50代・60代を迎え、そろそろ親の介護が心配になったり、「自分の老後はどうなるのだろう」と不安が頭をよぎったりすることはありませんか。実は、この時期こそが介護や老後について考え始める大切なタイミングです。介護を負担ではなく、人生の新しい形として受け入れる準備をしておくことで、家族の絆を守りながら、自分のセカンドライフをより輝かせることができます。
この記事では、親の介護に直面しつつある方や、ご自分の将来を考え始めた方に向けて、今すぐできる具体的な備えと、心豊かな暮らしを維持するヒントを提案します。読み終える頃には、漠然とした不安が具体的な行動プランへと変わっているかもしれません。
50代・60代のリアルと多様化する介護
現代の介護は、一昔前のように家族全員で一人の高齢者を支える形から大きく変容しています。まずは今の介護の現状を整理してみましょう。
遠距離介護と生活の両立というハードル
現代の介護では、かつてのように親と同居して最期まで看取るという形は減少し、離れて暮らす親をサポートする遠距離介護が増えています。子ども世代にも仕事や育児などがあるため、親の介護を同時に担うことに難しさを感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
仕事と介護の両立のためには、早めの情報収集と相談先とのネットワーク作りが欠かせません。しかし、準備不足の状態で介護がはじまると、親を想う気持ちと自分の生活を維持することの狭間で悩み、精神的・肉体的な負担が増大しやすい傾向があります。
「周りに迷惑をかけたくない」という世代の本音
「自分の健康状態に問題なく、そのうち介護の準備するので、周りに迷惑をかけることはないだろう」「介護はまだ先のことだし、将来について考える余裕はない」と感じている方もいるかもしれません。
しかし現代では未婚や離婚、死別などさまざまな背景から単身世帯が増えています。自分自身の介護が必要になった際、誰に頼るのかという問題は、子どもの有無に関わらず多くの人が直面する課題です。
親と将来の話し合いができていないという事実
親が元気なうちは、お金や病気といったデリケートな話題は、話し出しにくく、つい後回しにしてしまいがちです。せっかく親子で話す機会があっても、「今からそんな話をするなんてお金の心配しかしていないのか。まだ元気だから大丈夫」と、話を濁されてしまうことも多いと聞きます。
しかし認知症や急病で本人の判断能力が低下した際に、大切な資産状況や既往症、延命治療への希望などの情報が整理されていないと、本人の意向を知ることができません。病気の治療や介護のあり方について、家族や周りの方は深い悩みを抱えることになります。
いざというとき後悔しないために 〜50代・60代から着手すべき3つの備え〜
1. 親の意向と自分の希望の共有
まずは、親がどのような場所で、どのような最期を迎えたいのかという本音を丁寧に聞き出すことから対話を始めてはいかがでしょうか。同時に、自分自身もエンディングノートなどを活用して、将来の介護や生活に関する意思表示を明確に示しておきましょう。
お住まいの地域の自治体や郵便局でエンディングノートが配布されている場合もありますので、参考にしてみてください。例えば、鳥取県米子市の「米子市エンディングノート 私の人生手帳」は、ホームページにも公開されており、次のような項目を記入するようになっています。
▢家系図・各年代の思い出
▢医療情報
▢資産
▢好きなもの・苦手なもの
▢交友関係・参加している活動
▢介護・終末期医療への考え
お互いの希望を共有しておくことは、不可欠な備えです。どう介護を行っていくのかについてのすり合わせがスムーズになり、いざという時に迷わず最善の選択をすることにつながります。その大切さを親にあきらめず説明し、理解してもらいましょう。
2. もしもの時も慌てない 〜頼れる制度の理解と相談先の確保〜
親の介護と自分の将来を同時に考える中では、貯蓄や年金などのお金の整理に加え、介護保険制度について正しく理解しておくことも重要です。
また、地域包括支援センターの場所や役割を確認しておいたり、散歩のついでに近隣の介護施設を見学して雰囲気を知っておいたりすると、将来への不安を減らしやすくなります。
相談先を確保しておくことは、仕事と介護を両立するビジネスケアラーの方にとっても、精神的なゆとりを保つために、とても心強い備えとなります。
3. 住環境の見直しと終の棲家のシミュレーション 〜自分の将来への備え〜
