遠距離介護で実家の片付けを進めるためのヒント~背景と対処法~

遠距離介護をしていると「実家の片付けが気になってはいるけれど、思うように進まない」と感じている方も多いのではないでしょうか。片付けを進める中で、親と気持ちがすれ違ってしまうこともあるかもしれません。

「物が多くて転倒が心配。安全のために片付けたい」と考える子どもと、「思い入れがあるから手放したくない」と感じる親。お互いの思いを大切にしようとするからこそ、悩みは深くなりがちです。

この記事では、遠距離介護で実家の片付けが進まない理由を整理し、片付けの進め方や頼れるサービスをご紹介します。また体調の変化や認知機能の低下など、高齢の親が物を片付けられない隠れた要因についても、事例を通して考えます。

無理なく遠距離介護を続けていくためのヒントを見つけていただければ幸いです。

親と一緒に片付けをどう進めたらいい?

なぜ遠距離介護では実家の片付けが思うように進まないのか、その理由を整理し、片付けの進め方を確認しておきましょう。

実家の片付けが進まない原因

・片付けに使える時間や回数が少ない
仕事や家庭の都合で、帰省できる日数はどうしても限られます。一度の帰省で「できるところまでやろう」と思っても、実際には思うように進まず、達成感を得られないまま帰路につくこともあるでしょう。

特に実家が離れた場所にある場合は、片付けのために何度も通うことで、時間や体力、金銭的な負担が積み重なっていきます。

・片付けの範囲が広い
実家の片付けは、倉庫や使っていない部屋だけを整理すれば終わるものではありません。高齢の親が日々の生活で使用している室内や、そこで整理しきれなくなった物も含まれます。そのため、想像以上に片付けの範囲が広がってしまうことがあります。

実家の片付けの進め方

1. 気持ちに余裕を持って少しずつ
遠距離介護の実家片付けでは、「今回で終わらせよう」と考えすぎないことが大切です。限られた時間の中で一気に片付けようとすると、体力的・精神的な疲労が増えていきます。

何度も通いながら少しずつ進め、片付けを長期的な取り組みとして捉えることで、気持ちに余裕が生まれやすくなります。

2. 優先順位を決めてスタート
すべての片付けを同時に進めようとせず、優先順位を決めることがポイントです。例えば、転倒の原因になりやすい場所や、水回りなど日常的に使う部屋、生活動線を妨げている箇所など、安全や暮らしに直結する部分から手をつけてみると、実家の環境は少しずつ整っていきます。

3. 親の気持ちや背景を理解する
片付けを進める中で、親が物を手放したがらない場面に直面することもあります。長年使ってきた物や思い出のある物を、簡単に手放せない気持ちがあるのは自然なことです。また、加齢による判断力や体力の低下によって、片付けること自体が親の負担になっている可能性もあります。

そうした背景を理解したうえで、「今回はここまで片付けよう」と区切りをつけながら進めてみてください。親に納得してもらいながら片付けることで、気持ちのすれ違いも生まれにくくなるでしょう。

片付けを担う業者・介護サービスの活用

家族だけで片付けを続けることが難しい場面に検討したいのが、片付けの専門業者や介護サービスの活用です。作業がスムーズに進むようサポートしてもらうのはもちろん、親と子が感情的になりやすい場面においても、第三者の冷静な判断は助けになるはずです。

家の片付けを依頼できる業者

片付けを専門に行う業者の多くは、不要品の仕分けや搬出、処分までをまとめて対応するのが特徴です。家族だけでは手が回らない場所の片付けを中心に依頼することで、短期間で住環境を整えやすくなります。

実家に帰省できる回数が限られる遠距離介護に役立つ、選択肢の一つといえるでしょう。必ずしもすべての片付けを任せる必要はなく、状況に応じて部分的に業者を頼るなど、本人やご家族の負担が軽減するよう考えることが大切です。

介護保険で利用できる生活支援サービス

要介護認定を受けていれば、介護保険サービスの訪問介護などを活用し、生活環境を整える支援を受けられます。日常的な生活動線を確保するための整理や掃除、必要な範囲でのゴミ出しなどが対象となる場合があります。継続的に利用することで、家の中に物が増え続ける状況を防ぎやすくなるでしょう。

利用を検討する際は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談すると、状況に応じた支援内容を確認できます。

介護保険の範囲と、介護保険外サービスという選択肢

一方で、介護保険サービスには対応できる範囲が定められており、大量の不用品処分や大掛かりな片付け、ゴミ出しなどは制度上難しい場合があります。

こうした支援が必要なときには、介護保険外サービスを活用する方法もあります。介護保険制度の枠にとらわれず、家庭ごとの事情に合わせた柔軟な対応を受けられる点が特徴です。

家族だけで抱え込まず、状況に応じて外部の支援を取り入れることも、遠距離介護を続けていくうえでのひとつの選択肢といえるでしょう。

<体験記> 高齢の親が物を片付けられない理由は? 専門家だからできるサポート

ここで、弊社「わたしの看護師さん」に寄せられた相談の一例をご紹介します。ご依頼を受けて訪問したのは、いわゆる「ゴミ屋敷」と呼ばれる状態になっていたお宅です。

訪問前には、「どのような方が住んでいるのだろう」とスタッフは不安を感じていました。けれど実際にお会いすると、そこにいたのは穏やかな高齢の女性でした。「片付けが苦手で、すぐ忘れてしまうんです」と、笑顔で話されていました。

室内には多くの新聞や本が足元に散らばっていましたが、問題は片付けだけではありませんでした。女性は食事をとること自体を忘れてしまうことがあり、体重が大きく減っていました。このケースで大きな課題となっていたのは、「ゴミ屋敷の片付け」ではなく、「本人の体調管理」だったのです。

認知症による記憶障害があり、日付や時間の感覚も曖昧になっていました。家に残された多くのメモ用紙は、他人から見れば不要なものに見えても、本人にとっては「今日、誰と何をしたか」を確認するための大切な記録でした。

片付けをサポートする看護師は一方的に物を処分するのではなく、何が必要で、何が不要なのかを本人と一緒に確認しながら少しずつ進めました。

介護の専門家が関わることで、高齢の親の本当の困りごとに気づくこともあります。今回のケースのような介護保険外サービスは、介護保険でまかなえない部分をサポートし、親の暮らし全体に目を向けた支援がなされる点に強みがあります。

遠距離介護における実家の片付けは、家族だけで抱え続けるには負担の大きい課題です。何度も帰省する中で、片付けそのものに疲れてしまったり、しばらく帰省しないうちに「物で溢れた状況に戻ってしまった」と感じることもあるでしょう。

それらが積み重なって、実家に向き合うこと自体が負担に感じられ、次第に足が遠のいてしまうケースもあります。業者や介護サービスを利用することは、「手を抜くこと」ではありません。介護を長く続けていくために、必要なサポートを得る一つの方法です。

家族だけでがんばりすぎて、心身の負担が大きくなってしまう前に、どのような支援が利用できるのかを知り、必要に応じて取り入れていくことが、遠距離介護と実家の片付けを無理なく続けるためのポイントといえるでしょう。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

「介護に関するお役立ち情報」を随時更新しています。ぜひ介護のお困りごとの参考にご覧ください。

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