地域にでかけ介護を学ぶ。鳥取環境大学の授業をコーディネートいたしました。

2022年6月4日-5日の2日間、鳥取環境大学の「地域実践 特別演習」にて介護を学ぶフィールドワークのコーディネートと授業を実施しました。

介護を学ぶ機会を提供くださいました社会福祉法人こうほうえん アザレアコートさま、「わたしの看護師さん」ご利用会員さま、ご家族のみなさま、誠にありがとうございます。

1日目

◎介護の全体像を学ぶ

まずは神戸から、介護を取り巻く状況についての授業。

「親の介護がはじまった!」…は、学生のみなさんにとってはまだまだ先かもしれませんが、いざ介護が始まったときにどこへ相談にいくか、何を知っておく必要があるかについてお話しました。

家族形態が変わりつつある中で誰が介護を担っているのか、介護保険の概要や介護サービスでできること・できないこと、公的負担や自己負担に関する制度事情についてお伝えしました。

◎アザレアコートへ訪問

サービス付き高齢者向け住宅「アザレアコート」へ訪問。施設で働く方に、施設の概要や暮らしについてご案内いただきました。昼食はアザレアコート内のレストランで「介護食」を初実食。味があまりしないと思っていた方が多く、味がしっかりついていることにビックリされたようです。

◎保険サービス、保険外サービスをご利用のご家庭へ訪問

その後は、介護保険サービスと介護保険外サービス「わたしの看護師さん」をご利用の家庭へそれぞれ訪問。どのような違いがあるのか、実際に現場で体感いただきました。

介護保険サービスは30分の訪問に同席。30分の時間制約の中で、洗濯、血圧チェックなどの体調管理、片付けなどのやることを猛スピードで行う様子に驚いたとのこと。

一方の「わたしの看護師さん」は、定期的にマッサージと見守りを行うご家庭に訪問。1時間の訪問サービスに同席し、マッサージ後にはじっくりとお話を聞くことができ、介護保険と保険外を併用していることのよさ、在宅で介護をし続けたい理由などについてお聞かせくださいました。(快く協力をくださいましたご利用会員・ご家族のみなさま、誠にありがとうございます。)

◎ヤングケアラーオンラインサロン

夜は、この日1日に見てきた介護や家族のお世話を10代のうちから担っている「ヤングケアラー」の方々のお話を聴く、オンラインサロンに参加。

5名の学生さんの中には、「学校の先輩で、週末はおばあちゃんの病院付き添いをしている方がいます」という方も。ヤングケアラーは、中学・高校の20人に1人いると言われているように、気づきづらい・分かりづらいですがとても近くに「介護をしている同世代」はいるんですね。

(zoom画面をプロジェクターに投影し、ホテルの会議室から参加)

オンラインサロンでは、

・ケアをしている自覚はあった?

・友達に相談できなかったのはどうして?

・大丈夫って聞かれたら大丈夫って答える?

など、「ケアラーあるある」について5人の当事者のお話や、参加者からのQ&Aに答える形で進行していきました。

「相談は、近い存在ではなく遠い人のほうが話しやすい、というお話が意外でした」

「『友達には相談できない』ということに対して、相談をすることがとても難しいと知りました。最後に登壇者の方が『待ってたよと言われて安心した』と話されていて、「待つ」というサポートの仕方もあるんだと知った」

という感想が聞かれました。

1日かけて現場訪問もし、たっぷりと「情報」を吸収した初日。最後には明日の発表に向けて、「どうしたら介護と向き合う人たちが生きやすくなる?」「自分の立場からできることは?」という問いが示され、1日目は終了しました。

2日目

2班に分かれ、午前中いっぱいをかけて1日目のまとめをしていました。

それぞれに感じた問題意識と、それを解決するための取り組みのプレゼンテーション。

「多くの人が何も知らないまま介護やケアがはじまっている。介護は家族が行うものと考えられている」の問題意識に対して、「①教育の中で制度を知ってもらうことはできないか、②介護者も相談できる第3の場所をつくることができないか」

「望む暮らしをするために、学生の自分たちが地域の高齢者と関わる仕組みを行政とつくることができないか?」

という提案を発表してくれました。

今回の学生さんの中で、おじいちゃん・おばあちゃんと同居している方は少数派でした。高齢者が身近にいる生活は「当たり前」ではありません。誰しもが必ず向き合う「介護」も当然、若い方にとっては「身近」な存在ではありません。

今回のフィールドワークを通して介護の実態、自分を守る・助けるための制度や支援サービスのことを知り、介護と明るく前向きに向き合っていける。そんな一つにきっかけになれていたら、嬉しいです。

介護人材の不足が言われていますが、誰しもが住み慣れた場所で暮らし続けていくために、介護を学ぶ人が一人でも多く増えること、また、望まない介護離職を防ぐためにも、ライフプランの一つとして「介護」を学ぶ機会の必要性を感じています。

今回のようなフィールドワークや授業、課外活動など、教育の中で介護や地域の実態を学ぶ機会を今後も作ってまいりたいと思いますので、授業のご要望がありましたらご連絡ください!

ご協力くださいましたみなさま、誠にありがとうございました。

(鳥取環境大学佐藤先生、西部サテライトキャンパスの田中さん、細田さん、学生5名と)