身体が自由に動く50代・60代のうちに、住環境を早めに見直しておきましょう。今後身体が思うように動けなくなる可能性や、免許証を返納した場合の暮らし方を考慮することも大切です。
将来の自分を助けるための備えとして、さまざまな選択肢を検討してみてください。
・住まいをバリアフリーへ改修
▢ 段差解消
▢ 手すりの設置
▢ スロープの設置
▢ 上吊り引き戸に取り替え
▢ 浴室の床やバスタブを滑りにくい素材に変更
▢ トイレは広く、車いすで使用しやすいように改修
・生活利便性の高い場所への住み替え
▢ 免許返納後に利用できるタクシーやバス、地域の共助交通を確認
こうした準備は、家の中で起きる事故や精神的ストレスを未然に防ぎ、自分らしい生活を安心して送るためのとても重要なポイントとなります。生活の質を維持し、自立した暮らしを長く続けることにもつながります。
参照:米子市ホームページ(福祉保健部 長寿社会課 米子市エンディングノート「私の人生手帳」をご覧ください)
備えを味方につける心地よい暮らしのヒント
暮らしの質を上げる工夫をすることで、将来の介護や生活に備えましょう。家の片付けや、介護に役立つツール・サービス、周囲の人・地域とのつながりについて、振り返ってみませんか?
住まいのダイエットで、身軽な老後を手に入れる
住まいのバリアフリー化を見据えながら、まずは不要な物を手放してみましょう。物につまずいて転倒するなどの事故を防ぎ、日々の掃除や家事の負担を減らせるため、暮らしに時間的・精神的なゆとりが生まれます。
しかし、親の住まいの片付けを手伝いに行っても、思い出の物をなかなか手放してくれず、整理が進まないということもあるでしょう。親の気持ちを考えず無理に処分してしまい、疎遠になってしまっては元も子もありません。
大切かつ必要な物に囲まれて、心身ともに軽やかな状態で生活できるよう、親と根気強く話し合いましょう。少しずつでも実行することで、安心で快適な将来への備えとなります。
介護に役立つサービスや便利ツールを味方にする
最近では、介護や見守りを支える便利なツールやサービスも増えています。
▢ 見守りカメラ
▢ スマートスピーカー(時間になると予定を知らせてくれる機能が便利です)
▢ 紛失(落とし物)防止タグ
▢ 配食サービス(受け渡し時に、見守りをしてくれる配食サービスもあります)
こうしたサービスやツールは、遠距離介護の助けになるだけでなく、子ども世代が介護を必要とする時期を迎えた際にも自立した暮らしの支えとなります。
未来の自分を孤独にしない 〜心地よい居場所と仲間づくり〜
高齢の親も、介護を担う子ども世代も、趣味や地域活動、ボランティアなど、自分にとって心地よいと思える場所を見つけておくと、心のよりどころになります。
家の外に出かけて身体を動かし、知的好奇心を持ち続けることは、元気な期間を伸ばすことにもつながります。今この瞬間を生き生きと健やかに過ごし続けることが、親も子も前向きな人生を送るとても重要なポイントです。
介護予防と人や地域とのつながりについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
遠距離介護中でもできる!親の介護予防~地域とのつながりを大切に~
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介護の備えを始めることに遅いということはありません。50代・60代は、親や自分の人生が、最期まで自分らしいものであるよう考え、整える大切な準備期間です。
心身ともに余裕がある今の時期に、高齢の親の意向を確認し、身の回りの情報を整理しておく。それだけで、不本意な形で介護や看取りを迎えることを防止できるでしょう。
完璧な準備を目指す必要はありません。介護に備えて住まいを整え、社会とのつながりを育むことは、現在の生活をより楽しく充実したものに変えてくれるはずです。介護に向けて少しずつ暮らしを整えることの積み重ねが、あなたと大切な家族の未来を明るく照らしていくでしょう。
介護保険でカバーしきれない病院付き添いや単身で暮らす親御さんの見守り、介護相談などを行っています。
家族に代わって親御さんや親戚の介護をできる人を探している方、遠距離のため思うような介護ができないとお悩みの方、ぜひ私たちまでご相談ください。
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