社会でヤングケアラーを理解し支援する。|ヤングケアラーフォーラム・研修会レポート

令和5年11月30日に鳥取県立生涯学習センターにて、ヤングケアラーフォーラム・研修会を開催しました。ヤングケアラー問題に関心のある方や、ヤングケアラーを取り巻く支援機関の方に向けて、ヤングケアラーに対して理解を深め、支援体制を強化することが目的です。

主催は鳥取県、企画・運営を弊社が担い、第1部では講演とトークセッション、第2部では支援者研修を行いました。その内容の一部を、レポートします。

ヤングケアラーの経験から知ってほしいこと

まずはじめに、弊社代表の神戸から、「当事者・支援者の立場から見つめる、ヤングケアラーの姿 家のお手伝い、介護、今と昔~ヤングケアラー相談窓口から見えたこと~」と題した講演からスタートしました。

神戸自身の介護の経験から、24時間頭に介護のことがあり、子育てとの両立が大変だったことをお話ししました。

神戸:子どもの授業参観に行っても、家族から呼び出しがあるかもしれない。20代、30代で周りに介護をしている人がおらず、孤独な介護生活でした。

後半は、神戸とヤングケアラーの当事者である大学生を交えたトークセッションへ。

大学生:子どもは介護をしないということを当たり前にして、介護を家庭の中で完結させないことが大切です。

ヤングケアラーを経験した大学生の言葉に、会場の参加者は大きくうなずきながら聞いていました。

ヤングケアラーへの支援を通して伝えたいこと

第2部では「NPO法人となりのかいご」の代表理事である川内潤さんによる、「ヤングケアラー発生防止への提言~子どもを介護の担い手にしないために~」と題し講演を行っていただきました。

ヤングケアラーをどう支援したらいいかを、当時者へのアンケートや実際に川内さんが携わった事例とその対応策等をもとに説明されました。

「片働きだから、〇〇だからヤングケアラーはいないでしょう」という決めつけは危険で、どんな家庭でもヤングケアラーになるかもしれません。川内さんが行った調査によると、ヤングケアラーの家庭の介護者の年齢や要介護度に大きな差はみられませんでした。

子どものヤングケアラー化には、その親の意識が多大な影響を及ぼしています。家族介護への意識が強く、介護サービスに対する抵抗感が強いです。

川内さんがヤングケアラーの個別相談を受ける際には、何度も話を聞き、一緒に考えます。ヤングケアラーが自分の気持ちに焦点を当てて、自分がどうしたいかを一緒に考えるそうです。

相談やセミナー、情報発信を通して多くの人に介護のノウハウや家族介護の考え方を伝えることが大切だと、力を込めて話して下さいました。

ヤングケアラーを社会で支える

今回の講演では、ヤングケアラー当事者と支援者の両方からのお話を聞くことができました。

ヤングケアラーは中高生の約20人に1人いると言われています。ヤングケアラー当事者の言葉にあった、「介護を家庭で完結させない」ために、大人がヤングケアラーについて知り、ヤングケアラーにさせない意識を持つこと、介護を家族だけで抱え込まないことを大切にしてほしいと切に思います。