介護保険の限界を補う「買い物代行サービス」

「歳を重ねるごとに自分で車に乗って買い物に行けなくなった」「足腰が痛くてスーパーマーケットに行くのも一苦労」という人はいませんか?そのお困りごとを、一緒に住んでいない家族が手伝うことはなかなか難しいですよね。そんな家族をお助けするのが、買い物代行サービスです。しかし、介護保険内では制約も多く、使いにくいこともしばしばあるでしょう。

「わたしの看護師さん」では、そんな買い物のお手伝いを地域で循環する形として提供できるように取り組んでいます。今回は、介護や福祉に詳しいリエさんをお呼びし、これからの新しい買い物代行サービスについて対談しました。

地域で行う買い物サービスとボランティアの問題点

神戸:ご家族の方が代わりに買い物に行こうと思っても頻繁に行くのは難しいですし、遠方のご家族がネット通販で配達しても受け取れなかったりしますよね。そんな時、家族ができないんだったら誰がするの?っていうところから、地域の人でやってしまおうって考えました。

リエ:分かりやすい助け合いみたいな感じですね。

神戸:地域で助け合っていこうということは今までもあったと思います。でも、今までの買い物代行サービスってボランティアの意思が強すぎて、一回あたりの利用料金が本当に安かったんですよね。ワンコイン程度でお手伝いしますって言っていますが、じゃあ働く人たちってどれくらいもらえるの?って話なんですよ。また、働く上で保険や交通費の有無についても曖昧になっていることが結構あります。

その状態で継続的にできるかって話になると、続かないことも多いと思います。ボランティアってほんとに美しいんだけど、責任持ってやりきることってなかなか難しいことだと思うんですよね。

介護保険の限界を補う新サービス

神戸:適切な介護認定が得られると、ヘルパーさんに買い物のお手伝いを依頼できる場合があります。でも、これでやってもらえる買い物って食料品が含まれなかったりするんですよね。

リエ:お惣菜だったり、卵を買って来てもらえないことはよくありますよね。

神戸:そうなんです。ヘルパーさんは、依頼者の方が生きるために最低限必要なものしか買うことができないんです。もちろん、買い物代行といっても利用法は様々ですが、叶えられないことがたくさんあることも事実です。

リエ:それは無理ですとか、それはできませんってよく聞きます。

神戸:例えば、おじいちゃんが「タバコとライターを買ってきてほしい」とお願いしたとします。これに対して、介護保険ではできないですってお答えすると逆ギレされるなんてこともあります。

リエ:そうですよね。おじいちゃんにとっては買い物は全部一緒ですよね。

神戸:もちろんお酒もだめですし、お花も認められません。買えない理由を伝えるために丁寧に説明をするんですけど、仏さんは命と一緒だよって言って怒ったりということもあります。

そこで、私たちは介護保険ではできなかったことをフォローしていきたいと、新しい買い物支援の発足に向けて動き出しました。また、このサービスの対象は高齢者だけではありません。例えば、子育てに奮闘するお母さんの支援をすることも可能です。

リエ:高齢者だけでなく、小さいお子さんのいるお母さんも対象になるんですね。それはすごいですね。

神戸:誰でも使えるっていうところ、でもこれに関してはボランティアではないよっていうところをみなさんに分かって頂きたいなと思います。

リエ:これはボランティアではできないです。やっぱりボランティアだと、どこかで怠け心とか他人任せの気持ちが芽生えちゃうこともあるんですよね。

買い物代行にかかるお金の実態

神戸:実は私、買い物代行サービスを立ち上げる前に、実証実験をしてみたんですよね。スーパーとお花屋さんをはしごするルートで買い物をやってみました。依頼先周辺でバスが必ず通ってるとは限らないのでタクシーを利用します。

タクシーに乗ってスーパーに向かい、最後にお花屋さんに立ち寄ってお花を買って帰ってくるっていう流れを想定しました。その結果、平均して費やす時間がだいたい80分くらいになったんです。さらに、タクシー料金では、自宅から半径5キロ以内のスーパーとお花屋さんに行くと、大体3500円くらいかかったんですよ。つまり、人件費とタクシー料金を合計すると、一回の買い物で5000円近く費やすことが分かりました。

リエ:結構高いですね。でも、それぐらいかもしれないです。タクシーだったら買い物中に待ってもらっている時間もメーター上がりますしね。

神戸:そうなんです、もちろん移動費もかかります。一方で、みんなが気付きにくい1つの要因として、人が動くための人件費が挙げられます。だからこそ、お金のかかり方を理解して少しでも地域の人たちに無理がないサービスを提供したいと考えています。

みんなで支え合える負担のないサービスへ

神戸:介護って、いわゆる介護士や看護師のような有資格者たちが関わるものって思われがちだと思います。でも、買い物って当たり前のように私たちでもやっていますよね。そう考えると、資格がある人じゃなきゃ勤まらないって、そんな制限にとらわれる必要は無いだろうって思うんです。それこそ、ちょっとお隣さんが責任を持ってやってくれるなら、その方が手っ取り早くてお得だと思うんですよね。

リエ:資格がなくても誰かの役に立ちたいと思ってる人もいるだろうし、そういう人たちの活躍する場も提供できるのかなと思うと、面白い取り組みだと思います。利用者さんにも働く人にもメリットがあって、みんなで支え合う部分がすごくいいですね。

神戸:親の介護が始まる子どもたちにとって、急に認知症が始まったりするとどうしても慌ててしまいがちです。「大変、もう喋れない」「会話がままならない」ってびっくりしちゃうんですよね。でもその子ども世代が、普段から自分の親じゃないんだけど、買い物を通じて隣近所の高齢者の方と付き合っていくことは大事なことです。また、自分の親ってこういう風に老けるんだってイメージを持てるので、もしものときの心構えが全然違ってくるんですよね。さらに、将来自分たちもこうやって老いていくんだっていうことが想定できる点もいいと思うんです。

リエ:確かにイメージができると怖くないし、準備もできますしね。突然見るとやっぱ怖いし、否定的になりがちだったりとか、場合によっては孤立しちゃうこともあるかもしれません。でもそれぞれがいろいろな姿を見て、自分たちがそこに向き合う心の準備をすることはすごく大事だと思います。

神戸:こんな感じで、誰もが負担を感じることなくスタートができるサービスを作りました。「わたしの看護師さん」スタイルで、全国のみなさんと一緒に買い物支援に関わりたいという方、ぜひともご連絡ください。

リエ:一緒にがんばりましょう。

ボランティアではなく、責任ある仕事としての買い物代行サービスがスタートしました。誰かの役に立ちたいという方はもちろん、これからの介護生活が心配だという人にも是非参加してほしいサービスです。また、介護が必要な高齢者以外にもちいさなお子さんがいるお母さんでもこのサービスを利用することができます。身の回りに買い物で困っている方がいらっしゃったら是非「わたしの看護師さん」をご紹介ください。

この記事の内容は、Youtube配信をもとに記事化しています。

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