遠距離介護に役立つ薬の管理ガイド〜離れて暮らしていてもできること〜

「離れて暮らす親は、毎日忘れず薬を飲んでいるだろうか」と、心配するご家族も多いと思います。遠距離介護では、高齢になった親の薬の管理に不安を感じることが少なくありません。離れて暮らしているからこそ気になってしまうものです。

年齢を重ねるにつれて薬の種類が増えたり、体調が変化したり、認知機能が低下したりすることで、服薬が難しくなることがあります。遠距離介護をしていると親の介護を完璧にサポートすることは大変ですが、ちょっとした工夫でサポートのハードルを下げることができます。

今回の記事では、遠距離介護における薬の管理を無理なくサポートするためのアイデアや、介護の専門家との関わりを取り入れたサポート方法をご紹介します。

日々の健康を支える薬の管理の大切さ

薬の管理が大切とされる理由

風邪をひいて1週間ほど服薬する場合は期間も短く、さほど困難が起こらないかもしれません。しかし慢性疾患で長期間服薬をしなくてはならないとなると、薬の管理方法も検討しなくてはなりません。

なぜそれほど薬の管理が重要なのでしょうか。それは、薬は正しく使ってはじめて効果を発揮し、間違った使い方をすると健康を害する恐れがあるからです。

また薬の種類によっては、飲み忘れ、重複服用することで体調を大きく崩す原因になることがあります。薬の効果が出て体調を整えることができると、生活の質が変わるため、医師の指示どおりに使用することが大切です。

なぜ高齢になると薬の管理が難しくなるのか

高齢者は複数の慢性疾患を抱えていることが多く、1日に何種類もの薬を決められた時間に服用する必要があります。特に、加齢に伴う記憶力や判断力の低下があると、服薬管理は本人にとって大きな負担となります。

また、認知機能の問題だけでなく身体機能の低下によって薬の管理が困難に感じることもあります。視力の低下により薬の説明書を読み間違えたり、同じような形状の薬を誤って飲んでしまうことも起こり得ます。

薬によって服用回数が、1日3回、1日2回などと異なる場合があることも、管理を難しくさせる要因となります。

高齢者の薬の管理でよく起きているトラブル

親自身は「きちんと飲んでいるつもり」でも、実際に薬の管理が正しくできているとは限りません。高齢者に起こりやすい薬の管理のトラブルの例を3つご紹介します。

1. 飲み忘れや飲み間違い
高齢者の薬管理で最も多いトラブルが、飲み忘れ、飲み間違いです。これは注意不足だけが原因ではなく、加齢や生活環境によって誰にでも起こりうることです。

飲み忘れが続くと、処方された薬の数量と実際に飲んだ数量に差が出て、薬が多く残ってしまいます。逆に、誤って重複して飲んでしまうと、次回の受診日を待たずに薬がなくなってしまいます。

2. すでに薬を飲んだかどうかわからなくなる
年齢とともに記憶力が低下すると、数時間前の行動が曖昧になることがあります。また毎日同じ薬を同じ時間に服用していると、「薬を飲んだ」という記憶が、前日の出来事なのか、今日の出来事なのかを、判断しづらくなることもあります。

3. 自己判断で薬をやめてしまう
「症状が回復した」「この薬は自分には効かない」と、自己判断で薬を飲むのを止めてしまう高齢者もいます。処方どおりに薬を飲み切ることが難しくなることも、高齢者によく見られる特徴の一つです。

薬の飲み忘れを防ぐための3つのアイデア

薬の管理は、記憶に頼らず行うことが大切です。薬を飲み忘れにくい環境づくりのアイデアを3つ紹介します。

1. お薬カレンダーの活用

薬の管理と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはお薬カレンダーではないでしょうか。お薬カレンダーとは、曜日、日付、服用する時間ごとに薬をセットできる薬管理用ツールです。1週間分、または1か月分の薬をまとめて管理することができます。

壁にかけて使うウォールポケットタイプのものが多く、ポケットの中に薬が残っているかどうかで服薬状況が確認できるため、記憶に頼る必要がなく安心です。薬の残数も分かりやすく、受診日が近いことにも気づきやすくなります。

お薬カレンダーは本人が見やすく、無理なく手に取りやすい場所に設置することをおすすめします。ご本人だけでなく、訪問看護などの介護サービスのスタッフも、服薬状況を確認しやすいのでとても便利です。

