために、以下のことをチェックしてみてください。
・寝室の場所を変更する
寝室をトイレや風呂場に近い場所に変更したり、2階から1階に移動したりすることも検討しましょう。手すりやスロープを設置し、夜間の移動に備えセンサーライトなどで足元を照らせると安心です。
・歩く導線を整理する
親が歩く導線を確認し、床に物を置かないようにします。電気のコードもつまずきやすいため、コードの設置場所には注意が必要です。
2. デジタルツールの活用で、読書を諦めない
趣味が読書の場合、読めなくなることで楽しみが減り、生活の質の低下につながります。見えづらくなっても読書を楽しむ方法を2つご紹介します。
・電子書籍
電子書籍は、電子データ化された本を電子機器の画面で読めるようにした書籍です。読むときに文字を拡大できることがメリットです。ただし、長時間の利用は避けましょう。
・聴く読書を利用する
最近では、プロのナレーターが本の朗読をするオーディオブックの利用が広がっています。ラジオを聴くような感覚で読書が楽しめるため、文字を読むことが難しくなってきた方におすすめのツールです。
3. 外出が不安になったときに利用したい2つのサービス
親と離れて暮らしている場合、閉じこもりや通院を控えることに不安を感じている方も多いと思います。旅行や病院付き添いをサポートするサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
・トラベルヘルパー付き旅行サービス
専門的な知識を持ったスタッフが旅行に同行します。移動中や観光地での介助、宿泊先での食事の介助などのサポートを行います。料金は事業者によって異なるため、事前の確認が必要です。
・介護保険外の病院付き添いサービス
介護保険の通院介助では、基本的にヘルパー等の介助者は診察室まで同行できません。しかし介護保険外サービスであれば、介助者が診察室内や薬の受け取り、会計にも同行します。費用は全額自己負担になりますが、要介護認定に関わらず利用可能です。
弊社「わたしの看護師さん」でも、介護や医療の資格を持つ専門スタッフが、見えづらさにも配慮したサポートを行っています。専門知識に基づいた対応で、安心してお任せいただけます。
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加齢による目の衰えを避けることは困難です。けれど、見えづらくなったとしても、親には生きがいを持って楽しく生活してほしいですよね。
目の不調を放置した結果、病気が進行し介護が必要な状態になるかもしれません。早めに眼科を受診するよう促しましょう。
最近では、デジタルツールや、介護保険外サービスの外出サポート・病院付き添いなど、さまざまなサービスが登場しています。ご家族だけでの介護に不安を感じた際は、これらのサービスも取り入れてみてください。
今回の記事を参考に親の目の状態、生活習慣を確認し、アイフレイルの予防につなげてください。
介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。
家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。
「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。
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