2. 医師に薬の一包化を依頼する

薬の一包化とは、1回分の薬を1つの袋にまとめて処方する方法です。袋には服用する曜日や日時(朝・昼・夕など)が印字されているため、「いつ、どの薬を飲むか」が分かりやすくなります。複数の種類の薬を服用している場合でも、飲み間違いを減らすことができます。

また、高齢のため指の力が弱くなり、錠剤をPTPシートから取り出す時に落としてしまうといったトラブルも未然に防ぐことができます。

一包化された薬は、お薬カレンダーを併用するとさらに管理しやすくなります。薬の一包化には、原則として医師の指示が必要ですので、診察時に相談してみましょう。

3. お薬ケース・ピルケースの活用

1週間分の薬を曜日ごと、服用時間ごとにセットして使うお薬ケースも便利です。ケース内の薬の有無によって、飲み忘れが確認できます。目に入りやすい場所に置いて使用しましょう。

アラーム付きのピルケースは、設定した時間になるとアラームが鳴るため、飲み忘れの防止や、毎日決まった時間に服用する助けになり安心です。

「見守りの視点」を取り入れた薬の管理

薬の管理をしやすい環境を整えても、遠距離介護の場合は、実際に親がきちんと服薬できているのかを、すぐに確認できないときもあるでしょう。離れて暮らしていても親の状況を把握できるコミュニケーションや、親と医療・介護の専門家とのつながりを意識しておくことが重要です。

毎日の親子のコミュニケーション時間を活用

親と、電話・LINEなどを活用し、日常的にコミュニケーションを取るようにしましょう。その際に、「薬を飲んだ?」などの声かけをすると、高齢の親が安心して生活することにつながります。

一方で、家族に薬の飲み忘れをチェックされる状況に、不快感を覚える方もいるかもしれません。親のプライドを守るためには、服薬トラブルが起きないように、家族が「薬の管理をする」というよりも、「協力する」姿勢をとることが大切です。

かかりつけ薬剤師・薬局の活用

「かかりつけ薬剤師・薬局」という制度をご存じでしょうか。かかりつけ薬剤師・薬局に、薬のことや健康のことを相談することができます。

家族には心配をかけたくないと考える親でも、日ごろから顔を合わせている薬剤師には、気負いなく薬に関する悩み、体調の変化などを相談しやすいでしょう。

薬剤師訪問サービスの利用

病院や薬局に通うのが困難になった場合、かかりつけ医の指示のもと、薬剤師訪問サービスを利用することができます。

薬剤師訪問サービスでは、自宅まで薬を届け、飲み忘れや飲み間違いがないか確認してくれます。また、薬の使用状況や副作用の有無、生活状況などを継続的に確認し、その内容を処方医にフィードバックしてくれます。

訪問看護の活用

遠距離介護をしていると、どうしても家族のサポートだけでは立ち行かなくなることがあります。そのような時は、家族以外の専門家によるサポートを検討してみるのも選択肢の一つです。

離れて暮らす家族にとっても、ご本人にとっても頼りになるのが「訪問看護」です。ご自宅に看護師が訪問し、健康状態の観察や医療的ケアを行います。

医師の指示どおりに服薬できているかの確認や副作用の有無をチェック、お薬カレンダーへの薬のセット、薬の残数確認などをし、医師や薬剤師などの専門家と連携してサポートします。

親が服薬を拒否するような場面があっても、状態や気持ちに合わせて看護師に関わってもらい、薬が必要な理由を説明してもらうなどすると、拒否感が軽減することもあります。また服薬拒否、薬を飲みにくいといった状況が医師に報告され、速やかな対応につながるのも訪問看護の魅力の一つです。

親の住む地域の介護の専門家によるサポートは、遠距離介護をする方の強い味方となってくれます。

遠距離介護での親の薬の管理は、不安や悩みを感じやすいテーマです。飲み忘れなどの問題が生じたときには、今回の記事を参考に、薬の管理・服薬状況を確認し、親の生活に合った最良の解決策を見つけましょう。

家族でしっかりと話し合い、続けやすい薬の管理方法を選択することが重要です。そして家族だけで問題を抱え込まず、信頼できる看護師や薬剤師など支援者との関わりを取り入れることが、親子双方にとっての安心につながります。

介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。

家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。

「わたしの看護師さん」は、東京・愛知・大阪・兵庫・鳥取・島根・広島・長崎など各地に拠点があります。お気軽にお問合せください。

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